自分をコーチとして扱うために2024年において取り組んできたこと【コーチングにまつわる話】
はじめに
会社員を辞めてから、もうすぐ丸二年が経とうとしています。自己紹介の機会や誰かに私が何者か聞かれたときには、「何もしていない人です」と答えてきました。
「何もしていない人」という表現は、ジェニー・オデル著の『何もしない』に大きく触発されて使っています。この現代社会において本当に何もしないとはどういうことか、考えさせられる本です。
では、実際のところ本当に何もしていないのか、つまり無職であるのか、というとそうでもなくて、2023年12月に開業届を出しており、コーチとして僅かばかりではありますが収入もあり、そんなわけで「フリーランスのコーチです。」が、私が何者かという質問に対する誠実な回答だと思います。
でも、ついつい「何もしていない人です」と名乗る私がいます。
コーチングの学びは沼のよう
2022年4月にコーチングを学び始めて以来、2024年12月現在もその学びは継続しています。よく仲間内で「コーチングの学びは沼のよう」という言葉を耳にしますが、まさにそれ。沼は底なしです。あたたかく、柔らかく、優しさを感じる沼でもあります。
なぜ、学び続けるのか?
それは「自分をコーチとして扱う」ためには、「自己の器」や「あり方」という命題が避けられないからだと思います。点数をつけたり、数値で測ったりすることのできない命題です。
「自分をコーチとして扱う」ことは、私がまだコーチングスクールで受講中にコースリード(講師)から言われた言葉です。まだ、受講半ばでありセッションの経験も少なかったなかで、その当時の私のクライアントさんたちにどう向き合うか迷いがあったときに、「自分をコーチとして扱う」ようにと言われて、ギクリとしました。そうしていない自分がいたからです。
コーチングにも、スキルやノウハウはあります。でも、それらを知識として知ったとしてもコーチングはできません。やってみたとしても、そこにはきっと物足りない何かが残ると思います。それは、不足とか不備とかではなく、余地とか可能性とか呼べる何かです。
余地とか可能性と呼べる何かを引き出したり下支えしたりするのが、コーチの「自己の器」であり「あり方」であるのではないかと思います。スキルやノウハウとは違うところで、コーチングを行い、クライアントさんと向き合うことで、余地とか可能性が生まれる。コーチングのプロセスって、そういうことなのではないか。
そして、そのプロセスを信じることが「自分をコーチとして扱う」ことなのではないか。ということは、「自己の器」や「あり方」をどうにかしたい!どうにか?どうすればいいんだ?!という気持ちに突き動かされて、コーチングの学びに没頭するようになります。沼にずぶずぶと入り込んでいくわけです。
沼は底なしです。あたたかく、柔らかく、優しさを感じます。今回のこの記事はその沼について話します。
始まりは THE COACH という沼
今までにも note の記事において、私は THE COACH というスクールでコーチングを学んでいるということはお話してきました。ここの沼が、格別にあたたかく、柔らかく、優しさを感じます。
2023年3月にインテグレーション・コース(プロコース)を修了しているのですが、今現在もコミュニティの Slack に在籍しており、毎日のように通知を確認しています。今もって、THE COACH はコーチとしての私のホームだと言えます。始まりの沼です。または沼の入り口とも言えます。
では、「何もしていない人」である私が「自分をコーチとして扱う」ために、どんなことに取り組んできたのか、どんな学びに取り組んできたのか、振り返ってみたいと思います。2024年の振り返りです。
「諦め」を扱うことは「願い」を扱うこと
2023年11月からスタートしたセルフデザインプラグラムの「ROOTS」に参加したことは、2024年が終わろうとしている今も私の中に大きな何かとして残っています。
何がどう良かったのかについては、3月に記事にしました。もし良かったらお読みいただけると嬉しいです。
この記事の終盤に、私はこのように書いていました。
