シュティフター「石さまざま」から「水晶」~ MAシャルパンティエのクリスマスモテットとともに
Adalbert Stifter:Bunte Steine- Bergkristall
「「なんでもないよ、ザンナ」と少年は言った。「こわがっちゃいけないよ、ぼくについておいで。どんなことがあっても家へつれていってあげるから。ー雪さえやめばなぁ!」
ザンナはこわがりはしなかった。せいいっぱい小さな足をあげて兄について行った。兄は、白くて明るくて、たえずちらちらとしている不透明な空間のなかを、妹をみちびいて歩んだ。」
クリスマスイヴの日、可愛がってくれる祖母の家から帰宅中、幼い兄妹が雪山で遭難し一晩を過ごすストーリー。兄は妹を不安にさせないよう、妹にかかった雪を払いのけたり、祖母がリュックに入れてくれた食べ物やコーヒーを食べさせたり、妹に一生懸命話しかけたり、甲斐甲斐しく世話をする。そんな兄に、妹が、Ja, konrad! と兄を信頼してついて行く姿が可愛らしくいじらしい。自然を愛し、自身も風景画を描くのが好きな作家シュティフターらしく、冬の雪山の自然描写が素晴らしい。最後は村の人に助け出され無事クリスマスを祝う。幼い兄妹とその家族、村人たちが善良で心が温まるお話です。
曲は、MAシャルパンティエのクリスマス・モテット集。聖夜らしく素朴で厳かながらも、エレガントさを漂わす響きはシャルパンティエならでは。聴いていただけると嬉しいです。
CHARPENTIER: Noels and Christmas Motets