空母ミッドウェイで学んだ、組織の信頼構築の真髄
心理的安全性と関係性
最近、組織間/組織内の「関係性」にフォーカスしての仕事を始めています。
それで特に自組織、他組織において必ず存在するのがマネジメント層とメンバーとの間の意識のずれです。まあ、とても一般的な話でありますが、ギャップと一言に言っても内訳は様々です。
そんな時、ふと、10年前に空母Midwayで退役軍人のおじさんから聞いた話を思い出しました。
無理ですよ、船長!
10年ほど昔、私はSan Diego Bay に浮かぶ、今は博物館となっている空母MidWayを訪れていました。砂漠の嵐作戦の司令部になった艦です。一人で艦内隅々丸一日うろうろしていました。
後半、エンジンルームにたどり着いた私は、そこで説明員をしている退役軍人のおじさんをみて、ふとStar Trekの機関部主任スコッティを思い出したのです。
Star Trekの主役エンタープライズ号のカーク船長と、機関部のスコティのいつものやり取りと言えば、
です。それで私は、その退役軍人のおじさんのところに歩み寄り、本当に不躾にも次のような質問をしました:
「機関室を守っているあなたは、艦橋からの命令に無理だと言ったり、疑問を持つことはないのですか?」
信頼とは
そのおじさんは、訳のわかっていない日本人の質問に、本当に驚いて目をまるくしました。
それでも気を取り直して、その不躾な質問に丁寧に答えてくれたのです。
「あのね、君。艦橋からの命令と言うのは、艦長がたった一人で決めて発しているものではないんだよ」
「艦橋には、他にも士官がいて、彼らもその決定に関与した上で伝えられるんだ。」
「だから我々はその命令が信用できるし、何らの疑問を持ったりしないし命令に背くこともないんだよ」
だいだいそういうお話でした。
私は不躾な質問を恥じると同時に感激しました。ここでの信頼とは、単に長年のウエットな付き合いで構築するといったふわふわしたものではなく、しっかりとシステムとして出来上がっているのだということに。
意思決定のシステムがあり、それを皆がわかっているという前提に基づく連携が構築されていました。
組織におけるマネジメントとのギャップ
翻って、昨今見ている組織におけるギャップ、不信感は、
「上が何をしているのかわからない」
「誰が責任を負って、どう決まった話なのか見えない」
というところから始まっているようです。
意思決定のプロセスについてもシステムとして透明である必要があるなとしみじみ思うのでした。
そして、もう一つは、そういうギャップが素直に伝えられない関係性の問題でした。
「ギャップがぁ」とか言っていると、文字通り死んでしまう軍隊にあって、信頼をシステムで作っていくことは重要であろうことは想像がつきます。
実際のところは、相当複雑で、素人の私が知る由もありませんが、MidWayで簡潔にデフォルメして説明された内容は、10年経ってもじんわり心にしみてくるのです。Trustの連鎖は設計する必要があるのです。ITの世界でもいうところのChain of Trustでシステムを構築するということです。