遊びの中の学び~幾何学~
common施設長の山下です。
commonでは週末に保護者向けに1週間の活動レポートをお送りしています。今回はこの中で紹介した、遊びの中の学びについてご紹介します。
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3学期が始まり、給食がまだ始まっていない火曜日の昼食時間。彼はお弁当を食べながらスタッフに「今日はメガロドンの歯を作りたい!」と繰り返し言っていました。メガロドンとは、およそ300万年前までいた、史上最大のサメのこと。どうして作りたいか問うも「作りたいものは、作りたい!」と、その熱量に圧倒されます。
お昼を食べ終わって、さっそく作り始めます。まず最初にパソコンを使って参考となる画像を探しました。そこで見つけたのが手のひらの上に乗っているメガロドンの歯の化石の画像です。
画像だけではどれくらいの大きさか分からないのですが、彼は手に注目。大人の手だとわかると、スタッフの手を観察します。写真の手を、大人のスタッフの手の大きさと同じと仮定して、歯の大きさを見立てました。
大きさが分かった彼は、工作用紙に何個も歯の絵を描き、次々と切っていきます。そして工作用紙に絶妙なカーブをつけて張り合わせ、立体的な歯を作っていきました。
表と裏はこれでよかったのですが、歯の根元の部分が空いてしまい、どうにか塞ぎたい。しかし中は空洞で、何かを詰めようか考えます。詰めるには穴が大きいので、用紙を切って蓋をすることにしました。
蓋をしようにも、絶妙なカーブができているので、ピッタリの蓋を作ることはできず、隙間ができました。その隙間は画用紙の切れ端などをうまくつかって埋めていきました。
無事に四角錐に近い形の歯を作り上げ、最後に色を塗って完成です。
文章ではさらっと書いていますが、歯のカーブをつけるところ、薄い工作用紙の淵に丁寧にボンドを塗っていく作業は一筋縄ではいかず、何度も試してはやり直しの、まさに試行錯誤。出来上がったときには手はボンドだらけで、まさにやり切った様子でした。
私がこの一連の活動において最も注目した点は一番最初の部分の、大きさを推測する手法です。
まず、印刷した写真の大きさそのままではダメということを理解しておく必要があります。そして、写真の中にある、自分が分かる大きさのもの、ある程度普遍的な大きさのものと比較することで、知りたいものの大きさを求めるという、「相似」という幾何学の分野の考え方が必要になります。
幾何学は、立体や展開図、線対称や点対称というワードが出てくる分野で、合同、相似も重要なテーマです。「あ、私苦手」と思った大人も多いと思いますが、小学生が苦手になりやすい分野と言われています。苦手にならないためには、教科書で学ぶより日常生活の中で触れ合うことが大切で、工作はこれらを学ぶには最適な活動といえます。
たかが工作、されど工作。何気ない普段の活動もこうやって視点を変えて見ていくと、貴重な学びの体験、学びの入り口になります。それを大人が意識して声を掛けてあげると、その学びは一気に深まっていくことでしょう。
遊びを通じて子どもたちは多くのことを学んでいます。これからも多くの学びがある遊びを応援していきたいと思います。
common施設長 山下
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commonでは毎週末、このような1週間の活動におけるトピックをレポートとしてご利用いただいてる保護者の方にお送りしています。そこには子どもたちの日々の活動の様子がちりばめられており、まさに学びの場を見ることができます。遊びは学びとよく言いますが、どういう遊びがどんな学びになっているのかを皆様と共有し、それを子どもたちに還元することで、さらなる成長に繋げていきたい。
そんなcommonの想いが詰まっているのが、この週末レポートです。
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