ゲー選かけ流しvol.21 『聖剣伝説 VISIONS of MANA』(前編)
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回は『聖剣伝説 VISIONS of MANA』(以降、VoM)。
前回の選評でまとめた『聖剣伝説3 TRIALS of MANA』(以降、ToM)をベースとして正常進化を遂げたアクションRPG、『VoM』の魅力について前・後編でまとめていく。
<筆者の『聖剣伝説 VISIONS of MANA』プレイ状況>
・難易度ノーマルでクリアまでプレイ済み
・やり込みはプラチナトロフィー取得まで
・プレイ時間:40時間強
『ToM』から正常進化したアクションRPG
本作のアクション部分は基本的に『ToM』を踏襲。新鮮味はやや薄いものの、安定感と安心感のある操作性に仕上がっている。
近年のアクションRPGは「スタイリッシュアクション」と称されるような、隙が少ない高速の連続攻撃と、ジャスト回避/ジャストガードによる特殊アクションで、常に敵に対して有利を取っていくプレイスタイルが多い。
上達すればするほどカタルシスを得られるアグレッシブなシステムである反面、反射神経がモノを言う局面が多く、アクションゲーム初心者にとってはハードルが高過ぎてシステムを活かしきれないという難点もある。
一方、『VoM』はクラシカルなアクション性を持ち味としている。
主人公達の攻撃は前隙も後隙もそれなりに有り、手数で押し込んでいく事は難しい。一方、敵の攻撃も隙の大きめなモーションとなっているため、敵の攻撃の予備動作を見ながら、回避が間に合う攻撃を取捨選択して立ち回るプレイスタイルとなる。
空中でもコンボは可能なので、一部のスタイリッシュアクションゲームのように、地上コンボで敵を打ち上げつつ、スキルと空中コンボを交えながら連撃を叩き込む事もできる。初心者に優しい裾野の広さを持ちつつ、上達しがいのある伸びしろも兼ね備えている。ここは『ToM』よりも進化しているポイント。
より手軽に、より戦略的になったクラスチェンジ
『VoM』は、8種類の属性に対応する精霊の加護を受けた「精霊器」を装備する事によって、それぞれの属性に対応したクラスにチェンジするスタイルとなっている。
8種類の精霊器はクラスチェンジアイテムというだけでなく、様々な効果をもたらす戦闘用アイテムとして有用。それ故に、精霊器の使い勝手を優先してクラスを決める局面もあるかもしれない。
8種類のクラスは、主人公5人それぞれで武器やスキルが分かれる。武器はプレイヤーのプレイスタイルとの相性があるため、気に入った武器に対応する特定クラスばかり使用する可能性もある。
一方、それぞれのクラスが持つスキル(特にパッシブスキル)は有用なものも多く、普段使用しないクラスのスキルも習得するか否か?というぜいたくな悩みを抱えながらプレイヤーの強化を図る事となる。
キャラクター・精霊器・武器・スキルの組み合わせは膨大。従って、『VoM』のクラスチェンジのシステムは、プレイヤーの好みが反映されやすい点が特長となっている。
キャラクターの能力を最大限に底上げするアビリティ
上で挙げた各クラスのスキルは1周あたりで習得できる数に限りがあるため、全クラスのスキルをコンプリートし、クラスの潜在能力を引き出すには周回引継ぎプレイが必須となる。
1周目で円滑にプレイヤーを強化したい場合、アビリティを活用する事となる。宝箱など、さまざまな場所で手に入る「アビリティシード」を装備する事で、特定のクラスで習得できるスキルを使用できるようにしたり、パッシブアビリティで基本能力を底上げする事ができる。
特にパッシブスキルを重ねると操作キャラを格段に強化する事ができるため、メインで操作するキャラはアビリティシードで細かく強化していきたいところ。
アビリティスロットを拡張できるアイテムを使用すればアビリティの装備枠が増え、更にカスタマイズ性が増していく。
アビリティシードは有用な一方、入手する手間は様々。ある程度サブクエストなどの寄り道を駆使しながら収集し、パーティーを強化していく事になるだろう。
豊富なやり込み要素
本作はメインストーリーを追ってサクサク進めても十分なボリュームのあるアクションRPGとして遊べる一方、寄り道も豊富。やり込みの例は以下の通り。
<ネームドモンスター>
モンスターのうち、強力な力を持ち二つ名を得た個体、ネームドモンスター。レベル差がある場合は苦戦必至。倒すと輝石を入手でき、強力なアビリティシードに交換できる。
<サイドクエスト>
いわゆるサブクエスト。お使いやモンスター討伐、アイテム収集など、達成条件は様々で、報酬も様々。ストーリーを追うだけだとアイテムや金策にやや苦労するので、ストーリーの合間に達成可能なクエストをかいつまんで消化すると良い感じ。
<サボテン日記>
『ToM』から続投のサボテン君。物語の途中で出会ってから、様々な場所に旅をしているサボテン君を見つける要素。行く先々でサボテン君がつけている日記を見られるが、何よりも魅力は、集めた日記の数によって開放される数々の特典。探すのは大変だが、それに見合った報酬を手にする事ができる。
<精霊の住処>
精霊器を入手してから挑戦できる祠、精霊の住処。時間制限内に、複数WAVEに渡る敵たちを討伐するチャレンジとなっている。住処には規模によって小・大と分かれており、精霊の住処(大)については精霊器や装備、アビリティなど戦略的にパーティを組まないとクリアできない位にシビア。
<裏ボス攻略>
クリア後に挑戦できるボスキャラ。クリア後のストーリーに絡んでくる裏ボスに加え、純粋に戦闘能力が驚異的な裏ボスも存在する(シリーズファンならご存知だったり)。レベリングに加えてスキル習得、アビリティシードの装備など、計画的にパーティを強化してから臨むべし。
上記やり込みをこなす過程で、PSではトロフィー収集、XBOXでは実績解除ができる。大体本作を8~9割方やり込むとコンプリートできるので、やり込み派のプレイヤーはこちらを目標に遊ぶと良いだろう。
アクションRPG要素、システムメインでまとめた前編は以上。後編はキャラクターとストーリーにフォーカスする予定。
次回もよろしくお願いします。