ブラームス:15の連作歌曲集「美しきマゲローネのロマンス」
Romanzen aus L. Tieck's Magelone
歌曲を多く残したブラームスには、バリトン用に書かれた連作歌曲集「美しきマゲローネのロマンス」という牧歌的な歌があります。原作はドイツロマン派のティーク作「美しいマゲローネとペーター伯爵との恋物語」で、散文と韻文(詩)からなる、歌物語形式の小説です。
ブラームスはこの小説の挿入詩18篇の中から15篇を取り上げて連作歌曲集を作りました。
あらすじは、プロヴァンスの伯爵ペーターが、旅先(ナポリ)の馬上試合で出会ったナポリの姫マゲローネに恋をし、恋文を交わして相思相愛になる。だが、マゲローネには親が決めた結婚相手がいた。二人はやむなく駆け落ちする。
森の中に逃避行中、疲れたマゲローネは頭をペーターの膝にのっけてひと眠りする。そのとき、ペーターは恋人のために子守歌を歌うのでした。
ブラームスの子守歌はなかなか秀逸で心地よいです。良かったら聴いてみてください。
この連作歌曲は、3曲目のペーターが初めてマゲローネに贈った恋の詩や、15曲目の誠実な愛の歌など、他の歌も抒情的で魅力的です。15曲通しで聴いていただけると嬉しいです。
9曲目:子守歌
(歌詞の最初)
お休み、可愛い恋人よ
緑のほの暗い夜の蔭に
野辺の草もさやぎ
木蔭があなたに風をそよがせ、涼ませる
だが真の愛はめざめている
眠れよ、眠れ
森も声をひそませ
永久(とわ)にわたしはあなたのもの
●ペーターシュライアーの歌声とペーターレーゼルのピアノで。