久しぶりに自分の書いた記事を読み返して、「旅人」というキーワードを見て驚きました。つい先日投稿した記事に書いた「世界の断崖絶壁を見に行きたい」というビジョンに通ずるものがあったからです。
ROOTS を受講中に自分に課した宿題もありました。宿題にしたおかげで、私はひとつの大きな未完了を完了することができました。それは「コーチングのクライアント募集」をすることです。
つい最近も、この記事を通して新しいクライアントさんとの出会いがありました。ありがたい。そう考えると、ROOTS はコーチとしての私に欠かせなかったと言えます。
私が参加した1期が修了したのは今年の2月初めなのですが、7月から9月にかけて次の期のアシスタントをする機会もいただきました。感謝です。
ROOTS を通して学んだことは、「諦め」を扱うことは「願い」を扱うことであるということです。未来を見るために、過去を振り返ったことがとても効果的でした。
ちなみに、ROOTS ではもうひとつ大きな出会いを果たしているのですが、それはまた別の記事でお話したいと思います。出会った方の画像だけ紹介しておきますね。
コンパッションの呪文を学ぶ
今年の5月から8月にかけては、りょうこさん と さきさん 主催の「コンパッション・マインド・トレーニング講座」を受講しました。
以前投稿した記事から、コンパッションについて簡単に説明した部分を引用してみます。コンパッションとは思いやりの循環なんです。
こちらが、引用元の記事です。読んで貰えたら嬉しいです。
コンパッションを学んだことで、コーチとしてはもちろん、人として良かったと感じることが多くありました。特に社会との繋がりにおいて、コンパッションの考え方はとても重要だと思います。さらに言うなれば、人にとって一番近い社会である家族との繋がりにおいて、コンパッションはその力を発揮します。
コンパッションについては、その知識も非常に大切ですが、コンパッションの知恵を知った上で、それらを実践する決意や強さや勇気が必要になってきます。
上に紹介した記事では、私自身と会社という社会の繋がりにおいてコンパッションがどういう役割を果たしたか話しています。そして、私が今まさにコンパッションを発揮したいと思っているのが、家族との関係においてです。年末年始という時節柄、普段は少し距離のある家族との時間を持つことは避けられません。
「コンパッション・コンパッション・コンパッション」と心の中で呪文を唱えながら、家族との時間をなんとか良いものにしたいと思っています。
農業体験を通して自然と触れ合う
私がレイチェル・カーソン著の『センス・オブ・ワンダー』を読んだのは、もうかれこれ二十年以上前のことになります。当時の私には、むしろ『沈黙の春』の方が分かりやすく衝撃的でした。
私は生まれも育ちも在住も、東京です。20代の後半の数年はカナダで暮らしていたことがありましたが、私は都会っ子です。根っからの都会っ子です。
昨年参加した新潟県魚沼市須原における雪国リトリートにおいて、自然と触れ合うなかで「自分は何者か?」という問いに対して出した答えが、「都会っ子だったんだ、私」でした。
その時のエピソードも記事にしてあります。たびたび過去の記事の紹介になって恐縮ですが、ご参考までに。
そんな都会っ子である私が、「センス・オブ・ワンダー」に出会い直したのも、コーチングの学びがきっかけだったと思います。とにかく、「自然と触れ合うこと」が「五感をつかうこと」であり「感性を磨くこと」になり、つまりは「自己の器」や「あり方」に何かしらのいいことがある、と学びました。
今年は可能な限り、その学びを体験や実験を通して得ようとしました。農業体験やお手伝いの情報やお誘いがあれば、検討することもなくとにかく行ってみることにしました。
遊あしがら
積極的に参加したのが、神奈川県南足柄市の「遊あしがら」さんのアグリヒーリングというプログラムでした。こちらはヤギさんに会えるという特典(?)つきでして、私にとってはこのヤギさんとの触れ合いがまさに癒し(ヒーリング)でした。
私は先ほど、このような表現をしました。
どうやったらこの証明がなされるのか分かりませんが、遊あしがらさんでは「農業体験がヒーリングになる、ストレス軽減につながる」ということを数値で見せてくれます。
