見出し画像

「母は苦労ばかり」遺った父にあまり良い感情を持てない子

「母は父に苦労ばかりさせられてきましたから、遺った父にあまり良い感情を持っていません」と、カウンセリングの中に出てくる両親のお話。

私も強烈にそう感じていた頃がありました。

義祖母、義父母、小姑のいる自営業の家に反対されて二十歳そこそこで嫁入りし、私が生まれ、次から次へと。合計4人。まだ、洗濯機はなくタライの時代だったそうで、全員の洗濯物をするのに半日かかったと言ってました。
冬場には手がガザガザで、今もあるのかどうか?分かりませんが桃の花というハンドクリームを塗っていた記憶があります。

父の死後も、なりふり構わず生活を支えるために頑張ってくれていましたが、思春期の自分には、辛抱ばかりの生き方が理解できずにそっぽばかり向いていた気がします。どうしてそんなことを受け入れるのかが分からなかったし。放棄すればいいのにと。

35年ほど前にふっと見た「鶴瓶・上岡パペポTV」
上岡さんが鶴瓶さんに「君ね。愛は自己犠牲の上に成り立っているんですよ」と説明されたんです。

この言葉は妙に記憶に残り、時間はかかりましたが、理解できなかった母の生き方に異議をとなえることができなくなりました。

子供の目から見える姿はガサガサの手や、家族の小間使いのように動き回っている様子、年に一度、実家に帰って愚痴をこぼす姿。それを愛だなんて考えたことは一度もなかったけれど、確かにそう。そうでなければ出来っこないし、続けることもできない。

グリーフは悲しみだけでなく、家族間の人間模様が直接的や間接的な一つの要因である場合があります。そのことに自分で気がついていないこともあります。グリーフは一足飛びにケアできませんが、人生を行く道で人に出逢い、本や言葉に出逢い少しずつケアできることがあります。



いいなと思ったら応援しよう!