3/9 本をはさんで、おしゃべりする場を国分寺で開きます|ははがよむ
小さい子どもがいる母も、自分の本を読む時間がほしい。
子どもがまだ小さかったころ、出かけるとどこに行っても「ママ」の顔を求められ、自分の好きなことをする隙間もないような、窮屈な気持ちを味わいました。
子どもと過ごす時間はとても幸せで楽しくもあったけれど、自分の好きなことについて話す機会はありませんでした。子どもには不向きかもしれないものを楽しむことを、世の中があまり歓迎していないように感じることもありました。
子どもが成長して少し余裕が出てきたら、育児中に〝自分に還る時間〟(私の場合、それは本の時間)、をなかなか持てなかったことを世に問いたい、という衝動のようなものがこみ上げてきて、周りの人に話すようになりました。
「確かに!」と同意する人もいれば、「考えたこともなかった」と、驚く人もいました。「小さな形からでもいいから、なんでもやってみたら」という言葉に押されて、ただ本が読みたかっただけの私が、少しずつ動き出しました。
こうして2017年、本を介して自分に還るためのさまざまな方法を考え、提案する「ははがよむ」がはじまりました。
名称は、少し悩みました。子育てしているのは母だけではないし、父も、もしかしたら祖父母だって、自分の時間が必要です。
この名前が活動に対する誤解を招いたり、逆に母たちを縛ってしまったりしないか、とも考えました。とはいえ、私の周りで同じ思いを抱えていたのは母ばかりだったし、なにより私自身が母として悩み、考えたことなので、思い切って「はは」を主語にして、一番やりたかった「よむ」を中心に据えました。
子どもが通っていた幼稚園で知り合ったデザイナーの友人に相談したら、とてもすてきな図案を考えてくれました。子どもと大人が互いの体温を感じながら、それぞれに楽しむ時間。「ははがよむ」の言いたいこと、求める空気を的確に伝えるこのマークが、すべての始まりでした。
「ははがよむ」とは――。子育てに一生懸命で、自分が置いてけぼりになったときに、好きなことをする時間はとても大切。お気に入りを選んだり、一人で読んだり、大人同士でおしゃべりしたり………本を介して自分に還るためのさまざまな方法を考え、提案しているチームです。公民館などで、お母さんが自分の本を読むことができる場づくりなどをしてきました。東京・国分寺や小金井、小平で暮らす母16人(2022年3月現在)がメンバーです。
これまで、武蔵国分寺公園での読書会や、ゲストを招いた講演会、「本と演奏の会」などを企画しました。2019~20年度には、公民館の和室で行ってきた企画「おかあさん、ちょっと本読んできていいよ」をバージョンアップさせた、図書館託児「小さい子どもを育てる人のための本の時間」を、市と協働という形で実現しました。
そんな私たちが新たにはじめたのが、本をはさんでおしゃべるする場「とんとんとん」です。2月24日には国分寺市の本多公民館で場を開き、子どもたちも一緒に、柔らかで刺激的な時間を楽しみました。
集まった本は、内容も形態もさまざま。スタッフの「積読」(読まずに積まれている本)コーナーに並んだのは、親子ハイクに野の花、つくし――。「焚き火がしたい!」という話でも盛り上がりました。
小さなお嬢さんも、大切な本をリュックにたくさん詰めて持って来てくれました。バムとケロに、ガマ君とカエルくん。「どじょうおじさん」には、びっくりしました。
創作したお話をお子さんに語り聞かせている方も。お子さんの好きなものや体験を織り込んだ「世界に一つだけのお話」が子どもの力になる、と説く本を紹介して下さいました。
子どもたちも折り紙をしたり座布団で遊んだり、本をめくったり。真似しあいながら楽しんでいました。
「とんとんとん」は、参加者やスタッフの顔ぶれによって中身も変幻する、しなやかでゆるやかな会です。次回は、3月9日の10~12時に本多公民館の和室で開きます。出入りは自由です。お気に入りの本、おススメの一冊、積読があれば、ぜひお持ちください。こちらからも、いろいろな本をお持ちします。託児はありませんが、お子さんと一緒に(もちろん、お一人でも)のんびりお楽しみください。お待ちしております。(会場の収容上限人数を超える場合には、お待ちいただく可能性があることをご了承下さい)
変更や中止の情報は、Instagramでも確認できます。
アカウントはbooks_and_talks_ton3 です。
【伝え手】青木知子。仙台市出身。2017年、東京・国分寺で「ははがよむ」を立ち上げました。フリーの編集者、ライターです。子どもは小学生。国分寺でお気に入りの場所は、駅前とエックス山。みんなで遊ぶ時間と一人になる時間、どちらも楽しめるこの街が気に入っています。