私の感想:Club Q オンライン勉強会 「犯罪学者と語り合う Vol.2 シリーズ 少年法改正の問題点を理解する(1回/全5回)-第1回「成人の逮捕から判決まで-(2021-06-12)」は、いかがでしたか?
犯罪学者の Yasuhiro Maruyama 先生、第二回6/12(土)も、わかりやすいプレゼンとお話をありがとうございました。参加者の皆様も遅い時間まで議論にお付き合い下さり感謝申し上げます。
次回もよろしくお願いいたします。(次回は7月17日(土)21時~)
今回は、「少年法改正の問題点を理解する」の中の「成人の司法手続き」について学び、執行猶予について議論をしました。
その他にも、犯罪件数や検挙率のグラフ、窃盗罪、性犯罪、極総記(書籍)の話や刑務所に知的障がい者の方やお年寄りが多いこと、性犯罪者にGPSをつける案の事、元性犯罪者のみが暮らすコミュニティ(フロリダ州パーリアヴィル)、「あなたは未来に犯罪を犯すであろう人をどうしますか?」という問い。
などなど、たくさんの意見が飛び交い大変勉強になりました。このシリーズの大きなテーマは「犯罪を通して社会を見る」ですが、どうしても私は「もし自分だったら」と考える癖があるので、「犯罪学を通して社会と自分を見る」になってしまいます。無駄に感情移入してしまって、何度も涙が出そうになるのを誤魔化しながらみなさんのご意見を聴いていました。まだ頭の中がぐるぐるしているので、次回へ向けて自分自身の考えを整理してまとめてみます。
勉強会の中で私の意見を聞いて、私を人権派と思われた方もいるかもしれませんが、そんな事もありません。私は窃盗罪の被害者になった事がありますし、犯した罪の種類によって犯罪者の方に対する異なる考えを持っています。
■ 犯罪の防止や再犯防止に対する、私の基本的な考え方
会の中でもお話しましたが、基本的には医療が解決を目指しているのと同じ考え方が、これからの社会の課題解決法にもあてはまりそうだと私は感じています。
① 「リバーアナロジー」で、初犯の防止。
川の下流(犯罪を犯す)を見て対応するだけではなくて、上流の原因まで行かないと本質的な課題の解決にはならない、という考え方です。
つまり、川に落ちて流され溺れている(犯罪を犯す)原因は、より源流に近い上流である社会的決定要因にあるので、そこから議論を始め、もっと国が真剣に取り組まなければいけないと思いました。
そしてそれは多くの要因の集合体で、すぐに思い付くだけでも、生まれた環境・育った環境・受けた教育・両親や養育者・学歴・職歴・健康状態・家族構成・住環境・経済的な地位・友人の有無、その他たくさん思い浮かびます。
参加者のお一人でもある、あしたば法律事務所の 田村 誠志 弁護士によると、少年犯罪の場合は家庭や生育歴などの聞き取りや調査が行われているそうです。それらが統計データとしてどこかに出ていればぜひ分析してみたいと思いました。
医療における上流からのアプローチは、病気や怪我を未然に防ぐために活動することを意味します。同じように犯罪についても、犯罪を犯してしまう時点の環境を未然に防ぐための活動が、上流からのアプローチで可能ではないかと思うのです。
※リバーアナロジーは、ここちらの図の方が有名かもしれません。
そして元受刑者の社会復帰もとても大切です。
② 「クリフアナロジー」で、再犯を防ぐ。
(c)の図のように、崖から落ちる人(犯罪を犯す人)を減らすには?を考えてみると、
↓↓↓↓↓
(i)の図のように、崖の下には救急車、崖の途中にはネットやトランポリン、そして崖の上にはフェンスを用意します。そして、人を意図的に崖の端から遠ざけることも必要です。
具体的には、住居の確保や就労のための支援などがもっと機能する事や、どんな困りごとでも安心して気軽に相談できるソーシャルワーカーさんのような立場の人が関わるなど、とにかく社会から孤立することを防ぎ、生きがいや人に認められる喜びを知ってもらう事などだと思います。
そのためには、今の国の政策や仕組みが変わらなければ実現しない取り組みが多数ある事も知りました。例えば、どう考えても司法と福祉と医療の連携が必要なのに、その仕組みがないのでどうしようも出来ない事もあるそうです。ボランティア団体さんなども頑張っていらっしゃるのは知っていますが、これは明らかに国が制度をつくる事でしか大きく改善しない事例の一つだと感じました。
過去の歴史を見ても、国が率先して行った政策だけではなく、市民が声を上げていき政策が改善した例はいくらでもあると思いますから、私一人ぐらいが声を上げてもどうせ変わらないではなく、今日学んだことを誰か一人で良いから伝えようと強く思いました。
次回の第三回7/17(土)は、成人刑務所の中のお話です。
今回で二回目だった犯罪学は、毎月丸山先生 と一緒に語り合う形式で開催します。今回の議論も、本当に充実した時間でした。丸山先生、参加して下さった皆様、本当にありがとうございました。
今後も毎月、「犯罪を通して社会を見る。社会を通して犯罪を見る」をベースに、犯罪や逸脱行為の話をしていただきます。犯罪にまつわる、人や社会の問題に興味のある方は是非ご参加下さい。
素敵な個室から参加された田村弁護士のTAっぷりが素晴らしく、ふと思いついた疑問にすぐ弁護士の先生が直接答えて下さると言うオン会でなければありえないスタイルになっています。田村先生、本当にありがとうございます。
次回は終わる時間を決めました(笑)。議論のポイントももう少し絞ってみようと思っています。今後もよろしくお願いいたします。
※今後の開催予定です。
https://peatix.com/group/10403533/events
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話題と図の引用元:
15年にわたる実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在――社会に排除される女性と子ども
Addressing the Social Determinants of Children’s Health: A Cliff Analogy
Transforming Services an Assets Based Approach Karen Grieve SG Health Inequalities Branch.