Nintendo Musicについて思うこと
先日、急遽発表・公開されたアプリ『Nintendo Music』。
Switchのオンラインサービスに加入しているユーザーを中心に大きな驚きと、それ以上の賞賛をもって迎えられた本アプリを筆者も即日DL。
現在も楽しませてもらっているが、アプリを利用しながら感じたことをまとめておこうと思う。
Nintendo Musicでできること
まずはNintendo Musicの目玉となる機能について。これは公式の動画を見ていただくのが早いだろう。
・ダウンロード再生(オフライン用)
・プレイリストの作成(タイトルを跨いで設定可能)
・ながさチェンジ
・ゲームソフトのネタバレ防止
配信直後はSNSを中心に「神アプリ」「神機能」という言葉が躍っていたが、サブスクの音楽アプリとしては基本的な機能+αくらいかな?と筆者は考える。
目玉機能は「ながさチェンジ」と「ネタバレ防止」になるだろう。どちらもゲームメーカーらしい発想に基づく機能で、ゲーマーにとっては嬉しい配慮だろう。
なお、Nintendoアカウントと紐づけて起動する専用アプリである関係上、アプリ外のMusic(例えば、iTunesで落としている曲群)と混合したプレイリストを作成する事はできない。あくまでプレイリストはNintendo Musicの中で完結させる必要がある点だけはご注意。
機能以外の目玉は何といってもサブスク対象となるタイトル。今は超プレミア価格が付いている『スーパードンキーコング』『スーパードンキーコング2』などのサウンドを聴けるという恩恵は計り知れない。
個人的には本アプリの再生状況をビッグデータとして収集し、実際のサントラ発売に向けたマーケティングの材料にして欲しいと強く願っている。
……が、次項に記載する理由から、難しいのではないかとも考えている。
任天堂ゲームのサントラ化に立ちはだかる壁
任天堂は他のメーカーと比べてサントラ化されているゲームの割合が低い印象で、音源化を熱望しているタイトルが沢山あるのだが、今回Nintendo Musicを使用している中で気付いた、サントラ化が困難である理由について整理する。
1タイトル当たりの曲数の多さ
Nitendo Musicのメニューから各タイトルの曲群を確認する限り、特に近年の作品は1タイトルごとの曲数が非常に多い。シーン毎にアレンジを変えて別曲にしているケースが多い事にもよるだろうが、実態として、「曲数100曲以上」「総再生時間5時間以上」というタイトルも少なくない。
こういったゲームをサントラ化する場合、複数枚収録は必須となる。
CDの仕様上1枚あたり80分弱、99トラック収録できるものの、そこまでギチギチに詰め込んだサントラはお目にかかった事がない。現実的なラインとしてディスク1枚あたり50トラックとしても、最近の作品であれば5枚以上となるのは必至。
そうなると、サントラ(CDボックス)の方がゲーム本体よりも高値になるという逆転現象が起きてしまう。事実、そのようなサントラも存在する。家族で楽しめるおもちゃを提供するスタンスの任天堂としては、極力そういったビジネスは避けたいのではないだろうか。
自社レーベルを持たない任天堂
任天堂がサントラ化したタイトルが少ない理由の一つに、自社レーベルを持たないという事も影響しているのではないかと筆者は考える。
音楽業界にサブスクが浸透する前、J-POP・J-ROCKのCDが売れなくなりつつあった2000年代。ゲーム・アニメを好むコアなファンは変わらずサントラを支持・購入し続けた結果、相対的にアニメやゲームサントラがオリコンの上位に喰い込むという現象が見られた。
これは、コアなファンは欲しいものには金に糸目をつけないという証左であるのだけれど、自社レーベルを持たない任天堂は、人気作をサントラ化しても、実際どれだけ売れるかのノウハウを蓄積できていないように見える。受注生産に舵を切って在庫リスクを低減しようとするケースもあったが、これも裏を返せば実売枚数が読めないからという理由によるものだろう。
CDショップなど音楽系の小売業者とのパイプが少なからずあれば今よりもサントラ化について積極的になれたと思われるが、自社レーベルを持たない任天堂からすると、損益分岐の予測を立てにくい商材なのだろうと思う。
(ソニーは自社レーベルを持っているものの、ポップスやロックが主軸なので、任天堂とは別の理由でゲームのサントラ化に対して慎重な姿勢を取っているように見える)
Nintendo Music = インセンティブ?
