根暗陰キャのひよこ、硬い殻を破る。デザイナー谷口民恵の命綱
仕事との向き合い方は人それぞれ。誰と、何を、どうやって、なんの為に働くか。そこに価値観や生き方が表れるような気がします。そこで、さまざまな人に聞いてみることにしました。「あなたにとっての働くとは?」を。今回話を伺ったのは、クラウドオフィスRISAの開発に携わる学生デザイナーの谷口民恵さんです。
谷口民恵(たにぐち・たみえ)|株式会社OPSIONデザイナー。現役大学生。大学では情報科学部にてプログラミングなどコンピュータ関連の知識を学ぶ。大学三年生より、スタートアップで合格率約5%の長期エンジニアインターンを9ヶ月間経験。その後デザイナーになりたくて休学し上京するも、緊急事態宣言により撃沈。一年間休養する。2021年4月から株式会社OPSIONの「世の中の常識や慣習に囚われず、個々が得意なことを最大限発揮し、苦手なことは頼り合う」という理念に共感し、個人事業主として従事し始める。|趣味:メディア鑑賞/自己表現/分析/知識を蓄える/スキルアップ/健康
夜は枕を涙で濡らし、血反吐を吐いた
——谷口さんの普段の働き方を教えてください
結構自由に働いてますね笑 今卒研生なんですけど緊急事態宣言の影響で時間があって、まあ、本当は研究しなくちゃいけないんですけど、やりたくなくて逃げてます。バイトみたいな感覚で週大体20時間程を目安にバーチャルオフィスRISAにフルリモートで出社してて、個人的に働く時間を決めないとちょっとサボっちゃうなという恐れがあるので、急ぎの用がない限りは月水木金一日5時間ほど働いています。
——仕事内容はなにをしているんですか?
仕事内容としてはUI/UXデザイナー兼フロントエンジニアみたいなことをやっています。私はいわゆる感覚過敏みたいな感じで、周りの雑音とか人の目がすごく気になる特性を持っていて、通勤通学時の電車やバスが非常にストレスだったのですが、フルリモート環境は本当に素晴らしくて、このような環境で働けていることに非常に感動しています。
——もともとエンジニアやデザイナーに興味があったのですか?
大学は情報系大学だったので、授業でC言語やJavaを学んでいました。大学生1年生当時はとある事情により、蚊の鳴くような声しか出せない友達のいない根暗陰キャだったので、「自分でも社会に通用する部分とはなんだろう?」と考えたときに、地道にコツコツ学ぶことができるブログラミング技術かなあと結論を出しました。大学入学という環境の変化のおかげで、行動力だけは持ち合わせていたので、夏休みにJavaの勉強の先取りをしたりJavaScriptの勉強をしたり、教授に教えを請いに通っていたりしました。
——大学生からスタートアップで働くとは...どういう経緯だったんですか?
大学2年生の秋頃、時間に余裕が出来たので、そろそろ実務経験がほしいなということで、未経験でもプログラミングが経験できるエンジニアインターンを探しました。
見つけ出したインターンは、3ヶ月間与えられる独学の課題に取り組み、3回のテストに合格したら、実際に働くことができるところでした。合格率約5%らしかったのですが、大学でブログラミングを学んでいたのと、関連する参考書をインターン課題に参加する前から、ちまちま読んでいたので、すんなりと通ることが出来ました。
その後も通過者課題が2つほどあり、食べたり休憩したりする時間を惜しんで、一日8時間位かけて取り組んでましたね笑
——選ばれたんですね、すごいです。
がんばりました笑
——なぜ、そこまで頑張れたのでしょうか?
何度かインターン先に訪問することがあり、会社や人の雰囲気が大学や部活と違ってすごくキラキラして見えたんですよね。私は「有能になりたい」とか「変わりたい」とか「自立して生きていきたい」っていう理想が強くて、それがもう少しで手に入るという希望が見えていたので頑張れたんだと思います。
——その後はどうされたのですか?
