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#8 Media Studies)夢のメディア

つくったので語りたい作品。

このアイマスクは着けている人のみている夢を擬似的に表現する。それは着けていない人に共有される。寝ている装着者は脳内で夢を見ている。そのとき,この装身具は装着者に夢を見せると同時にその他の人にも夢を見せる装置となる。この2つの夢は一致することないまま共存する。
コミュニケーションの実質性と虚構性が鑑賞者を巻き込んで表現される。


体験の推しは両眼立体視にある。というのも図のように見ることで映像は立体的に見える。ここに大きく2つのポイントがある。まず,鑑賞者が寝ている人の夢へアクセスする儀式的なアクションになるところだ。遠くの方を見つめるように苦労してアイマスクの片目と片目をそれぞれ合わせ,すうっと像が結ばれたその状態は,アイマスクを隔てて寝ている人と目と目を合わせている様になる。加えてその立体感は寝ている人に(画面に)物理的に近づくほどに増強され,また,眼の使い方の都合で維持が難しくなる。
作品に「両目を突っ込める」ような体験を意図している。これが深いアイコンタクトなのかと思ってもらえることを期待していたり。それは近づくほどに辛くなり,また本質的に通じ合うことのないアイコンタクト。

もう一つのポイントはこれがオンラインで可能になっているというところだ。新型ウイルスのもたらした社会情勢により作品はオンライン化で鑑賞されることが増えた。特にメディアアートは,物質的な媒体そのものを直に体験することで持ち味が発揮されるものが多いので,オンライン展示では難しくなる。そこで本作品ではオンラインで成立するメディア的ギミックを考慮した。

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夢の世界に入りたくてつくったら,虚しいものができた。



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