Rシュトラウス歌劇「カプリッチョ」から最終場ー音楽か詩かCapriccio Letzte Szene
歌劇「カプリッチョ」は、 弦楽六重奏の優雅な音楽(前奏曲)で幕が上がり、主人公の伯爵夫人マドレーヌ(未亡人)が、音楽家フラマンと詩人オリヴィエ両方から求婚され、次第にオペラとは「音楽か詩か」という議論になり、マドレーヌはどちらを選ぶか、という洗練された歌劇。オペラ特有の、人が死んだり狂人になったりしない構成になっていて、ハレの日に安心して鑑賞できます。
最終場では、「月光の音楽」が流れた後、マドレーヌがひとり
「Vergebliches Müh'n, die beiden zu trennen. In eins verschmolzen sind Worte und Töne - zu einem Neuen verbunden. Geheimnis der Stunde. Eine Kunst durch die andere erlöst!
無駄骨折りだわ、二つを分けようとするのは。言葉と音楽は一つに溶け合っている。-結合して新しいものになる。時間の神秘ー一方の芸術が他方の芸術によって救われる!」
とつぶやき、
クライマックスの歌唱では、
「Nun, liebe Madeleine, was sagt deinHerz? Du wirst geliebt und kannst dich nicht schenken.
さぁマドレーヌ、あなたの心は何と答えるの?あなたは愛されているのに、自分を与えられないのね。」
「Du fandest es süss, schwach zu sein, - Du wolltest mit der Liebe paktieren, nun stehst du selbst in Flammen und kannst dich nicht retten!
弱いものであることを、甘い喜びと思っていたー今までは愛と協定したがっていた、そのあなたが燃えついて、自分を救うこともできない!」
「Wählst du den einen - verlierst du den andern! Verliert man nicht immer, wenn man gewinnt?
一方を選ぶとー他方を失う!得たら必ず失うものではないかしら?」
と、マドレーヌは結局どちらを選ぶか明言せず退場する、余韻のある音楽になっています。私はこの最終場が好きでここだけ繰り返し聴くことが多いです。