コロナ禍での最期
母が入院している間、テレビはずっと「コロナウィルス」のニュースで埋め尽くされました。
テレビを見ていると、気分がわるくなってしまうニュースばかりだったので、極力見ないようにしてはいたのですが、たまにつけると
「本日は〇〇人感染し、〇〇人が亡くなりました...」などのニュースが目に飛び込んできは、学校が休校になっている子供を残している不安感と、病院にいる以上、感染してしまうかもしれない恐怖心と、母への想いが入り混じって、精神を保つことが難しくなっていったのを覚えています。
一日寝た切りになっている母は、マッサージをしてもらったり、外の景色を見せてもらったり、体調が良いときはお風呂にも入れてもらうことができました。
体を動かすと、肺に溜まっているタンが動いて、それだけで呼吸困難になってしまうため、あまり動かすことができずにいたので、良い香りのお風呂に入れてもらえた時は、二人で大喜びしたのを覚えています。
また、デジタルフォトで家族や孫の写真をテレビ変わりに見ていることもあり、テレビを見る時間が少しづつ減っていきましたが、それでもテレビのニュースを見る度に、現実がとんでもないことになっている!と不安で仕方ありませんでした。
母の様態は、静かに悪化していきました。
その頃、死が近いことを親戚に知らせる時期となり、少しずつ電話で母の状況を知らせていきました。
ただ、高齢の親戚が多く、簡単に病院に呼ぶことができませんでした。そして、母に会うことを拒否する親戚もいました。
病院は感染するリスクがあるから、遠慮する...と。
連絡をする度に、心が痛みました。
母の心配よりも、感染が怖い...と。
世の中が、本当に変わってしまったのだと痛感しました。
コロナウィルスで亡くなってしまった芸能人の志村けんさんは、病院に入院してから誰にも会うこともなく、医療関係者に看取られ火葬された亡骸が、玄関に置かれて最後を迎えたとニュースを聞いて、本当に愕然としました。
誰が悪いわけではない....
分かっている....
どこに気持ちをぶつけていいのか...
残されたご家族の気持ちが、本当に悔やまれます。
コロナ禍で、闘病している患者さんやご家族は、沢山の弊害を感じながら生活を送っていたと思います。今現在もですよね...
毎日病院に行くことで、感染してしまう可能性がある恐怖。だけど、看病のために行かなければならない現実。
医療従事者の方、介護士の方、保育園、幼稚園の先生方、学校教育関係者....コンビニ関係者、ドラッグストア、スーパー関係者...
休みたくても休めない
恐怖の中、出勤しなければならない辛さ
リモートでは仕事にならない現場仕事
これは誰のせいでもない
国の対応が悪いわけでもない
誰しもが平等に起こった出来事
だから、母の入院先の医療従事者の方には感謝してもしきれないほど、本当にお世話になりました。
ご自身がお子さんを学校に預けれず、家に残して病院にこなければいけないのに、患者さんはもとより、私たち家族にまで心のケアをしてくださったり。
病院の清掃の方、24時間営業のコンビニ、カフェの方がいてくれたから、休憩のひと時が得られることができました。
母の死を目前にして、コロナの恐怖がある中
本当に、本当に沢山の方に支えていただきました。
辛い時間
その優しい時間が
救いの時間となりました。