そうですね。インターン先では同じインターン生と思った以上にワイワイやれてました。この時期は、メンタリストDaiGoさんを初めて見たときから私の親だと思って盲信して付いていってて、メンタリストDaiGoさんが「自己開示が大事だ」とブログやら動画やらでおっしゃっていたので、とにかく自分を出すコミュニケーションをとっていたのが成功だったようです。
プログラミング技術の方は身についたものもあるんですけれど、どちらかというと人間関係の構築に力を入れてましたね。
——インターンで9ヶ月間働いた後、休学し上京したとのことですが。
あ、そうなんですよ。デザインには以前からすごく興味があったんですけど、自分には才能もないし無理だと諦めてたんです。けど、イケイケインターン生と話してるうちに自分にももしかしたらできるのかもしれないと自信がついてきて、知人から上京を誘われたのもあり、思い切って上京しちゃったみたいな感じですね。
——そこでコロナが到来したと
はい、デザイナーインターンが決まってたんですけど、緊急事態宣言でなくなっちゃいました〜。
同居していた知人とも馬が合わなくなって限界を感じたので、すぐに実家に帰省しました。
——馬が合わなくなった笑 実家に帰省後はなにをされていたんですか?
そうですね。大学も休学していたので、今まで多忙だった自分の体と心のために休養をとっていました。
暇だったので、ひたすらに自分と向き合って今までの人生を整理していたらある一つのことに気がついたんです。
「私、人生楽しんでないやん」
大学1年生以来趣味を捨ててて、がむしゃらに社会に認めてもらえるように夜は枕を涙で濡らし血反吐吐きながら頑張ってただけだったんです。
そのことに気づくことが出来た今は最高潮に幸せです。
——幸せなのはよかったです。逆に赤裸々な悩みを笑
赤裸々にですか笑 うーん、そうですね。先程、私が友達のいない根暗陰キャだった話をしたと思うんですが、それには理由があって。実は精神的な問題で小学校の頃から家族以外の人前で全く声が出せない人間だったんですよ。一応この状態に名前はついていて、場面緘黙(ばめんかんもく)っていうんですけど。
これがすごく大変で。他人に対して心を閉ざしすぎるのがおそらく原因だと思うんですが、情報遮断していたので、悪い思考に走ったりだとか自分を苦しめる考え方しかできなかったですね。案の定、孤独になるので誰にも相談できなかったです。
大学に入学して一人暮らしを始めたら、自立意識が芽生えたのと、一人の安心できる空間を得たこともあって、声を出すことはできるようになりましたね。
ただ、声を出すことができるようになっただけで、コミュ力は小学校以来成長してないので、色々苦労しましたね……。社会不安もまだありましたし。
——それにはどうやって対処したんですか、教えてください
幸い行動力はあったので、失敗してもいいし、自分が生まれたてのひよこだと思って、グイグイいろんなことにチャレンジしてましたね。
以下のような人と関わったり、勇気がいるものにチャレンジしていました
・映画研究部(役者)
・ビブリオバトル(本のプレゼン)
・人との交流(ご飯行ったり)
その他にも周りを観察して、どうやって人は仲が良さげに話しているのかみたいなのを分析したりもしてましたね。
——生まれたてのひよことは?
だって、生まれたてのひよこがなにも出来ないのは当たり前のことじゃないですか。人間は完璧じゃないし、初めてのことに失敗するのは当たり前です。だから誰もひよこを責める権利なんてないんです!