農業体験の参加者は、唾液に含まれるアミラーゼ値を測ってもらいます。簡単に説明すると、アミラーゼ値が高いとストレス値も高い、アミラーゼ値が低いとストレス値も低い、という仕組みです。
面白いことに、農業体験の前後でちゃんと数値に変化が見えます。ほとんどの参加者は農業体験後にアミラーゼ値が下がります。数値で見えると説得力がありますね。
遊あしがらさんの note トップページはこちらです。
あゆた
そして、THE COACH やコーチングの学びを通して出会った、ゆりちゃん、たにさん、あっちゃんによる「あゆた」の農業体験でもお世話になりました。収穫した梅をいただいて作った梅シロップは本当に美味しかった。
「あゆた」の3人は全員がプロコーチです。講師になっちゃうくらいのプロです。その彼らが農業体験を提供するに至ったということは、農業体験の可能性を感じずにはいられません。
森のお仕事株式会社
そしてそして、またまた THE COACH を通して知り合った、まなみさんのお誘いで参加した農業体験も印象的でした。何が印象的って、場所が「東京都」であったからです。東京です。
檜原村でお茶摘み&お茶作り体験をし、あきる野市で柚子収穫のお手伝いをしました。どちらも都内とは思えない自然豊かな場所です。私が知らなかった東京の可能性を感じました。
お茶摘みも柚子収穫も、まなみさんが素晴らしいレポート記事を残してくれました。ぜひぜひご覧ください。
農業体験を通して、私の「センス・オブ・ワンダー」がどのように養われているかは分かりません。でも、どの体験もとても「楽しい」ものでした。自然と触れ合うことを楽しいと思える自分を発見しました。この感覚は以前にはあまり感じることはなかったものです。
農業体験は来年も引き続き可能な限り参加をしていきたいし、さらに言えば、来年は農業バイトに挑戦してみたいと思っています。
本を読むことは学びの基本だと思う
今年は読書会への参加も企画も積極的にしました。
子どもの頃から本を読むのは好きでしたが、小説やエッセイばかりでした。コーチングを学び始めてから、人文系の本を読むようになったのですが、これが大苦戦。
小説やエッセイはシンプルに自分が読みたいものを読み、自分が満足感(面白いでも、楽しいでも、悲しいでも)を得られればそれでいいのだと感じます。一方で、人文系の本は「学び」という目的があるからか、自分が十分に理解できたか否かが気になるし、だからこそ読み進めるのに苦戦します。
そこで私が助けを求めたのが、読書会でした。
一口に読書会といっても様々なやり方があると思いますが、私が参加している読書会は、それぞれが一冊の課題本を読んできたうえで、感想や理解や疑問をシェアし合うことが多いです。そのシェアの時間が、課題本への理解や興味を深めてくれます。
本を読むことは学びの基本だと思います。学びを助けてくれる読書会に感謝です。そして、共に本を読み進めてくれる読書会仲間に感謝です。
読書会を通して出会った本を紹介します。
ブックダイビング(ともに潜る読書会)
心を裸にする読書会(THE COACH 応用Bコース19期有志)
成人発達理論講座読書会
コンパッション・コミュニティ読書会
これらの本は全て、私にとってはコーチングの学びであると思いながら読んでいます。でも、コーチング関係なくお薦めの本でもあります。
私が今年一番頼った人物
当たり前のことですが、コーチング業界にはたくさんの私の先輩たちがいます。その中で何かご縁があって、私が今年一番頼った人物を紹介します。
Colorful U というコーチング学習サービスを提供している 張孜翔(つーしゃん)さんです。あとで伝えるのを忘れてしまいそうなので、ここで感謝の意を伝えておきたいと思います。今年は本当にお世話になりました。ありがとうございました。
ご本人の許可は得ていませんが、ここでは私が普段呼んでる つーしゃん で失礼します。
つーしゃんにはどんな場面で頼ったのか。それは、彼が今年怒涛の勢いでリリースしてくれた企画への参加です。コーチングに少なからず関係する分野の第一人者の方から直接学びを得ることができる企画を、彼は次々と提供してくれたのです。
当時のリリース記事または報告記事を紹介します。
