企業における野球型人材とサッカー型人材
どうもコンス(@cnsltntatgaishi)です。
企業における野球型人材とサッカー型人材
コンサルファームに入社した時、偉いパートナーのおじさまが言っていた。
「今まで企業で求められてきた人材は、攻守交替があり、明確に与えられた役割をこなせる人だった。ただし、これからはそれでは通用しない。求められるのはサッカー型人材である。自分で考え、走り、チャンスをつくり、ゴールを決める起業家型人材でなければ、日々移り変わる状況変化に対応し、競争を勝ち抜いていけない。また、企業もそのような人材を雇っていかなければ、高い競争力を維持できない」
社会人なり立てのときは、世の中の高給取りの一流雇われ人たちにとっては、当たり前にやっていることだと思っていた。
しかし、プロジェクトを渡り歩く中で、数多くの企業の中に入る経験から言うと、あまりにも野球型人材が多く、さらには言われても動かない(席に座ってネットサーフィンしているだけ)人が多くいることも気づいた。別に自分・家族を養えるだけの稼ぎがあれば、リスクを取る必要がないのも納得である。ただ、少なくとも若年層にとって、リスクをとらない選択をすることがリスクであることは主張しておきたい。
本記事では、出社=「今日もよく働いたぁ」おじさんを減らしたいという思いのもと、野球型人材とサッカー型人材という人材タイプからこの問題に触れていく
※若手目線だが、世のおじさますべてを否定してはいない。何故なら私もおじさんになるのだから。そして、※野球とサッカーをDisしているわけではない点はご承知いただきたい。
これまで求められてきたのは野球型人材
野球とは、打者であれば、バッターボックスでバットを振り、球を打ち、当たれば1塁に走るといったような、最初のアクションから次の目的・ゴールまでがクリアなスポーツである(もちろん複雑な心理戦や配球戦略があるのは承知済み)
明確なポジションがあり、決められた役割をより高いレベルで”こなす”ことが求めれるものである。
ここでは野球型人材=オペレーション特化型人材と定義する。
野球型人材とは、私個人としては典型的な日本企業に多いと思っている。理由としては、日本独特の新卒採用制度(配属リスク含む)と定期的な人事異動のためだろう。
1年目は営業部、そして2年目は人事部、3年目は経理部なんでことが平気で起こりうる環境であり、その中で与えられた役割を淡々とより高いレベルでこなすことが求められる。
これまでの日本企業では、すでにある前例を踏襲、もしくは答えが明確な問題に対し、人の数の力を投入することで、その競争力を保ってきた。
不確実性が今よりも低く、すでにある程度の基盤を持ったビジネスであれば、与えられた役割をこなす人材をそれなりの数確保することにより、十分に儲けを確保できるビジネスモデルだった。
言い方は悪いが、エキスパートではなく、オペレーション人材を育成することが企業としての方針だったというわけである。
サッカー型人材
一方で、サッカーとは各チーム11名がゴールに向かって球を蹴りあうことが勝敗条件であり、ゴールキーパー以外手を使ってはいけない、暴力行為の禁止、待ち伏せ行為禁止(オフサイド)等という基本的な制約条件はあるものの、それ以外の制約・禁止事項はない。ポジションも戦略や時代の流れに合わせ、所与の制約条件を考慮して、定義されるものである。
試合中におけるポジションの入れ替えや、自分自身がフィールド内のどこにいようと制約事項の範疇であれば問題ない。
監督の指示はあるものの、周囲の状況を見渡し、パス/ドリブル/シュート等いかに勝敗条件であるゴールまでの道筋を立てるか、自ら考えることがサッカーでは求められる。
常に数ある選択肢の中から、最良の選択肢を求められ、自分自身の判断・決断が迫られるとも言い換えることができる。
ここではサッカー型人材=起業家型人材と定義する。
企業が最近こぞって募集要項に記載している「Self starter」、「Critical Thinker」、「Self motivator」あたりに合致する条件であろう。
