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退職読書日記 #19 やっと言えた 2024.5.21

5月21日 火曜日
朝、5時前起床。決めたルーティンをこなす。掃除、スキンケア、ピラティス、ノートタイム。

いつものように時間になれば子供を起こして、朝ごはんを食べさせる。
今朝は昨日のスーパーで実験的に買ったあれこれを朝ごはんにした。どら焼き、おだんご、パン。和食か洋食かわからない。
子どもを送り出してから家事。仕事へ。憂鬱。

職場に入ると、みんな疲れていてどんよりしているのが空気でわかった。
もちろん私も、元気ではない人の一人だ。

私は最近、女性マネージャーの態度に参っていた。
泣き叫びながら怒鳴られる。仕事を聞いてもこちらも見もしないし、教えててもくれない。教えてもらえないことを調べながらやっていたら遅いと怒られる。他の人に聞くとキレられる。電話メモを急いで赤ペンで書いただけで文句を言われる(私にだけ、突然に)。

一緒に組んでやっていた大量の業務を「もう一緒にやりません!」と叫んで放棄され、全部私一人がやることになる。

私以外の人とは、私の目の前でハイテンションに笑っておしゃべりをする。私だけ石ころ帽をかぶっているかのように存在を黙殺される。

そんな態度をとられて、私は正直参っていたのだった。
これはどう考えてもパワハラだと思った。
ありがたいことに私はメンタルが丈夫なので、恐怖や不安で竦んだり、落ち込んだりはせずに済んでいた。

ただ、どうしたって黙殺されていると進まない仕事もあるので、困る。一人では処理しきれない業務の質と量に完全にお手上げ。

「この場からは脱出したほうがいいかもしれない。」
そう思い始めたけど、突然辞めてクライアントさんや優しい同僚さんに迷惑をかけるのは本意ではない。自分なりの責任と優しさはちゃんと持ち合わせているし、それを担保するメンタルの太さと体力もある。だからすぐに辞めてやる!っていうのはしない。

だけど、そのメンタルの力と体力をここに割きたくない、とは思った。
それは私の大事な大事なリソースだから。
こんな態度を甘んじて受け入れてまでやりたい仕事ではないし、そうしてまで得るものはない、これが私の出した結論だった。

退職の意を示したのは先々週のことでした。
社長も私の意思は理解してくれ、しかし現状ではすぐに辞められると業務が回らないのでしばらく様子見て働いてくれよ、と頼まれた。例のマネージャーが泣き叫んで私にキレていたところは知っているから、私の心情も察して、いろんな改善案を提示してくれた。

私はしばらく静観して仕事をすることにしました。退職するにしても円満に、時期を見ようと。

・・・しかし。社長はその翌日から態度を急変させたのでした。それはもう恐ろしいくらいの不機嫌を私にぶつけ始めた。

マネージャー同様、私に挨拶をしない。
ミーティングの時間をばっくれる。声を荒げる。話を聞かない。

中学生のいじめか!!!!!
退職の時期を調整させていただこうと話しかけても取りつく島なし、さっさと場を去って話もしてくれない。

なんとか捕まえて「つらいのですが」というと(パワハラは続いている)
「俺もつらい!」と言い返される。

困った。いつ辞めていいの?案件は誰にいつ引き継ぐの?
そんな話もする隙がない。退職願を書いたけど、渡す隙もない。
最近は同僚も体調不良でバタバタと休み、メンタルをやられて出社できなくなってしまった方もいるし、業務が回らず焦りもあるのだと思う。そこにきて辞めたいと言い出した私に怒りがあるのだろう。

でも、私だって、もう耐えられない。
いや、耐えら得るけど、耐える価値があると思えない。

そんな状況が続いていたが、今日やっと、打ち合わせと称して社長と話す時間を確保。私ははっきりとこれ以上働けないと伝え、退職時期もはっきりさせたいと申し出ました。

これまで話をしようとすると高圧的な態度でその場を逃げられてばかりだったので、切り出すときは本当に勇気がいった。また高圧的な態度で封じられるのだろうか。手が震えた。

「あの、退職の意向を伝えておりますが、いつ退職できるのか、そろそろ決められますか?」

「ああ」

「あの、契約では退職の2月前に伝えないといけないことになっていることは承知しておりますが、一応、民法上定める2週間前には伝えましたし…」

「ああ」

「それに、パワハラなどの場合はその限りではないですよね?即日退職も許される事情となるはずですが」

「パワハラ???どういうこと?」

「え…?あんなに大声で泣き叫んで机叩きながらキレて、一緒にしていた仕事を全部やりたくないと全部私一人にやらせ、無視したり椅子蹴るのはパワハラになりませんか?」

「う~ん。そうか?」

社長は理解できない、という顔をしていた。
これがパワハラじゃなかったらなにがパワハラなのかと思うくらいドラマティックな扱いだと思いますが!

