中学受験伴走日記⑪(勝負の日)
1/13,14の4校受験を翌日に控えた1/12(金)のことです。
19:30過ぎに娘は最後の授業を終えて塾から出てきました。仕事を終えた私も合流し、車で一緒に家まで帰りました。
娘の表情からは明らかに緊張の色が伺えました。そこで妻も私も、できるだけ彼女がリラックスできるようにと話しかけました。
・・・
あれっ?何を話したか全然思い出せない。
人間の記憶って不思議ですね。ここまでメルマガに書いてきたように、正にその場にいるかの如くありありと思い出せる会話と、そんなこと話してたっけ?って会話と。妻と会話していると「えっ、何でそんなことまで覚えているの?」って妻の記憶に驚かされることありますし、逆に「何で聞いてないの?」って怒られることもありますが・・・まあ、それはここでは関係ない話。
すると突然、娘が泣き出したのです。
娘:「こわいよぉー・・・こわいよぉー」
妻/私:「・・・」
娘:「こわいよぉー」
私:「どうしたの?」
娘:「うぇーん・・・こわいよぉー」
妻/私:「・・・」
(そうだよな。1年間、ずっと頑張ってきたんだもんな。それが明日からの試験で結果が出てしまう。ちょっと待ったなんてできないもんね。背は妻よりずっと高くなったけど、まだ小学生なんだよな。それがさ、自分の人生を左右する重大な局面を迎えて、プレッシャーに負けそうになって、そりゃ、当然だよな。)
娘はプレッシャーに押しつぶされそうで泣いてばかり。こちらから何か聞いても、まともな返事は返ってきそうにありません。
さあ、皆さんならこんな時、どんな対応をしますか?
「これまで必死に頑張ってきたんだからさ、大丈夫だって。とにかく今日は早くお風呂入って、早く寝るんだよ。いい、わかった?」
って、一方的に何かを提案するのはありがちな反応ですが、あまり良い方向に機能しないかもしれません。
だって、これまで頑張ってきたことは本人が1番分かっていますし、早く寝た方が良いことだって当然知っています。それを周りからイチイチ言われると、「うるさいわー」って、逆に反発するような感情が起きることもあるんですよね。
その時の私は、
私:「そうだよね。。。これまで、頑張ってきたもんね。」
娘:「こわいよぉー・・・こわいよぉー」
私:「泣きたいときは泣けば良いんだよ。怖いって言えば良いんだよ。ありのままのあなたで良いんだよ。ずっとお父さんたちは横に居るからさ」
娘:「うわーーーーん、ぎゃーーーん(大泣き)」
私:「・・・」
私:「ちょっとだけ、お父さんのことを話してもいいかな?聴いてくれる?」
娘:「・・・(黙ったまま頷く)」
私:「お父さんの好きな言葉の1つに、”嫌いは止めろ、怖いは進め”って言葉があるの。心が、これは嫌いって思うことはやってもなかなか成果が出にくいし成長にも繋がりにくいの。でも、やりたいけどちょっと怖い、ちょっと自信が無いって時は、それはあなたが今、成長するチャンスを迎えているってサインなの。だからね、少しでもやりたいって思っているときは、できるだけチャレンジするようにしているんだ。実際やってみると、意外と簡単だったってこともあるし、やってみることでわかることもあるし、お父さんはそんな考えで色々チャレンジしているんだ。」
娘:「・・・」
私:「だからさ、受験が終わった時にはきっと、チャレンジして良かったなってものを何か見つけるんだろうなって、勝手にお父さんはそう思っているんだ。あっ、ごめんね。お父さんがそんな話を急にしたくなっただけなんだ(笑)」
娘:「・・・」
特に何か返事があったわけでは無かったが、いつの間にか彼女は泣き止んでいた。少しでも彼女の中で、前を向く勇気が呼び起されていたならいいなと思った。
って、例えばそんな対応ができたら良かったのかなって思います。実際は、あまり良くないと上に書いた対応に近い対応だったんじゃないかと思います。少なくとも、「今日は早くお風呂に入って寝ようね」とは言った記憶がありますし(笑)
・
クライアントさんの状態があまり良くないなってこと、コーチングのセッションでもあります。そんな時に大事にしていること、いくつかあるんでそれをご紹介させてください。
(1)まずは聴く・寄り添う
これは大原則。言わずもがなですね。
専門用語で“クリアリング”と言いますが、不安だったり怒りだったり、クライアントが抱え込んで苦しんでいる感情を吐き出してもらうことで少しでもスッキリしてもらう、それが大事です。「こわかった」「つらかった」「悲しかった」「逃げ出したかった」そんな気持ちを誰かに打ち明けることで、「あぁー、やっと言えた(聴いてもらえた)」って自分が何だか癒された経験、ありませんか?今回の投稿にも、実はそんな私の裏の目的が潜んでいたのかもしれません、誰かに聴いてもらいたかったって(笑)
