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ゲー選かけ流しvol.25 『FINAL FANTASY VII REBIRTH』
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。今回は『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(FF7リバース)。
前回の『FINAL FANTASY REMAKE』(FF7リメイク)に引き続き、本作の魅力についてじっくりと語っていきたいと思う。
<筆者の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』プレイ状況>
・FF7リバースはNOAMAL難易度でクリア
・トロフィー取得率:72%
・本作のプレイ時間:100時間強
一本道とオープンワールドのミルフィーユ
「FF7リバースってどんなゲーム?」
と聞かれた時、筆者なら見出しの言葉で答える。
FF7リバースは、FF7リメイクのミッドガル編を終えたところからストーリーが始まる。原作ではミッドガルを出て、フィールドマップに放り出されて世界の広さを実感する瞬間が特徴的。
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今年遊んだゲームの中でも指折りのカタルシス。
FF7リバースもまた、オープンワールドさながらの広大なフィールドをクラウド一行が駆け回るという作りになっていて、FF7リメイクのミッドガル全般で味わった閉塞感から一気に開放されるカタルシスを味わう事ができる。
興味深いのは、マップは非常に広大であるものの、自由に動き回れるエリアはRPGらしくストーリー(Chapter)進行に応じて段階的に広がっていくところ。
そういう意味では厳密にはオープンワールドではない。しかし、オープンワールドと遜色がない位に広大なマップを駆け回る事ができ、様々なロケーションでバトルやアイテム収集、サブクエストを楽しむことができる。FF7リメイクを遊んだプレイヤーほど、FF7リバースの劇的な変化に感嘆する事だろう。
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探索や討伐による報酬も豊富。
更に特徴的なのは、ストーリーを前に進める一本道シナリオのChapterと、新エリアの探索を楽しめるChapterが交互に配置されているところ。筆者はこの構成を非常に好意的に受け止めている。
近代JRPGはボリュームが多く自由度が高い反面、メインストーリーよりも寄り道が多くなりすぎてしまい、ストーリーラインを忘れてしまうような事も少なくない。
一方、FF7リバースは一本道ながらストーリーに集中できるChapterを攻略したあとは、新しいエリアが開放されてオープンワールドを堪能できるChapterが待っている。じっくりとフィールド探索を行った後は再び一本道のChapterに戻ってストーリーに没頭できる、という寸法。このゲーム構成は非常に巧みだと思った。
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進めると、新鮮な感覚を取り戻せる。逆も然り。
ストーリーを追いやすいという意味で、既存のJRPGをオープンワールドでリメイクする事のメリットは非常に大きいという事に気付かされた。他のRPGも是非チャレンジして欲しいところ。
なお、原作よりもセフィロスの出番は大幅に増えており、しばしばクラウド達の前に現れては謎めいた言動を繰り返してくる。
また、原作ではクラウドの回想でしか現れなかったはずのザックスもメインストーリーの合間で登場する。謎は深まるばかりだが、非常にボリューミーな本作の中で、ストーリー上のアクセントとして機能していると感じた。
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以上、一本道とオープンワールド(+アクセント)の取り合わせの妙味が、筆者が本作について最も評価しているポイントである。
FF7リメイクより更に磨きがかかったグラフィック
グラフィックに関してはPS5の性能をふんだんに活かした美麗さで、見た目にも鮮やか。PS4の時点で十分なクオリティだったが、そこから更に向上している。
同じくPS5で発売された『FINAL FANTASY XVI』(FF16)とは開発チームが違うためか、絵作りは異なっている。FF16はFF14の絵作りに近く、全体のボディーバランスや服装の細かな装飾の表現を意識したモデリングであるのに対し、FF7リバースは特にキャラクターの表情や髪の毛の質感にも強いこだわりを持ったグラフィックになっている。どちらに軍配を上げるかはプレイヤーの好みによるところだろうか。
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(画像は『FINAL FANTASY XVI』)
