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【変な家】ファンを意識した作品づくりについて

Amazonプライムで「変な家」をレンタルできるようになった。レンタルとプライム視聴の基準の違いがわからない。毎月500円払っているのに、どうしてさらに追加で500円を払わないといけないのか。契約の時に何か違うのか。

雨穴さんの本は全て購入し、動画もオモコロの記事も全て目を通すくらいには雨穴さんのファンな私なので、気になってはいた。
映画冒頭にこんなナレーションが入る。

 今からご覧いただくのは、謎に包まれた『変な家』に関係者がそれぞれの解釈と思いを載せて作られた全く新しい変な家である。
 原作者の雨穴は語る。
「私の書いた本は、全4章構成でした。映画は、例えるなら第5章だと思います。小説と映画、二つ合わせてはじめて『変な家』が完成します。」
 何が起きても保証はしません。

映画「変な家」

興味を大変そそられた。第5章に胸が高鳴る。

佐藤二朗の演出がよくわからない。甘党の妙な演出や変わった本の読み方はいいとして、セリフと動きが合わな過ぎる。本来、佐藤二郎には求められた姿を的確に表現できる演技力がある。「さがす」での演技が非常に良かったことを考えると、これは佐藤二郎のせいではない。悪いのは演出だ。

開始15分までで「変な家」であるポイントを最初に一気に栗原さんに説明させる。これでは、怖さが伝わらない。一つずつ謎がわかっていって、どういうことだろう? と頭を悩ませる時間が面白いのだ。そして、徐々にわかっていくところが面白いのだ。観客が間取り図を見る時間が短過ぎる。観客が考察する隙間がない。初見を置いてけぼり感にしている。種明かしが早過ぎる。動画1本の内容が15分で終わる。

そして、小説に入っている2つ目の間取りの話になる。さらに、開始25分ごろでジャンプスケア。お化け屋敷な展開になる。間取りについての深い考察はあまりない。
個人的にジャンプスケアが苦手な人間なので、同族の方はご注意されたい。
そして、3つ目の間取りの話。小説の内容は網羅された。

今回の映画は、間取りの家に実際に訪問する。儀式にも参加する。雨穴さんの動画では怪異を観察するものがあるが、あれはだいぶほっこりしているものが多い。また、とても怖い怪異を模した遊びでも、非常に古くに途絶えた信仰の雰囲気があり、どこまでも対岸の火事だ。
間取りの訪問では、首を突っ込みすぎたものの厄災として、危ない目に遭う。言わんこっちゃない。

全て見て思ったのは、雨穴さんの動画の内容は、脳内であれやこれやとこねくり回すから面白いということ。
自分が安全なところでトリックを眺め、考えられるから面白い。
そして深掘ると、恐ろしい民間伝承などのエッセンスが加わり、ミステリーから民間伝承に繋がるから面白いのだ。
全てを映像化してしまうと、わかりやすくはなるものの、薄っぺらい仕上がりになってしまうのだ。

間取りを見ながら考察するだけでは絵がもたないのはわかる。でも、それでは雨穴さんが作ったトリックの面白さが網羅されない。
やはり、これらのトリックの大正解は雨穴さんの動画の形で、映画向きではなかったということなのだと思う。
多くの雨穴さんファンは、ただのホラー映画には興味がない人も少なからずいるという、ファン層をちゃんと把握してから作らなくてはいけないという難しさを痛感した。原作クラッシャーは嫌われる。

見所は、栗原さんが普通に仕事をしているシーンだ。プライベートの姿とのギャップがすごい。シゴデキなんだろうな。仕事中は。
「変な家」を見たというより、「変な人」を見るための映画だった。それももっと振り切れてれば見応えがあったのに。

見る方は、途中で出てくる古い写真が、どうみても長井短にしか見えないので、そこを楽しみに映画を鑑賞してほしい。(エンドロールを見たら、ちゃんと名前があって本人だった)

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