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変わるものと変わらないもの
2024年大晦日の朝、実家の別部屋で一人こっそりとPCを開いています。かつては家族5人が一部屋に布団を敷いて眠っていましたが、子供たちの成長と共にそれも難しくなり、今は私だけが別部屋です。
昨日は高橋家恒例のお餅つきがありました。朝早く、父が物置から臼と杵を引っ張り出してきた時から、私の中で懐かしい記憶が蘇り始めます。
「あきひさ、火の番頼むぞ」
子供の頃からよく聞いた父の言葉。薪をくべながら火加減を調整する。強すぎても弱すぎてもダメ。絶妙な加減を見極めながら、蒸籠からもうもうと立ち上る湯気を眺める。そんな火の番が、昔は私の大事な役目でした。
でも今は違います。
「はるき、薪はその辺りに置いてみたら?そしたら火の通りが良くなるんじゃない?」
今や火の番は長男の役目。私は横から時々アドバイスを送る程度です。彼は工夫を重ねながら、時には傍らの石を拾って火の中に投げ入れ、その様子を楽しんでいます。
「熱くなった石を水に入れるとジュワーってなるんだよ」
弟に得意げに説明する長男の姿に、昔の自分を見ているような懐かしさを感じます。
私は今、別の役目に従事しています。
「マシュマロ焼きたい人、竹串持ってこっちにおいでー」
火の番から、レクリエーション係へ。事前にスーパーで買ってきておいたマシュマロを竹串に刺して、サツマイモを濡れ新聞紙で包んで。お餅つきの合間の楽しみを、あれこれと工夫を凝らして演出します。
時折、道行く近所の方が声をかけてくれます。
「おはようございまーす」 「賑やかじゃなー」
名前は思い出せないけれど、その声掛けから感じる温かみは、確かに昔と変わらない。この場所が私の故郷であることを、しみじみと実感させてくれる瞬間です。
そしていよいよ、蒸し上がったもち米を臼に移す時。 これぞ私の至福の時!!
「えいっ」
素早く汁茶碗ですくい取り、ごま塩を振りかけ、フウフウと冷ましながら口に運びます。蒸したてのもち米特有の香り、歯で噛みしめた時の弾力、そして口の中に広がる甘み。きっとDNAの奥深くに刻まれている究極の味。
でも今は、ゆっくりとは味わえません。
「パパ、ちょうだい!!」 「僕も食べたーい!!」
あっという間に汁茶碗は空になります。ちょっと残念な気持ちになりながらも、子供たちの笑顔に心が温かくなります。健康で元気に育ってくれていることへの感謝が込み上げてきます。
餅つきが始まると、私は返し手に回ります。昔は祖母や母が担っていたポジション。手の皮は母ほど厚くないので、熱さに耐えきれず何度も水をかけながら、必死にもちを返していきます。
そして子供たちの番。
「よいしょ!!」
重たい杵を振り上げ、時には臼を叩いてしまいながらも、懸命に餅をつく姿に、最前列で声援を送ります。
「パパ見てた?今年は1人でできたよ!!」
満面の笑みを浮かべる次男の言葉に、胸が熱くなります。去年まで「怖い」と言って杵を持つことさえ躊躇していた次男。それが今では、自分の力で杵を振り上げ、誇らしげな表情を見せてくれる。こんな瞬間に立ち会えることが、親冥利に尽きるというものでしょう。
時は流れ、役割は移り変わります。 昔は火の番だった私が今はレクリエーション係に。 母がしていた返し手を今は私が担う。 パパと一緒でないとできなかった次男が、今年は1人でできるように。
でも、変わらないものもあります。
蒸したてのもち米の味 近所の方の温かい声掛け 家族で過ごす時間の大切さ
世代を超えて受け継がれていく伝統の中で、人は少しずつ役割を変えながら成長していく。そんなことを感じられた、今年最後のひと時でした。
AIの発達とともにビジネスの形も会社の形も、凄まじい速さで変化していく時代。その変化に戸惑いを感じることも少なくありません。でも、このお餅つきで感じた温かみは、きっと未来でも変わることはないでしょう。蒸したてのもち米の味わい、近所の方の温かい声かけ、家族と過ごす何気ない時間。そういった原体験があるからこそ、どんな変化の中でも自分らしく歩んでいけるのかもしれません。
この確かな温もりを胸に、来年は会社でもずっとやりたかった挑戦をしてみようと思います。このnoteに関して言えば、読者の皆さんが自分らしい一歩を歩んでいく、その勇気を後押しできる記事を配信し続けていきたいと思います。
そしてそれと同時に、自分自身も、こういった心温まる体験をこれまで以上に大切にしていきたい。そう強く思えた大晦日の朝でした。
さあ、来年はどんな役割が私を待っているのでしょうか。 そして子供たちは、どんな成長を見せてくれるのでしょうか。
新しい年への期待を胸に、今年も一年ありがとうございました。
2024年12月31日
菩薩のようなメンタルコーチ あきさん