読書する居場所。今ここにいる偶然
電車に乗った。
電車には、週に数回乗るので、
とくに変わったことではない。
が、違った。
このあたりが空いていそう、
と 車両に足を踏み入れたとき、
一人の青年に目を奪われた。
本を読んでいる。
その人は、車両の連結部に近い
三人掛けの席の端に座り、
姿勢よく、本を読んでいる。
暑いのか、上着を脱いで膝の上に置き、
(上着の畳みかたも人柄が出ているふうだ)。
本の世界に浸っている。
軽い笑みをたたえ、しあわせそうに。
その空気を、勝手に分かち合いたくなり、
その人と ひとつ間を空けて、
同じほうを向いて座った。
書くと長くなるが、
電車の扉が空いてから 数秒の出来事。
長い車中に読もうと、
楽しみにしていた本を袋から出したとき、
その人が読む本のカバーが、
同じ書店のものだと気づいた。
わたしは、といえば、
電車で読みたいと
持って出た本を手にしながらも、
今このときの空気を逃したくなくて、
本を閉じたまま、
そこにいる偶然をうれしく感じていた。
隣駅から乗ってきた、
年配の男性も、向いの席に静かに座ると
文庫本を読み始める。
見慣れた地元の書店のカバー。
連結部に近い、そのスペースは
ただ ひたすらに読書する場所。
本を読む喜びに浸れる人が醸す、
静かな しあわせの片隅になっていた。
乗り換え駅までの ほんの数分。
有り難い瞬間と巡り会えた。
小さな出来事に
満たされた気持ちになった。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
できれば、写真や絵、
音や映像の力は借りず、
筆一本(つまりは、左の親指)で綴りたい。
#cloudy009
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
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#スマホじゃなく
ありがとう🤎ございます。お気持ち、大切にします。これからも、ぜひ、お立ち寄りください。