佐野元春さんに学ぶ「心にしみる文章」を書くために心がけたいこと。
2023年の最後に、佐野元春さんの『ザ・ソングライターズ』という本を読んでいます。
866ページというボリュームに気圧されて、ずっと積ん読にしていたのですが、思い立って今日読んでみました。
本書は、佐野元春さんが、日本の音楽シーンを牽引してきたソングライターたちに、彼らのソングライティングの秘密をインタビューした1冊です。
本書のなかで佐野さんは「良い歌詞」について、次のように定義づけています。歌詞も言葉なので、当たり前といえば当たり前なんですが、「文章を書くときにも大切だな」と感銘を受けたのでご紹介します。
他者への優しいまなざしがあるか
生存への意識があるか(その詞のなかで表現されているものが肯定的にしろ否定的にしろ、生きることに真剣に向き合っているかどうか)
言葉に内在するビート(韻律)に自覚的かどうか
文字で読んだ時にポエトリーとして成立しているかどうか
自己憐憫でないか
普遍性があるか
音と言葉に継ぎ目のない連続性があるか
共感を集めることに自覚的か
良いユーモアのセンスがあるか
「他者への優しいまなざしがあるか」「自己憐憫でないか」などは、特に自分の病気について文章を書くとき、ぜひ心がけたいと思いました。
ちなみに佐野さんの考えるユーモアとは、いわゆるギャグではありません。また「人を貶めたり馬鹿にしたりしてでも笑いを取る」ことでもありません。それは「ある種の〝絶望の裏返し〟ではないか」と述べておられます。
もっと詳しくいうと「僕ら人間の愚かさや弱さを認めた上で、それでもなお明日もどうにかやっていこうという感覚」。こういう感覚を持っている佐野さんの歌詞が私は好きです。
「アンジェリーナ」や「SOMEDAY」、「情けない週末」など佐野さんがソングライティングした作品には、心にしみる名曲がたくさんあります。これらの作品が少しほろ苦く、それでいて元気が出るのは、佐野さんが紡いだユーモアの賜物なのだと痛感しました。
そして佐野さんは、これらの文章の最後に次のようなことを述べておられす。少し長いですが、引用しますね。
現実論でいえば、年が変わったところで「生きていくことの困難さ」は変わらないかもしれません。けれども、私たちにはそれをはねのける「想像力」という武器があることを佐野さんは教えてくれました。
私は人生に無駄はなく、どんな状況であっても人はやり直すことができる。どんな人もその人なりの幸せをつかむことができると確信しています。
だからこそ、想像力を存分に使って、いま生きづらさのなかで過ごしている、すべての皆様の糧になるような言葉を、そして心にしみる文章を生み出していきたい。そう考えて、明日からも書いていきます。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
本年はたくさん読みにきてくださり、ありがとうございました。皆様のスキ、コメント、シェア、フォローがとても励みになりました。
来年も創作に役立ったり、心がラクになる記事を書いていきますので、
よかったらまたスキ、コメント、シェア、フォローをお願いします!
どうぞよいお年を!
2024年が皆様にとって楽しく幸せな1年になりますことを
心よりお祈りしております。
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