見出し画像

大根よりちょっと上

大根役者が大根を育てると、それはそれは立派でおおきな大根が収穫できる。

世の中の大根農家は、大体、「へへ、実はこれが本業じゃないんです」と笑いながら、下っ端の役者をやっていることを告げる。

だがそれが知られてしまうと、「ああ、こいつ大根役者なんだな」と生暖かい目で見られることになるので、近頃は役者をやっていることをひた隠しにするものも多い。


そんなある日、「人参役者」という言葉が唐突に生まれた。

大根役者と呼ぶには、そこそこ演技がうまい者のことをそう呼ぶようにすると、そう定められたのだ。

なんでも、「大根ばかり立派なのが採れるのが気に食わない。これでは人参業界が赤字寸前だ」と、人参農家の一人が芸能界へ訴えたせいだとか。

結果、やはり人参役者が人参を育てると、ぷっくりした形の良いのが採れて、世の中の農家は大いに助かっているようだ。








いいなと思ったら応援しよう!