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つなぐふたつ

何もかも忘れたハゲワシは、朝起きると、寝るまでずうっと
川辺に座って日向ぼっこをしていました。

食べるということも、子孫を残す義務も
何もかも忘れたハゲワシの人生は、驚くほど透き通っていて無垢でした。

でもときどき、ハゲワシのすっからかんの頭の中に
しゃらんしゃらんという軽やかな鈴の音が聞こえてくるのです。

ハゲワシはその音を聞くと、目をパチリと見開いて
小高い丘の上で舞うのです。

その舞を見た通りすがりのアナグマは、口を大きく開けたあと、
目からぼろぼろと大人気ないくらいに涙を流しました。

それから、ハゲワシは一人ではなくなったのです。


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