企業に40年勤めたいという企業戦士志向の人にこのタイプとは異なり、終身雇用が崩れた前提で、自分も何者かにならねばと勤め人ながらに思っている方がこちらに近いと思っていただければ。
野球型人材とサッカー型人材の是非
サッカー型人材という言葉は、ここ最近耳にする頻度が増えている感覚があるが、サッカー人材が唱えられた始めた背景は以下のようなものが考えられる。
1. 社会の急速な変化により、不確実性が増しており、これまで言われたことだけをやっていれば稼げるビジネスモデルが崩れた(もしくは崩れつつある)
2. 労働力が徐々に機械(RPAやAI)に取って代われており、機械で代替できる単純作業しかできないオペレーション特化型人材は、もはや企業にとって付加価値を生み出さない存在となりつつあること
3. 企業として付加価値を生み出せるサッカー型人材を採用・育成できなければ、競争力を維持できなくなってきていること
本来的に、人材タイプ毎に優劣はない。ただ、今の世界のトレンド、ビジネスの潮流を見るに、シンギュラリティが近づいてきているこの2020年に野球型人材はもはや価値をだせなくなってきているのである。
いい企業に就職することをゴールとするのは、思考停止ともいえる。
今やっている仕事をより効率的に早く終わらせるように知恵を絞るだけでも、オペレーション特化型人材から抜け出す一歩にもなる。
Work from Home(WFH)で明らかになった”出社=「今日もよく働いたぁ」おじさん”とサッカー型人材の違い
在宅勤務の急速な広がりにより、オフィスワークに従事する人たちから、業務が回らない、仕事ができない等多くの批判があがっている。
そのほぼ大部分十分なワークステーション(持ち運び可能なPC等)が整備されておらず、紙とハンコがベースとなっている業務体系も未だ日本に多く、WFHを妨げる原因となっている。
ただこのようなインフラ系の問題とは別に、やたらWFHに抵抗する勢力はいなかっただろうか。
これは、出社すること、会議に参加すること、とりあえず8時間席に座っていることで仕事をした気になっているがゆえに、起こる現象である。
誰からも支持されなければオペレーションさえ自分でできない人になっている人が顕著に浮き彫りされた形だ。
これが冒頭で述べた会社に来た=今日もよく働いたおじさんに顕著に多い。
未曾有の危機において、野球型人材は自分で考えることができない。なぜならバットを振って、当たれば、1塁に走るというオペレーションに沿った考えがパターン化されており、本来的に考えるべき事象まで考えを深めることができないためだ。今バットを振ったのは正しかったのかと思い返すことは非常に少ないはずだ(野球のルールなので、たとえとしては不適切なのかもしれないが)
WFHで今一度皆さんに見直してほしいポイントは、目の前の仕事はどのようなゴールに向けて進んでいるものなのか大局的・俯瞰的に見直し、本当に必要な仕事なのかを考えてほしい。必要な仕事なのであれば、どうすればより付加価値がだせるアウトプットとなるのか、必要でない仕事なのであれば、いかに早く片付けるか(投げやりではなく、いかに効率化するか)を考えて仕事に取り組んでいただきたい。
そしてサッカー型人材になっていただきたい。
サッカー型人材の鉄則は、
・オペレーションベースでこなすための仕事をしないこと
・どう付加価値をつけたアウトプットが考えること
・時間・仕事量だけでなく、アウトプットドリブンで自分の仕事を遂行すること
(8時間机に座っているだけの労働より、目の前の人を動かすための資料作成1時間のほうが価値は高い)
に尽きる。
まとめ
自戒も込めてだが、どうしても目の前の忙しさのあまりオペレーションに没頭することはある。ただ、自分が本来やりたかった/達成したかった目的・目標は忘れてはいけない。
私自身もnoteをアウトプットの場にすることで、初心を忘れないようにしている。