コーチングの成り立ちも、ゲシュタルト療法も、フォーカシングも、ザ・メンタルモデルも、それぞれ1本2本ずつ note を書けるだけのインパクトを受け取りました。ひとつひとつの詳細説明は省きますが、いずれもコーチングを学ぶ者にとっては、強く惹きつけられる分野です。
もうね、沼がいっぱいなんです。
中でも対面のワークショップだった「ゲシュタルト療法 for コーチ」の企画への参加は、強く心揺さぶられました。その時の思いは、私も記事に残していました。
我ながら面白いなと思うのが、自分と向き合うこと、自分の内面を覗くこと、自分自身が揺さぶられることを話題にするとき、連想するのが「断崖絶壁」なんです。上に紹介した記事にも最後に、断崖絶壁と言っていい大きな岩が登場しています。やはり、なにかあるんだなあ。
COACHING GYM
そして、つーしゃんによる今年一番の取り組みが COACHING GYM です。私は β版の COACHING HUB から参加させていただきました。当時の募集記事をご覧ください。つーしゃんの熱い思いが伝わってきます。
そして、現在の COACHING GYM のホームページも紹介しておきます。もっともっと仲間が増えるといいなと思っています。
COACHING GYM とは何をするコミュニティなのかというと、色んなコーチングスクール出身のコーチが集まり、お互いにコーチングセッションをするんです。やっていることはシンプルにコーチングセッションの練習です。これが、想像以上にインパクトがあることでした。
セッションの練習は、普段から自分の出身スクールでもある THE COACH の仲間とも行っています。それこそ月に何度も何度も行います。私の好きな時間でもあります。自分の課題を見つけ、自分が学んだコーチングスタイルを忘れないようにする時間です。
それが今では COACHING GYM の仲間との時間も、かけがえのないものになっています。
COACHING GYM の仲間とのコーチングセッションの練習において感じるインパクトは、特にフィードバックの際に起こります。まるで本当のクライアントさんからフィードバックを頂いているような体験ができます。同じ学びを経た仲間とは一味違うフィードバックがあるんです。時には違和感や葛藤を感じるときもあります。でも、そんなフィードバックが私には必要でもあると感じています。
COACHING GYM の仲間とのセッションを体験してから、THE COACH の仲間とセッションをするときの安心感も、やはりかけがえのないものです。ホームに戻り、自分のコーチングをあらためて固めるような感覚があります。客観性またはメタ認知とでもいうのでしょうか。「自分をコーチとして扱う」ために必要なプロセスだと感じています。
THE COACH の沼は、あたたかく、柔らかく、優しさを感じます。COACHING GYM の沼は、熱く、まだ底が知れないような気がします。
おわりに
さてここまで、自分をコーチとして扱うために2024年において取り組んできたことを、思いつくままに書き綴ってみました。
それがですね、まだまだあるんです。でも、もう体力と時間が無いんです。ここで紹介しきれなかった沼は、いつかタイミングがきたら記事にしたいと思っています。まだまだ沼だらけ。
そして、ここまで読んでくださった方に、コーチングのクライアントさんを募集させてください。「何もしていない人」ではありますが、「自分をコーチとして扱う」ために、これでも必死に何かに取り組んできた人でもあります。
お申込みフォームのリンクも貼っておきます。
少しでもご興味ある方は、ぜひ体験セッションのお申込みくださいませ。2025年1月1日より、体験セッションは1,000円にて承っております。
色々なクライアントさんに出会いたいと思っています。そのことについて書いた記事もあります。よかったらお読みくださいませ。
(2025年1月6日更新)
ふうやれやれ、なんとか今年2024年中に投稿できそうです。いつものことですが、書き始めるのが遅いのです。来年はちょっとそこのあたり何とかしたいものです。
冒頭の写真は言わずもがなカナダ プリンスエドワード島の写真です。北海岸の荒れた海と赤い断崖絶壁を眺めに行った時のものです。
今年一年ありがとうございました。
そして2025年もどうぞよろしくお願いします。