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ナイロン100℃ 49th SESSION 『江戸時代の思い出』北九州公演初日昼公演感想


前置き

江戸時代の思い出北九州公演初日昼公演を見て来ました。

ナイロンの舞台を見るのは、約2年半ぶり2回目です。

キャスト

三宅弘城 みのすけ 犬山イヌコ 峯村リエ 大倉孝二
松永玲子 安澤千草 藤田秀世 喜安浩平 眼 鏡太郎
猪俣三四郎 水野小論 伊与勢我無 木乃江祐希/
池田成志 坂井真紀 奥菜 恵 山西惇

感想

以下、簡単に感想を書いていきます。

劇場

いち演劇ファンとしてよく名前を聴く「キタゲキ」には初めて訪れました。
劇場内はとてもきれいで、ホールに入るとスマホが圏外になるよう制御になっていました。
この世の全会館にこの機能が取り入れられるといいのになあ……。

座席は4列目下手ブロック内の上手端。
3列目と4列目の間には通路があるため、実質左隣にしかお客さんいない、かなり快適な席でした。

上映前にスタッフさんから、「上演中に演者が通路を通るため、下に荷物を置かないでください」と、声掛けされます。
一体どんな演出のお芝居が見られるのか、ますます楽しみになってきました!

今回は個人的に印象的な歌のシーンが3つありました。

まずはオープニング。
上手から女性が3人現れ、ちょんまげについて歌った英詞のロックナンバーが披露されます。
この曲がめちゃくちゃかっこ良かったです!
冒頭からワクワク感がどんどん高まっていきました。

2つ目は、第1話終盤のミュージカルシーン。
みんな勢ぞろいしていかにもユニゾンを始めそうな雰囲気なのに、全員歌詞があやふやというボケにやられました。

そして3つ目は、第2話で藤田秀世さん演じるお殿様が「さあ、歌おう」というシーン。
お殿様と奥方と同心がマイペースにそれぞれ全く違う歌を何回も歌い続けるのが、めちゃくちゃ面白かったです。
にしても、皆さんよく周りの歌に引っ張られませんよね……。

キャスト陣の掛け合い

今回特に最高だったのは、三宅弘城さん演じる武士之介と大倉孝二さん演じる人良の掛け合い
上映中ほぼ終始と言っても過言ではないくらい、お二人の掛け合いがずっと聴けてうれしかったです。さすが名コンビ!!
特に、基本的にツッコミ役に回りながらも、時々抜けた言動を見せる大倉さん演じる人良の人物像が、とても好みでした。

また、池田成志さん演じる悪玉菌座右衛門の口上には、一番笑かされました。
「略すと」「悪玉きーん」「略さないと」「悪玉菌座右衛門」「略しそうで略さないと」「悪玉きーん座右衛門」といったくだりの、三宅さんと成志さんの掛け合いのテンポ感および間が本当っっに素晴らしくて、大笑いしました。
あれは少しでも間が狂ったら、笑いの量がかなり減ると思います……。
とてもお気に入りのシーンだったのでもう一度見たいと思っていたところ、休憩をはさんだ第3話でもう一度このくだりがあり、めちゃくちゃうれしかったです。

メタ演出

今回特に出色だったのは、メタ的な演出です。

一番インパクトが大きかったのは、「第1話・完」後の演出。
まさかの客席にスポットライトが当たり、「伏線は回収されるのかしら」「Zzz……(いびき)」「スポットライトを当てて、お客さんで遊ぶだなんて!」などと、お客さんの心の声を勝手にアフレコしていきます。

すると、公演パンフレットを手に持った女性と連れの男性が、公演途中で帰ろうと席を立って出口へと向かいます。
なんとこのお二人、劇団員の水野小論さんと猪俣三四郎さんだったのです!
開演時から客席にいたのでしょうか……!??

すると出入口から落ち武者の風貌をした眼鏡太郎さんが現れます。
眼さんが演じているのは、実は落ち武者ではなく「北九州芸術劇場の者」笑笑。
私が4列目下手の席に座っていたこともあり、本当に目の前で「北九州芸術劇場の者」が観客役のお二人が帰らぬよう静止しているさまを見られ、かなり贅沢な時間を過ごすことができました。
(一方で、実際セリフにもあったように、前方3列のお客さんは振り向かないといけないので、見にくそうですね……笑。)
また二人が途中退席しないよう説得する際に、野田秀樹さんのお名前を出してがっつりイジっていたのには大笑いしました。
結局二人は、まさかのステージに上がっていき、楽屋口からお帰りになられるようでした笑。

また、第3話でお茶屋さんが遊郭になり、奥菜恵さん演じるおにくちゃんのお姉さま(おやさいさんかおさかなさんかどちらか思い出せない……)の顔に触れると、照明が色っぽくなるシーン。
もう一人のお姉さまの顔に触れるといきなり客電が点き、「本日の公演は、以上で終了となります」という影ナレが流れ出したのは、不意打ち過ぎて笑ってしまいました。

そして「第3話・完」の後、前述の観客二人が、「北九州芸術劇場の者」に追い掛けられ、また客席に戻ってきました。
なんと小倉駅まで追い掛けてきたそうです笑。
今度は高橋一生をイジり、観客二人が元の席についたところで、エピローグが始まりました。

エピローグでは、みのすけさん演じるキューセイシュが現れ話が進み、登場人物たちが行列を作ってステージから全員退場していきます。
その後、第1話で出てきた現代人組がお辞儀をしながら登場し、カーテンコールが始まった雰囲気を察してお客さんも拍手を始める中、井戸の中から喜安浩平さん演じるエノモトが顔を出します。
そう、まだ公演は終わっていなかったのです!
最後まで気が抜けないメタ的な演出が多く、感嘆してしまいました。

その後本当に舞台が終演し、私を含め観客がホールを後にします。
すると、「北九州芸術劇場の者」である眼さんが、衣装そのままの姿で観客をお見送りしていました!
「北九州芸術劇場の者」ですもんね!笑笑
終演後も観客を楽しませる演出、さすがでした……!

3時間15分の長丁場の間、ずっと笑いっぱなしで、本当に楽しい公演でした。
その一方でカニバリズムやルッキズムを扱うなど、ちゃんと観客に考えさせる部分もあるのも、ナイロンの魅力だなあと思います。

最後に

今回は南海トラフの影響が怖く、小倉には長居せずトンボ帰りしました。
近くに小倉城があり、同じ建物内にはゼンリンミュージアムもあったので、ゆっくり見て回りたかったなあ……というのが心残りとしてあります。

また北九州に行く機会があることを、そしてナイロンの舞台がまた見られることを願い、ここで筆を置かせていただきます。

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