オンラインでの場作りにおける、コーチング的関わり方のもたらす効果
こんにちは、高橋純平と申します。
コーチェットでは基幹システムの構築・運用やオペレーションの最適化を中心に担当しています。
コーチェットは創業から3年間、フルリモートでの組織運営を続けています。
日本全国各地、海外に住む多様なバックグラウンドを持つ仲間で協業できています。
コロナ禍でリモートワークを増やした企業が多かった中、コミュニケーションなどの難しさから最近では従来の出社前提での運営に戻す企業も増えていますね。
リモートワーク下での組織運営や場作りは対面に比べると難しい側面があるのは確かです。
今回はその難しさをコーチング的な関わり方によってカバーしてきたお話をしたいと思います。
オンライン会議で起きやすいこと
コロナ禍を経て、今では当たり前のようになったオンライン会議。
ネット環境やPCやカメラ等のスペックが上がったことで、遠隔地の人とのオンライン会議がストレスなく行えるようになりました。
コロナ前も技術的には出来たものでしたが、こと日本においては対面で行うことがベースにあったように思います。
ある意味強制的に物理的な接触を禁止されることで発展したオンライン会議の習慣ですが、距離や時間を超えてコミュニケーションが取れることのメリットに気付かされることになりました。
会議と会議の間の移動時間を省けたり、会議室の空き確認などの「会議をするための作業」が削減できるのは個人的にも良い点でした。
しかし、同時にオンライン会議ならではのデメリットも大きかったのです。
それは伝達手段が画面に映る範囲に限られること。
対面で同じ空間にいられればホワイトボードや紙に書いたりして認識を揃えたり、悩んでそうな"雰囲気"を察して声をかけてあげたりができました。
オンラインだと画面からしか読み取れないので、"察する"ための情報が大きく削られてしまうのです。
今まで何気なく察してもらえていたような情報伝達は、発信者側が意識して伝えないかぎり伝わらなくなりました。
対面での会議に比べるとオンライン会議では限られた情報の中から頑張って察しようとするので、余計にエネルギーを使う印象があります。
生産性を求めていくと失いがちなもの
今まで複数の会社に勤めてきましたが、「会議の最適化」はどの企業も常に課題にあがり、試行錯誤を繰り返してきました。
世の中にも会議の仕方に関しての書籍やTipsが多く出ているので、世界中で共通したテーマだといえるでしょう。
なるべく短い時間で、目的に対して効率的・効果的な進め方を突き詰めていくと、とてもストイックな場になってきます。
車のハンドルでいう「あそび」の部分がどんどん削られていく感覚です。180km/hのスピードで少しも車線からずれないようにまっすぐ走ろうとしたら自然と肩に力が入り、前しか見ていられない状態になる、そんなイメージです。(やったことはないですが)
ちょっとでも議論が横にそれようものなら、もはやそれは事故かもしれないですね。
生産性が上がることと、発想が拡がったり、アイデアが生まれたりするような場作りはときに相反しますが、時間を一つの指標にするとどうしても生産性の観点が測りやすいこともあり優先されがちです。
対面であれば「○○さんが何かしゃべりたそうだ」「▲▲さんが思いついたような顔をしている」といった情報が自然を入ってくるので、意図した脱線が可能にですが、オンライン会議だと勇気を持って脱線させなければならず、発信する側もかなり気を使います。
会議の目的にもよりますが、目の前の会議をスムーズに進めようとするがあまり、思いもよらぬ発想やアイデアが生まれる可能性を失ってしまっている可能性もあります。ただ、これはオンライン・オフラインどちらでも起こることです。
オンラインだと伝わりにくいもの、誤って伝わってしまうもの
オンライン会議だとオフラインに比べて"察する"ための情報が削られると書きましたが、話し手と聞き手がどういう観点を「察し合っている」のかを考えてみましょう。
以下は私の個人的な見解ですが、会議で特定の議題を扱っている際に本題を扱う以外に使っている思考のイメージを挙げてみました。
他にも色々と察し合いながら参加していると思いますが、要するにキャッチボールだとするとちゃんと「受け取ってくれているか」を気にしながらのやり取りが続いているのではないでしょうか。