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バッチリ表現されている。
前回(FF7リメイク)の選評でも書いたが、グラフィックの美しさが頭打ちになり、差別化が難しくなりつつある現代においても、一貫してグラフィック表現の進化に取り組み続けるFFの姿勢を、筆者は贔屓にしている。
恐らく完結編では更にリファインされたグラフィックでプレイヤーを楽しませてくれるのだろう。そんな期待を持たせてくれる映像美だった。
REMAKEから戦術が増えたバトルシステム
バトルシステムはFF7リメイクをほぼ踏襲。基本アクションに関しては前作同様の操作感で遊ぶ事ができるため、前作をプレイ済みのユーザーであれば違和感なく遊ぶ事ができる。
FF7リバース独自要素としては連携アビリティと連携アクション。プレイアブルキャラクターの組み合わせによって様々な効果をもたらす事ができるので、実用の面でも役に立つし、バラエティの面でも見栄えが良く爽快感がある。
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有用なものが多いので、局面に応じて活用すべし。
リミット技や召喚獣はリメイク踏襲なので、今までと同じプレイフィールで活用できる。連携アビリティによってリミット技が変化するギミックもあるため、そういった意味でも連携を軸に戦術を組み立てていくのが良い。
やりすぎ?ミニゲーム群
本作は原作最大のテーマパークであるゴールドソーサーが舞台に含まれる事もあってか、非常にバリエーション豊かなミニゲームが存在する。
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ミニゲームの中では一番力が入っている模様。
・音ゲー:ピアノ演奏
・レースゲー:ダッシュ・デ・チョコボ、ドルフィンスプリント、チョコボレース
・カードゲーム:クイーンズ・ブラッド
・シューティング:トロッコシューティング、パイレーツ・ランページ、シューティングコースター
・RTS:コンドルフォート
・格闘:3Dバトラー
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減った分、レースゲームの力量が問われる形に。
上に挙げたものだけでも一部である。原作FF7の頃は容量等の関係で個々のゲーム性はお世辞にも高くはなかったものの、今回は割と粒ぞろいでちゃんとミニゲームしている感じはある。ただし、殆どのミニゲームでそこそこ有用なアイテムが手に入るため、冒険をスムーズに攻略するにはミニゲームの消化も避けては通れず、やり込みとしては相当重たい部類に入る。
特に一部ミニゲームはトロフィー機能と連動しているので、やり込み派は避けて通れないところ。本編のボリュームも非常に多いので、Chapterセレクトできるようになってから合間を見て遊ぶくらいが精神衛生上良さそうだ。
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進めども更に謎が深まったストーリー
FF7リバースは忘らるる都までのストーリーが展開される。
……のだが、メインとなるストーリーラインはFF7リメイクよりも混迷を究めている。
FF7リメイクの本編クリア時は原作とは違ったストーリーへと向かう可能性を示唆しているように見えたが、FF7リバースの本編クリア時は、FF7リメイク時よりも多くの「?」が筆者の頭の中をグルグルと駆け回っていた。
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マルチバースものなのか、並行世界なのか、それともストーリーがどこかで分岐しているのか。ネタバレを避けつつ遊んでいたクリア時点の筆者には良く分からなかったが、少なくとも、複数の世界線が混じり合った状態で進行しているような感覚はあった。
クリア後に有志による数々の考察を見た限りでは、自分の感覚は当たらずと言えども遠からずといったところのようだ。
なぜ、FF7リバースはそのように難解な描写にしているのか。筆者の解釈はシンプルで、
次回作(完結編)への「引き」を作るため。
FF7は連作である以上、ストーリーの大筋が原作通りか原作から改変されるのか、完結編の前に確定させるのは得策ではない。どちらの展開になるにせよ、そこでストーリーに納得いかないユーザーが離脱する可能性が増えるから。
そういったビジネス上の制約もあってか、原作の大きなハイライトにおいて、FF7リバースは極めて曖昧で、様々な解釈ができる描写に意図して留めたのだろうと推察する。
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その結果、非常に消化不良な状態でFF7リバースは終局を迎える事になった。筆者は完結編まで見届ける意思はあるものの、プレイヤーは本作に対する不透明感を抱えたまま何年後かの完結編まで待ち続けなければならない。これはお世辞にも嬉しいとは言えない「おあずけ」であろう。
FF13-2のエンディングを見た時のような消化不良感あったワケだが、これを完結作でしっかりとカタルシスへと昇華してくれるのか?
