アルマ・マーラー歌曲「夜の光」
Licht in der Nacht 詩Otto Julius Bierbaum
グスタフ・マーラーの妻アルマは大変な美貌の持ち主で、交友関係が華やかだったばかりでなく、音楽好きで自ら16の歌曲を作曲しました。
アルマは作曲家ツェムリンスキーに師事し、デーメル、リルケ、ハイネらの詩に曲を書き、1910年に第一歌曲集が出版された後、続く1915年の第二歌曲集は師ツェムリンスキーに隠して出版した。
第二歌曲集の中の、ビーアバウムの牧歌詩に寄せた「夜の光」は、マーラーと初めてデートした後に書かれたもので、アルマが師の助けを借りずに自分だけで作曲したものだそうです。
(ベルントWヴェスリング著「アルママーラー華麗な生涯」より)
「夜の光」の歌詞をみると、「夜、黒衣、消える、眠る」と「黄色、光、星 キリスト」が対比されている構造になっています。歌詞に出てくる「声」というのは誰の声でしょうか。詩を書いたわたし自身、キリスト、それともほかの誰かか大変気になります。
アルマの音楽は、新ウィーン楽派の響きに似ていて、どこか幻想的で夢夢しいです。なかなかどうして当時の新ウィーン楽派の巨匠たちと見劣りしない歌で、夜静かに聴きたい曲です。
アルマ・マーラーさんのように美貌で謎めいた歌姫バーバラハンニガンさんの歌声で。
https://www.youtube.com/watch?v=Tbk920PZYoc
●「夜の光」歌詞
Ringsum dunkle Nacht,hüllt in Schwarz mich ein,
zage flimmert gelb fern her ein Stern!
Ist mir wie ein Trost,eine Stimme still,
die dein Herz aufruft,das verzagen will.
あたりは暗い夜 黒衣に私は包まれている
おずおずと黄色くちらつく 遠くで星がひとつ!
私に向かって 慰めのように 声が静かに呼びかける
それは落胆してきたお前の心に呼びかける声
Kleines gelbes Licht,bist mir wie der Stern
überm Hause einst Jesu Christ,des Herrn
und da löscht es aus. Und die Nacht wird schwer!
Schlafe Herz. Schlafe Herz. Du hörst keine Stimme mehr.
小さな黄色い光よ 私にとってお前はまるで星のようだ
かつて主イエス·キリストの家の上に輝いていた
だがそれは突然消えた そして夜が重たくなる!
眠れ心よ 眠れ心よ もはや声ひとつ聞くことはできぬのだから!
●絵はグスタフ・クリムト作「薔薇の茂み」。緑あふれる中で男女が抱擁しているジャケットの雰囲気と似ていると思ってあわせてみました。
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