空には創作を愛する女神さまがいる
空を見上げる。
青空が広がっている。
白い雲が複雑な形を作り、青いキャンバスに美しい造形を生んでいる。
雲は毎日違う形をしている。時には数秒で形を変えている。
これは全て女神さまが作っている。
女神さまは空を司る神として生まれた。
女神さまは小さいころからものづくりが大好きだった。
女神さまは無邪気に空でものづくりをした。
空は女神さまにとって最高のキャンバスで、毎日毎日独創的な違う作品を作っていた。
あるとき、女神さまは灰色の魅力に取りつかれて厚い雲で空を覆い尽くした。何日も、何十日もの大雨によって地上の生き物は淘汰された。大神さまは地上の生き物からの願いを聞き入れ、雲を晴らし青空を戻した。
あるとき、女神さまはカラフルな作品を作りたくなり、オーロラや虹などを作り出した。夜も眠れぬほど激しい光を放つ空に地上の生き物は混乱した。
大神さまは女神さまの行いを咎め、限られた地域で限られた時間のみオーロラや虹で作品を作るよう命じた。
あるとき、女神さまは美しい青を追い求めたくなり、何十日も、何か月も雲を作らなかった。
干ばつに襲われた地上の生き物は、多くが息絶えた。生物をお創りになった大神さまは自分の作品を壊されたことにお怒りになった。
ついに、あまりにも自由に空で作品作りをすることに大神さまはお怒りになられた。
女神さまはそれ以来、昼間の空には白い雲でしか創作してはいけないと決められてしまった。
それでも女神さまは白い雲で毎日毎日新たな作品を作っている。
空には創作を愛する女神さまがいる。