FF7リバースの選評でも書いたが、完結編まで見届けようとするプレイヤーに対して誠実な結末を見せて欲しいと願ってやまない。
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達成感と爽快感が残る仕上がりだったと思う。
クラウド達が原作に沿ったストーリーを進んでいく中、要所で割り込んでくるセフィロス。そして何故か生存した状態で各地を駆けるザックス。
セフィロスの言う「リユニオン」をその言葉通り信じるならば、FF7リメイクとFF7リバースの中で生まれた数多の可能性が一つに束ねられて収束するのではないか。完結編は「FINAL FANTASY VII REUNION」になるのだろうか?
……そんなことを考えながら、筆者はまたしばしの間、次回作を待ち続ける事にしようと思う。
余談 ~筆者がリメイクに求める要素~
大前提として、筆者はハッピーエンドが好きなので、ビターでお涙頂戴なゲームよりもちゃんとハッピーな結末を迎える作品が好きである。
そんな筆者ではあるが、FF7のリメイクに対し、ただ単純にハッピーな方向で改変される事は望んでいない。(絶対ダメってワケでも無いのだが……)
FF7以前にも、センセーショナルな展開で視聴者やプレイヤーに大きな衝撃を与えた作品は多い。筆者の記憶に残る作品と言えば『Zガンダム』や『エヴァンゲリオン』あたりだろうか。
そしてこれらは両作ともにリメイクに当たって原作で衝撃的だった展開に対し大きく手を入れている。
作者に対し、「原作のストーリー展開に対して責任を持て」と筆者のエゴを押し付けるつもりはない。ただ、原作の脚本に納得できない受け手が「if」を求めるのと同じことを、製作者自らがやっちゃうのかよ…、とは常々思っている。
筆者はこの手のリメイクを「公式の二次創作」と呼んでいる。
それをもってリメイク作品の評価を減点したり酷評したりする事はないが、
”あぁ、そこ改変しちゃいますか、そうですか……。”
という思いが拭えないのである。
そういった意味で、筆者はFF7リメイクの時点から不安な気持ちが膨らみ続けている。ただ、どういう結末を迎えるにせよ、筆者はいちFFファンとしての熱意をもってFF7と向き合い続けるつもりだ。
まとめ
FF7リバースはFF7のフルリメイクシリーズの2作目として、ミッドガル脱出後~忘らるる都の「中盤最大の見せ場まで」を描いた作品である。
原作のミッドガル脱出後、広大なフィールドが眼前に現れた瞬間のスケール感と開放感がフルリメイクとして完全にパッケージング。ゲームとしての面白さは完全にFF7リメイクよりもグレードアップしている。
本作では完結しなかったストーリーの行く末だけが懸念事項。
どう収集をつけるのか。原作のストーリーの骨子から大きく外れるのか、原作に寄り添う形に収束するのか。不安定な状況で完結作を待ち続ける事となる。
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彼女にまつわる伏線は回収されるのか?
幸か不幸か、本作は周回がはかどるChapter制でやり込み要素は十二分にある。少しずつ攻略を進めてストーリーの考察を深めながら、来たるべき完結編に向けて心の準備を整えておくのも良いだろう。
本作を一言で表すならば、
一本道とオープンワールドのミルフィーユ ~セフィロスとザックスを添えて~
である。
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FF7リメイク・リバースと駆け足でまとめた選評は以上。
完結編の選評を書ける日までnoteを続けられることを祈りつつ、次回もよろしくお願いします。