もちろん失敗もありましたが、それは当時の私の能力不足で、能力不足ならば、改善点・反省点を考えて分析して、もっといっぱい行動をしてスキルを身に着けていけばいいだけです。
ちなみにまだまだ私は硬い殻がある生まれたてのひよこ(かろうじて殻から目が覗いている)だと思ってます。
生まれたてのひよこが主体的な人生を歩み始めた
——生まれたてのひよこさんが目指す理想のライフスタイルってどんなものですか? 好きなこととか趣味とか
そうですね。最近は主体性のある行動が大事なんじゃないかなと思っていて。アニメや漫画を見ていると主人公ってかっこいいなあって思うじゃないですか。なんで主人公はかっこいいのかってのを突き詰めると、自分のしたい行動に恥じずにチャレンジしているんですよね。私にはそういうのが欠けているなあと思っています。したいと思ったことを秒で忘れる忘れっぽさの持ち主なのです……。
また、個人的に目標を覚えていたり、計画を立てたり、計画通りに行動することが苦手なんですけど、これらができるようになったら、確実に人生の質はアップするんですよね。
一時期はタイムスケジューリングに凝っていて、すべての行動を2時間単位でGoogleカレンダーに記入して、それ通り行動できてて、非常に充実感を感じていたのですが、ちょっと頑張りすぎてしまって疲れて今は全くできなくなってしまっています。
好きなことは自己表現(アウトプット)・分析・スキルアップ・健康・知識を蓄える事・メディア鑑賞なのですが、多すぎて、全く手につかなくて休日は気づけばネットサーフィンで一日の終わりに虚無を感じています笑
しかし、タイムスケジューリングさえできるようになればどんなに多趣味でも、必ずやり遂げることが可能になります。
私の理想のライフスタイルとは、主人公のような主体性を持ち、タイムスケジューリング達人になって濃度の高い人生を送ることです。
——谷口さんにとって、働くとはズバリ?
私にとって働くとは、世間とのつながりを断たないための命綱です。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスが「人間は社会的動物である」と言ったように(諸説あり)、人間は人と関わらなくては生きていけない生き物だと思っています。
私はびっくりするぐらいの引きこもりで、休学中はガチでほとんど外に出てなかったんです。ニートなのに遊びにお金を使うのが親に本当に申し訳なさすぎて。
ようやく最近自分でお金が稼げるようになって、美味しいものを買ったり、1年以上会ってない友人と遊びに出かけたり、そういうのに後ろめたさがなくなりました。
自信がついたり、成長したり、人生に彩りを付加するのも人間関係を保つ醍醐味なのかなあと思います。
実際に働くと自分の強みや弱みが強調されて、自分は役に立っているという感動を得やすく、自信を得られるし、成長につなげていったり、褒めてもらえると嬉しかったりするので。
——なるほど。ニートの時になんの申し訳なさもなく親に頼っていた私とは大違いです。笑
最後に谷口さんと同じような悩みを持つ方へメッセージをお願いします。
では、私が思った人生での大事な3つのことを以下に紹介したいと思います
1.自分を知る
2.経験を重ねる
3.知識を得て活用する
1つ目の「自分を知る」は、3つ目の「知識を得て活用する」につながるところがあるのですが、情報遮断をせずに幅広く自分がどんな人間なのかを見つめ、他者と比較して他者のいいところを吸収することです。
これは人と話したり、Youtubeとかで雑談とか聴いたり、小説とかで人間がどういう事を考えているのかを知ると良いです。
またMBTIなどの性格診断もおすすめです。あまり信じすぎると良くないですが、当たっていると感じる人は自己分析の参考になるかと思います。
2つ目の「経験を重ねる」は、先程も話しましたが、自分が生まれたてのひよこであることを自覚し、どんどん殻を破り続けていくことです。
3つ目の「知識を得て活用する」は、まあ例えば、どうして人はうつ病になるのかみたいな知識を調べて、自分の中での正しい考え方や良い考え方を見つけ出して改善していくことです。幅広く、特に精神面で悩んでいる方は精神面に特化して、正しい知識を蓄積し活用していくといいと思います。
「変わりたい」と思って、試行錯誤を繰り返していけば、きっと私のように変わることが出来ます。まだまだ私もひよっこですが、みなさんが殻を完全に破った先のニワトリになれることを願っております。
第3回「あなたにとって働くとは?」はいかがでしたか。ニューノーマルな働き方を提案するクラウドオフィスRISAに、皆様の「働くとは?」をお聞かせください!
【クラウドオフィスRISA 】
https://risa.ne.jp/?utm_source=note&utm_medium=blog&utm_campaign=20210617