以上を踏まえてNintendo Musicの位置づけを考えると、
ゲームのサントラ化による二次ビジネス
よりも、
Nintendo Switch Onlineの新規加入・継続に対するインセンティブ
を優先した施策なのだろうと筆者は考える。
既に加入しているユーザーからすると、サブスクでできる事が一つ増えた(それもドでかい特典が!)ということになるし、未加入のユーザーに対して強力な訴求効果が得られる事だろう。オンラインプレイに興味はないけど、過去ハード(FC/SFC/GB/GBA)のゲームが遊べる上に音楽のサブスクまでついてくる、となれば、今回の施策を機に加入を検討するユーザーも増えるに違いないし、加入済みユーザーの離脱に対する強い抑止力にもなるだろう。
今後懸念があるとすると、「Nintendo Switch Onlineの料金プランが今のまま維持されるか?」だろうか。サービスを維持するには相応のコストが必要。Switchの販売が非常に好調であるため今の価格で提供できているサービスだとすると、今後の動向によっては価格が上振れする可能性がある。(特に次世代機発売のタイミングと売れ行きの状況によっては)
気になる点は多少あるものの、それ以上にNintendo Musicで得られる恩恵が大きいので、今のところユーザーからは熱烈歓迎ムードで迎えられているようだ。筆者も当面の間は任天堂ゲームの音楽を聴きながら作業をする日々が増えそうである。
主観全開!Nintendo Music追加希望タイトル
ここからは、筆者がNintendo Musicへの追加を心待ちにしているタイトルをコメントと共に列挙する。
(本記事は単にココが書きたかっただけだったりして…)
大乱闘スマッシュブラザーズ(シリーズ)
トンネルシーン(X)のアレンジをエンドレスループしたい。既存IPのアレンジ曲が無理であっても、ゲームオリジナル楽曲など、リリース可能な曲だけでも良いので追加して欲しい。
MOTHER3
曲数が異常に多くてサントラ化が困難、コアなファンはとことん大好きなMOTHER3は、おそらくNintendo Musicに最も向いているタイトルの一つだろう。MOTHER3のマイリスト作って聴きまくりたい。
スーパーマリオ3Dワールド+フューリーワールド
フューリーワールドのフィールド曲が好きで好きでたまらないので、追加されるまでずっと待ち続けたい。
リズム天国(シリーズ)
一部タイトルはサントラ化されているものの、初期作の中で音源化からこぼれてしまった曲も多数あるので、是非とも。(権利的に厳しいかもだが…)もっとも、初代をNintendo Switch Onlineで遊びたいのだけど…。
カービィのエアライド
そもそも移植やリメイク・新作が望まれているけど、もし難しいならせめて音源だけでもサブスクで提供して欲しい。
ラストストーリー
権利関係がどうなってるのか、任天堂が保持しているのか良く分からないけれど、植松伸夫先生の世界観にまた浸りたい。
シムシティ(SFC)
キャピタルは名曲。これも作業用にエンドレスループできるヤツ。まぁこれも、Nintendo Switch Onlineでゲームとして遊びたいんだけど……。
Wii Sports
爽快感のある名曲が多いので、Nintendo Music向けでは?と思うタイトル。これもアルバム単位でしっぽり聞きたい。
X-RETURNS
スマブラXのトンネルシーンがNintendo Musicに収録できないなら、せめてこちらを聴き込みたい。こちらのトンネルシーンも大好き。
スターフォックス
コーネリアのBGMが大好きなので、これも作業用にエンドレスループしたい。(3Dシューティングが下手なので、このBGMばっかり聴いてたというのもある)
その他
バルーンファイト
新・光神話 パルテナの鏡
星のカービィ64
ゼルダの伝説 風のタクト
ゼノブレイド
任天童子
カエルの為に鐘は鳴る
ファイアーエムブレム外伝
ファイアーエムブレム覚醒
ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女
テトリス
上記タイトルも心待ちにしている。一部iTunesなどサントラが購入できるものもあるけれど、Nintendo Musicで広くユーザーに聴いてもらえる状況になると良いかな、と。
しばらくは楽しい日々が続きそうなNintendo Musicについてまとめた記事は以上。
次回もよろしくお願いします。