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哲人たちの女神 ルー・アンドレアス・ザロメ
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詩人リルケとの関連でルーザロメ(1861-1937)の評伝を読んでいます。ルーは、マンの「魔の山」に登場するショーシャ夫人のような謎めいたロシア女性。哲人たちにこよなく愛された、知的で当時としては自由を謳歌した女性作家です。
伝説的なエピソードに事欠かず、
●ルーと哲学者レー&ニーチェとの三位一体の共同生活をしたことがある。しかも三人で同棲を記念した記念撮影写真まで残っている(新しすぎる)
●夫の東洋学者アンドレアスとは起床と就寝の時間をずらし(昼夜逆転の生活)、代理妻と同居をする(代理母は聞いたことがありますが、代理妻はユニークすぎる)
●若い恋人リルケと夫とルーの三人でロシアに旅行したことがある(絶句)
●ルーとの恋に敗れて傷心自殺したインテリ男性が二人いる(実写版「ウェルテル」)
●フロイトとも親交があって、精神分析の仕事をしていた、などなど。
自由すぎてついていけないところがありますが、彼女との交流からインスピレーションを得て、ニーチェは「ツァラトゥストラ 」を書き、リルケは、「フィレンツェだより」や「時祷詩集」を書いたりしたので、必要不可欠な存在だったのかなと思います。
交友関係が広く斬新なのでそこだけに注目されがちですが、彼女自身の業績である「ルー・ザロメ著作集」を読んで、もっとよく知りたいと思いました。
読書のBGBはクロノスカルテットの演奏で、ベルクの抒情組曲にしました。謎めいたルーさんのイメージに合っているかと思って。
https://www.youtube.com/watch?v=wsMz6dSz368
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注)2020年2月2日の過去記事です。