売れた本の9割は、タイトルに「9割」が入っている!?
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「いったいどっちが本当やねん? 足したら10割超えてまうやろ!」
とのツッコミが殺到した永松茂久氏のベストセラー2冊である。
『人は話し方が9割』
は2019年9月刊行。
なんでも年間ランキング3.5年連続1位で133万部という最も売れたビジネス書だそうである。
右側は、「聴く力」ブームに乗って柳の下の2匹目のドジョウを狙った
『人は聞き方が9割』
2021年12月の刊行である。
こちらもヒットしたらしく、出版界には「9割旋風」が吹き荒れた。
流行りに乗って、この投稿のタイトルも「9割」を使ってみた。笑
この著者には、もう一冊
『リーダーは話し方が9割』
がある。
実は、永松茂久氏のずっと以前に「9割」を冠してベストセラーになった本がある。
竹内一郎氏の新潮新書
『人は見た目が9割』
である。2005年10月刊行である。
このタイトルは人口に膾炙したから、ご存じの方も少ないと思う。
本のタイトルとは知らずに話題にした方も多いのではないか。
この本が「9割旋風」の震源地かもしれない。
追い討ちをかけるように
『やっぱり見た目が9割』
を2013年に世に問うている。タイトルにはしっかり「見た目」と「9割」とが引き継がれている。
このほか、佐々木圭一氏の
『伝え方が9割』
も売れた。
2013年3月刊行だが、全2冊で112万部だそうだ。
このあたりが「9割旋風」を「9割ブーム」に押し上げた火付け役だったのかもしれない。
9割旋風がいつから吹き荒れているのかは詳らかではないが、9割旋風って、どのくらいすごいのか? Amazonで調べてみると、、、、
あるわあるわ、、、出てくる出てくる、、、凄まじい台風並みの強風なのだった。
誰が数えたのか知らないが、一説によると300冊を超す書籍のタイトルに「9割」が使われているそうだ。
あまりに種類が多いので5種類のパターンに分類してみた。
(1)
9割旋風の本流と思われる「~~が9割」にはこんなものもある。
「主語部分に命題を持ってきて、それがほぼすべて」と言いたいパターン。
『ダイエットは習慣が9割』
『人の命は腸が9割』
『結局、腸が9割 名医が教える「腸」最強の健康法』
など命や健康の決め手は腸だという一連の書籍群。類書多数。
次は起業の要諦は、与え方! 自動化! 節約! 妻の力!だとする書籍群。
『女性が起業して成功するためには「与え方」が9割 』
『オンラインで起業・集客するなら「自動化が9割」』
『起業は節約が9割: お金を使わない起業のノウハウ10選』
『会社は妻の力が9割: 夫婦で経営するための5つの秘訣』
読者は、本当に9割なのか?とは思ってはいない。
「9割=すごく大事」
と読み替えているだろうことは想像に難くない。
(2)
多くの人たち=9割と表現した書籍群
『9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方』
『9割の医者が知らない 正しいアトピーの治し方』
『9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方』
『9割の人が知らない。タンパク質で痩せる、疲れない、健康な身体になる方法: 今日から試したくなるタンパク質の話』
『9割が知らない正しい距離の見つけ方』
『ビジネスと気学 9割の人が知らない起業・独立を成功させる方法』
『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』
『日本人の9割が知らない日本の作法』
『日本人の9割に英語はいらない』これは、マイクロソフトの社長も務めた成毛 眞氏の本のタイトル。
人以外でも、それがほぼすべて!と言いたい書籍群
『アレルギーの9割は腸で治る!』
『9割の病気は腸で治せる!』
『9割の社会問題はビジネスで解決できる』
『心配事の9割は起こらない『考え過ぎは時間の無駄』そう思った瞬間に解決できる脳の仕組み!』
『精神科医が断言する 「老後の不安」の9割は無駄』
(3)
すべてとは言わないけれどまあまあ多いよ!と言いたい9割
『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』
『起業家たちのバイブル: 起業の不安の9割が消える』
『リピート率9割の雑談おしゃべり術』
(4)
いくらなんでもそれは言い過ぎだろ!と思わせる強引なタイトル。
『あなたの体は9割が細菌』 笑
【注】
くりすたるるさんがこの本をお読みになっていて、うれしいことにコメントを寄せてくださいました。
私も、この本を読まずにタイトルだけ見て「んなわけないじゃん!」と思い、笑い飛ばしておりました。
noterの皆さんってほんと、読書家揃いで勉強されていますね。
こんな指摘は大歓迎です。間違い、感想、なんでもコメントいただけると嬉しいです。くりすたるるさん、改めてありがとうございました!
要約動画がありましたので、貼り付けておきます。
『9割が無駄: ノウハウは捨ててしまえ』
『日本人の9割は愚民』
『美容常識の9割はウソ』
(5)
言い切るのはちょっと無理があるかも、という謙虚な9割
『ハッタリが9割くらい: ~映像会社社長による究極の人生開拓法』
ざっと、こんな感じである。
「9割」という具体的な数字が、それが本当かどうかはさておき、読者に対して説得力を持つようだ。
noteの書き方を指南した投稿にも、具体的な数字を入れよ!と教えるものもある。数字ならなんで良い訳ではなく、7割でも8割でもなく「9割」が響いたようである。
最後に、9割現象を逆手に取ってCMにしてしまった例があるのでご紹介したい。
サントリーのビール、プレミアム・モルツである。
日本では製造されているビールの9割がラガービールであることを逆手に取って、たまには1割のエールビールも楽しんでみては?と誘うCMである。
上手いね! 広瀬すずが?
いや、エールビールが?
いや、コピーライティングが!笑