第6章 入院、退院、再び入院…
確か、1988年の1月であったか。風邪から気管支を拗らせ、O病院に入院することになった。病名は、“気管支炎”。聞けば肺炎の一歩手前で、危なかったとのこと。風邪のつもりで受診した医院で、大きな病院で診てもらうようにと紹介状を渡され向かった先で、そのまま入院となった。
当時9歳の私は、大きな声を上げて泣くわけでも無く、バタバタと地団駄を踏んで駄々を捏ねるわけでも無く、ただ、シクシクとひたすら涙を流していたのを覚えている。母が何とか機嫌を戻そうと、「ジュース買ってきてあげる。何ジュースがいい?」と聞いてくれていたのを、鮮明に記憶している。また、本の読み聞かせがあまり得意では無かった母が、この時ばかりは「何読みたい?」と読み聞かせてくれた。その時に読んでくれた童話が、『100万回生きたネコ』だ。愛を感じないオスネコが何度も転生し、何度目かの転生で出逢ったメスネコに恋をして愛を知った、というお話しである。(因みに愛を知ったオスネコは、それを境に転生はせず、メスネコの隣りで静かに息を引き取った、という話だ)余談であるが、私はこの本が今も好きで、この本のタイトルを見るたび、当時のことを思い出す。今も自宅の本棚に眠っている。
この入院で、K先生が見舞いに来てくれたり、家族のほか伯母(母の姉)とその夫(義伯父)も来てくれたり、私自身も検査や点滴治療等、あっという間に数週間が過ぎた。
しかし、また2週間後に当病院で入院することとなる。
【写真①】両親は少しでも身体を丈夫にする為、休日の“朝の散歩”は日課となり、長期休みにはよく山登り等に連れ出した。
【写真②】当時読んでもらった絵本。後年、幼児教育を目指し始めた頃に購入した。