E.T.Aホフマン「砂男」E.T.A.Hoffmann Der Sandmann
オッフェンバックのオペラ「ホフマン物語」第二幕「オランピア」は、人間のホフマンがゼンマイ仕掛けの人形オランピアに恋をするファンタジー物語です。特に人形が歌う「オランピアのアリア」は、途中でゼンマイを巻き直したり、コミカルで可愛らしい歌で長年愛聴してきました。
(オランピアのアリアー愛するナタリー・デセイさんの歌声で)https://youtu.be/InAxtPyZVKI?t=73
ところが、このオペラの原作になったETAホフマンの「砂男」を読むと、ゾゾーと背筋が凍りつくようなおどろおどろしいお話なのです。
人間の子供の目玉をつっつく「砂男」が家にやってくる幼年時代の恐怖体験から、現実と幻想の区別がつかなくなった主人公ナターナエルは、賢く優しい恋人クララがいるのに、怪しげな携帯望遠鏡をのぞくと人形オリュンピアが美しい娘に見えて恋焦がれ、最後はクララを高廊から投げ落とそうとするも失敗し、「はァ!きれいなおめめ、きれいなおめめ」と金切り声を挙げて自ら飛び降り、頭をこなごなに潰して仏様になってしまう、怖いお話なのです。
こんな怪奇小説から、どうしてあんな軽快なオランピアのアリアを作曲できたのか、オッフェンバックのイマジネーションが半端ない!と驚嘆しております。
「砂男」は短編小説ですぐ読めます。ホラー度満載で飽きさせませんので、機会があったら読んでみてくださいね♪