違う文脈で生きてる人とは話し合ってもわかりあえないし、相手を変えたいという気持ちは私にはないし、できるとも思わないし、私の考えを理解してほしいとも思ってない。もういい。ただ辞めさせてくれ。

しかし退職日はまだうやむやされ、しかしなるべく早く、ということでは合意できました。

「わたし、いつ退職できますか?」
というシンプルな質問を、やっと言えたのだった。

あいかわらず職場はピリピリして、みんなストレスから体調を崩して毎日だれか休んでいる。

実は、私に泣いて叫んでキレたマネージャーは、どうやらとてつもない事情を抱えていて、精神不安になっているようだった。

その事情は、私だってそんなことが自分に降りかかったら冷静ではいられないだろうと思うものだ。毎日泣くと思う。
きっと周りの人に当たりたくなって、悲しくて悔しくて怖くて暴れたくなるだろうとも思う。とても平常心ではいられないだろう、と想像もする。

マネージャーは、しばらく働けなくなるらしい。

そんな状況の人なら、何を言われても、許すべきなのだろうか??

これまで彼女が事務所の柱となって働いていたから、業務は立ち行かなくなる。だから、みんなで会社を支えて働かないといけない。

しかし、私は、私が踏みにじられていると感じるこの環境から、いなくなる。脱出することを決めた。

私は冷たい人間だろうか?
利己と利他を思った。

あんなにもつらいことが降りかかった人には、優しく許すべきだろうか?
キレられても当たられても受け入れてあげるべきだろうか?我慢するべきだろうか?

大変な状況にある職場を逃げるのではなく、力になれることをするべきだろうか?

でも私は、私を損なってくる人と一緒いたくはない。

職場が、崩壊寸前で、みんなが体を壊しながら働いているのに
そこを見限って、見放して、いなくなる私は慈悲を欠いた冷たい人間だろうか?

自分が嫌な場所にいたくない、そう思う利己と
あまりの不運で心を乱してしまった人を許容する利他
窮地に立たされた人を支える利他

私は、そういうものをぐるぐるぐるぐる考えた。

自分の卑小さ。いやしかし、自分のために生きるのだ、という信念。
だけど、今、人を支えないこと、助けないこと、許さないことはあまりに不寛容で非人道なんじゃないかという罪悪感。

目の前で自分を押しつぶしてくる圧倒的な業務量とあからさまな嫌悪。
不幸は自分にも降りかかることだってあり得るという恐怖。

手が震えて吐き気がした。
最近は毎日、憂鬱だった。

でも、私はここを去る。
今日、自分のコマをひとつ進めた。ちゃんと退職時期を決めたいと、伝えた。

進めた安心感とともに
罪悪感と、私の今の不寛容がいずれどこかで毒の実を結ぶのではないかという漠然とした不安が全身を覆うようだった。

この日、なぜか鞄に入っていた本は「元彼の遺言状」だった。
…なんで?

読みかけの「くもをさがす」もあったはずだし、「寂しい夜にはペンを持て」もあったはずだ。なのになぜ私はこれを鞄に???

仕方ないから昼休み、ごはんを食べながら「元彼の遺言状」を読み始めてみた。自分に自信があって、自分の欲求に正直な主人公が冒頭から暴れ倒していた。


さて憂鬱は憂鬱を連れてくる。
仕事中に学校から留守電があり、掛けなおしてみれば子供のトラブルの報告だった。

がん、とショックを受けてから、この一次感情は何だ、と思う。

また子供と自分を同一視して、彼女のトラブルを我がことのように感じてしまった。違う違う、だめだ。

話は聞くし、注意もする、言い含める。
だけど基本的には彼女の問題は彼女のもののはずだ。
そこは気を付けないといけない。

17時、子供を学童に迎えに行ってから習い事へ送り込み。また宿題をしていない。トラブルになった相手の親御さんに謝罪と伺いの連絡。習い事の待ち時間に少しだけ家で仕事。

習い事を迎えに行って帰宅。子供、宿題をしない。いつになったらするのだろうかと仕事と家事をしながら様子を見るも、全然しない。

夜、知人から久しぶりにものすごく腹が立つLINEが来た。
不愉快は続くもんである。

私の生活をほとんど知らないくせに、全部を知っているようなクソバイスを送ってきやがった。目の前がくらくらするほどに想像力とデリカシーを書いた文章が送られてきて、まじでこんな人間いるんだ、と驚いた。

まったくなんて日だよ。
仕事で追い詰められ、子供のトラブルに気を揉み、踏みにじられるようなLINEが届く。子供は宿題をしない。

体重計ったら1kg増えてたし!!!!

子どもをとりあえず寝かしつけてからゆっくりお風呂に入った。

もうこんな日はやぶれかぶれだ。
さっさと寝ればいいものを、くだらない動画を無表情に見続け、送られてきたひどい内容のLINEを、臭いものを嗅ぐように何度も読み返して、何度も何度も嫌な気持ちを反芻する自傷行為をして、0時30分に寝た。

明日はいい日でありますように。


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