見出し画像

月が欠けるように死んでいき、月が満ちるように生まれる。【読書感想文】

佐藤正午の「月の満ち欠け」は大泉洋や有村架純、アイドルである目黒連が実写したということもあり、有名な作品だったので気になり読んでみた。

読んだ感想としては、なんて美しい言葉なんだろう
である。

主人公の私は決してあなたから心変わりしない、という気持ちを表すために、途中で和歌が出てくるのだが、

『君にちかふ 阿蘇の煙の絶ゆるとも 萬葉集の歌ほろぶとも』 吉井勇

「月の満ち欠け」佐藤正午

そ、そんな~~~~~
平安時代みたいな演出を~~?!

と和歌と物語の美しさに圧倒されてしまった。

ちなみに、作品のタイトルである「月の満ち欠け」は、今回の記事タイトルでもある「月が欠けるように死んでいき、月が満ちるように生まれる。」という意味らしい。伏線回収の素晴らしさにも驚きだ。

物語はというと、一途にひとりの恋人を想い、探し続けた先にあるハッピーエンドに感情移入してしまった。
愛した相手が浮気相手だということに、うーーーんと引っかかるが、、。

主人公のように、何回生まれ変わっても愛すべきその人を探して、やっと巡り合えたとき、私だったら何を伝えたいのか、どんな表情になるのか考えてみた。
嬉しさ、戸惑い、相手が自分のことを覚えてくれているのか不安な気持ち、やっと会えた感動…
があると思うが、必死に心を抑えなんとか言葉を絞り出して
「あのね…」と話し出すかと思う。

そこからの展開は、相手(三角くん)の描写が綺麗すぎて、さらに感情移入してしまい、泣いた。何回読んでも、このラストシーンには涙してしまう。

この小説を読み、
『人は出会うべき人に、出会うべきタイミングで出会える』という言葉を思い出した。

縁という言葉があるが、
すべての出会い、出来事の起こるタイミングに意味があると思えば、毎日を大切に頑張れる、そう思えた1冊でした。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集