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ハラスメントに対する誤解

組織開発のコンサルタントをしているALMAです。
PCCという資格を保有しており、コーチングやセラピーの手法を使って対人支援もしています。
専門は「人と組織の関係性向上」で特に「セルフオーナーシップ」「ハラスメント対策」が特徴的な分野でしょうか。

つい最近、Xなどで意外と多く見かけるハラスメントに関する気になるコメントがあり、少し書いてみます。

ハラスメントってどうして訴えた側がハラスメントだと思ったらそうなるんでしょうね。ちゃんと評価する機関があればいいのに

Xより

これ、フォロワーの多い経営者が発信していることがありますが、2つの意味で危険だな、と思っています。

1つ目・・・訴えることと認定されることを混同して考えている点
2つ目・・・ハラスメントの防止措置を講じられていない会社であると宣伝してしまっている点

訴えることと認定されることを混同して考えている点

主に悩ましいハラスメントの種類として「セクハラ」と「パワハラ」が挙げられます。

定義は長いので別の機会にお伝えするとして、これまでの組織で行われていたコミュニケーションの見直しがなされる中、苦しんでいる管理職も多くいらっしゃいます。
実際、「訴えられることが怖い」として部下とのコミュニケーションの相談を受けることもあります。

ただ「訴えられた=認定される」ではないことは理解しておく必要があります。

何かを「訴える」というのは改善のために必要な過程です。組織でそれがなされなければ、成長は見込まれません。

人にはそれぞれの「視点」があります。「事実は1つでも真実は人の数だけある」という通り、何が確からしいかは多くの人から検討される必要があります。

訴えられると、人事や周囲からネガティブな印象を持たれキャリアに傷がつくのではないか?という不安を感じることはもっともだと思います。
ただ、人には訴える権利があるんです。

組織ではしっかりと「事実」を確認する過程を持って、訴えた事象の有無、そしてそれはハラスメントに該当するのか、該当する場合はどのような処分が適切なのかを順番に判定をされていきます。
ですから、無闇矢鱈に人を排除する意図で行使された手段は、その責任も当人に返ってくることになります。
訴えられた=認定される」ではありません。

ハラスメントの防止措置を講じられていない会社であると宣伝してしまっている点

前段でお伝えしたように、ハラスメントの認定判定は組織の中で手順や程度が決められており、遂行されていきます。
人のキャリアに影響を及ぼす事象であるからこそ、的確に対応するべき分野です。

また、ハラスメント防止に向けて国は指針を出しています。
そして、その中で事業主(経営者)はハラスメント防止のための措置を講ずるように示されています。例えば以下のようなものです。

  • ハラスメント防止を推進するトップメッセージの発信

  • 規定の整備や周知

  • ハラスメントの状況把握(実態調査)

  • 教育啓発(研修等)

  • 相談窓口の設置と解決に向けた活動(外部専門家連携も含む)

  • 適切な事実関係の把握と再発防止策の検討

つまり、TOPが主導となりハラスメント防止の仕組みを作り、適切に遂行されるように整える必要があるわけです。

そのため、事業主(経営者)がハラスメントの誤った認識を吐露していると、その会社はハラスメント防止の措置が取れていない会社である、と公言してしまっているようなものなのです。

最後に・・・

どうでしょう、これらを踏まえると以下2点が明確になります。

  • ハラスメントは訴えた側がハラスメントだと思ったらそうなる、というわけではない

  • 評価判断する機関は事業主(経営者)が率先して作る

テキストメッセージというのは誤解がされやすいコミュニケーションです。Xでの発信の背景には語られない多くもあると思います。
私自身、自分の認識間違いや誤解があるかもしれない。自分の一言がどんな影響を及ぼすか、そんな気持ちを持ちながらあらねばならないな、と思います。

よろしければサポートをお願いします。今後のコーチング活動に活用させていただきます。