対面で同じ空間にいれば相手が聞いていそうかどうかは非言語の情報からも察することが比較的容易です。
それがオンラインになり、参加者も増えてくると難易度が一気に上がってしまう。
聞き手側はしっかり聞いているつもりでも、話し手側には大げさにいって半分も伝わっていないように思います。
オンライン会議の場で話し手側に立つ場面では必要以上に緊張するのはそのためな気がします。(心理的安全性が高い弊社でも緊張するのですから)
オンライン会議だと聞き手側の表情などを全員分常に見れているわけではないので、話し手は疑心暗鬼になりながら話し続けることになります。
聞き手側は大げさなくらいに頷いたり、チャットでリアクションをするなどしない限りは、「あなたのボールをしっかり受け止めてますよ」というのを伝えるのが難しい。
コーチング的な関わり方で変えられること
オンライン会議の難しさばかりを書いてきましたが、オンラインだから可能になっていることもたくさんあるので、どうにかこのデメリットを緩和する方法を考えたいです。
ポイントになってくるのは話の受け手側が「安心してください、聞いてますから!」というメッセージを発信することだと思います。
何がちゃんと伝わっていて、何が分かりにくいのかがその場にちゃんと出てさえいれば修正していくことができるので、受け止められているかどうかを表明する方法があれば良いはず。
そこで使えるのがコーチングの手法のうち「傾聴」と「承認」です。
コーチングに限らずコミュニケーションの手法として当たり前だろうという方も多いかもしれないですが、オフラインでの当たり前のことはオンラインの場においては意識して行った方が良いです。伝達効率が半減しているのですから。
傾聴と承認それぞれのやり方については過去の勉強会のまとめ記事あるのでそちらをご参照ください。
オフラインだったら話し手の目を見て、頷きや合いの手を入れることで「聞いてますよ、伝わってますよ」というメッセージが届きやすいですが、オンラインの場だと音声が混線したり、目が合っている感覚を持つのは難しい。
画面をオンにして頷きを示すことに加えて、ツールに用意されているリアクションの効果やチャットを活用することで、オンラインならではの「傾聴」「承認」を表現することも可能です。
手法は様々ありますし、オフラインの時よりも意識して行う必要があるため比較すると疲れるかもしれないですが、会議の場でよりよい議論を生み出したい時などはいつもよりオーバーリアクションで参加するくらいがちょうどよいでしょう。
話し手にとってはノーリアクションや沈黙はかなり恐怖なのですから。
コーチングはスキルであって大事なのはスタンス
オンライン会議の場においての難しさと、コーチングの手法として「傾聴」「承認」が使えるのではと話してきましたが、一番大事なことは「やり方」ではありません。
「愛の反対は無関心」というように、そもそも相手や議題に対して「興味・関心」を持ってその場に臨めているかどうかが大事です。
興味はないけど、スキルとしてできるからって「傾聴してるふり」や「承認してるふり」をすることはかえって悲劇を生むことでしょう。
いくら情報が限られるオンライン会議だからといっても、そういう根っこにある部分・スタンスは不思議と伝わるものです。
自分が話し手だったらどういう姿勢で聞いてほしいか、どういうリアクションをしてほしいか、小学生の頃に習ったような「相手の立場に立って考えましょう」というのは、人と人とのコミュニケーションにおける原理原則なのだと思います。
オンライン会議ではないですが、コーチング的な関わり方を家庭でのコミュニケーションに取り入れて、大きく変化があった事例を載せておきます。
生き方のスタンスが素晴らしい仲間の一人です。
おわりに
ここまで読んでくだり、ありがとうございます。
コーチングというHOWを学ぶ中で、自分自身のスタンスに気づいたり、変化しようと思えるキッカケになったら良いなと思ってます。
コーチェットでは 「すべての人が、互いを生かし、育て合う社会をつくる」というビジョンの元で、コーチングをはじめ、人の生かし方について日々研究・開発をしています。
今回のアドベントカレンダーを通して、サービスや会社やメンバーに少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
他のメンバーの記事も興味深いものがたくさんさるので、是非御覧ください。