(2)ありのままを受け止める
「良くやってきたよね」「がんばってきたよね」って声掛けは、別に悪いものではありません。でも時としてクライアントは、その言葉をそのまま受け取り難いケースがあります。「もっとやれることがあったはずなのに…」「もっと頑張っておけば良かった…」と、どうしても自分に厳しいダメ出しをしてしまうケースもあるんですよね。自分に優しくした方が良いと頭では分かっていながら…
そんなケースにおいては、そんな自分を含めてそのまま受け入れてあげようよって関わりも1つのアイデアです。「無理に自分を納得させようとしなくていいんだよ、そういう風に思ってしまう自分も含めてあなたなのだから。私はいつでもそんなあなたを愛しているよ」って感じで。
(3)クライアントの勇気づけになるかもしれない自身の体験を話す
(2)は少し特殊な関わりだと思いますが、上記(1)だけでも十分素晴らしい関わりだし、それをやってくれる存在は非常に貴重です。その上での話ですが、クライアントが何も話できる状態に無い時には、そのクライアントさんに勇気を与えるかもしれないなって思う自分の話を伝えてみる(そこからクライアントさんに何か学び取ってもらえるかも)っていう関わりも有効なアイデアです。他人から「〇〇した方が良いよ」って言われるとそれに反発する心理が働くことも理解した上で、「私はこんな体験をしたんだ。何だか今それを伝えたくなっちゃったから話させてもらったね。聴いてみてどう?」って感じで。人間は、他人のエピソードからその時の自分に必要な学びを得る力を持っているんですよね。その力を信じてみましょう。今この瞬間は難しくても、いずれ何か「そういえば」って気付きを得てもらえることもあります。
ただここには1つだけ注意点があって、事前に「話してもいいかな?」って相手の了承を得ること。相手に聴く(受け入れる)準備が整っていない状況で勝手に話し始めると、効果を得にくいどころか、「私がしんどいのに、何勝手に自分のことばかり言ってんの」ってなっちゃうこともあるので注意。
以上、もしよかったら、どこかの場面で参考にしてみて下さいね。
そしていよいよ1月13日、受験の朝です。
塾の先生がZOOMで繋いで激励下さる機会を用意してくれていました。娘は固い笑顔で言葉発することなく、必死に緊張と戦っていました。でもその数分間の先生の関りのおかげで、娘も我々も、「さあ、いよいよ本番だ!!」って、戦闘モードに入った気がします。親は関係ないけどね(笑)。そして私が車に2人を乗せて、A中学校の近くまで送り届けました。
あらっ、本番を迎える前に長くなってしまった・・・
ということで、受験当日のことはここからハイライトで(笑)
A中学の試験が終わると、娘は吹っ切れた様子だったらしい。「試験がいざスタートしたら、そこからは緊張を感じることは無かったよ」「面接は自信ある!!」って。そして2人してD中学に歩いて向かったそうです。途中で虹が見えたと妻は語っていました。
D中学は、リラックスして受けられたらしい。手応えあったようで、帰りの車の中では「ねえ、パパ。全額免除とか半額免除とかの対象になったらどうする?」って。あっ、この感じだったらD中学はとりあえず大丈夫そうだなって安心しました。「全額免除になったら1万円あげるよ(笑)」って会話を、帰りの車の中でしていた。
日が変わってB中学、問題は難しかった様子。「でも、出せる力は出せた」って娘の言葉が嬉しかった。
最後のC中学、「B中学の試験よりはできた」って微妙な反応。帰りの電車の中で、前日受験したD中学の合格発表をスマホで確認。「やったー、5000円だ!!」って、とにかく大喜びしてたようです。私にも「パパ、5,000円だからね」ってメッセージが、合格通知と共にLINEで入ってきました。半額免除で5,000円って話、したつもりは無かったけど…
そして幸い、その翌日には、C中学校、D中学校からも合格の通知を頂くことができました。私立を受けることを決めてから1か月、その結果が出たからこそ言えることかもしれませんが、娘の頑張りと強さが誇らしく思えます。本当、よく頑張った!!よく諦めなかった!!よく立ち直った!!
さあ、いよいよ残すは公立のA中学校の合格発表のみ。運命の結果や如何に??
ということで、次回もお楽しみに!! (^o^)/
(つづく)
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