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おもちゃクリエーターの高橋晋平さんとの対談で聞けた「続けられることがあるのは、現在進行系で “面白がっている” ということ」 という言葉がすごく腑に落ちた話。

クラウドボックスが出会ったひとVol.6
[対談]
高橋晋平(おもちゃクリエーター・アイデア発想ファシリテーター) ×
徳永健(クラウドボックス代表・かるたプロデューサー)

以前、とある合宿型の研修に徳永が参加したときに、受講者の一人として出会ったおもちゃクリエーターの高橋晋平さん。そのとき晋平さんの書いた自己紹介を見て徳永は「ああ、この人好きだなあ..」という、一目惚れにも似た感覚を抱いたといいます。
以来SNSを通じて親交を続け、時には自社プロダクトへのアドバイスをもらったり、お客様のオリジナルグッズを一緒に考えたりしてきました。今回、仕事やアイデアを生みだしていくプロセスや、「当事者が面白がって面白いものを作る」という、ファシリテートの根底にあるもの、そしてクラウドボックスのことなど、お話を伺ってみました。

2023年7月31日 大手町 3☓3 Labo Futureにて/ 文・竹野 恭子

『アイデア=高橋晋平』って思い出してもらえるように、ずっとどこかに姿を見せ続けています(晋平)。

徳永 晋平くんと最初に出会ったのは「チームビルディングプログラム(通称TBP。楽天大学の仲山進也氏ナガオ考務店の長尾彰氏による延べ5日間のチームづくり研修)」のときだったよね。その最初の自己紹介で「リアルFacebook」っていうアクティビティをやって、そのとき晋平くんはでっかく「健康第一!」って書いていて。僕はその知性とゆるさの共存のしかた、面白がらせ方が「すごく好き」って思ったんです。以来ずっと晋平くんの動きを気にして生きています。

晋平 ありがとうございます。その時の思い出でいうと、とくさん(徳永のこと)は演劇のことを書かれてましたよね。僕は落語(大学時代落研所属)をやっていたから、「演劇ルーツの人がいる〜」って親近感を抱いていました。何より僕の想像より15歳くらい歳が上だったのには驚きました。当時はまだ金髪丸メガネじゃなくて坊主頭だったけど、とんでもない若々しさがありましたよね。

徳永 まだ『吉祥寺かるた』を作る前だったから、そうか。かるたプロデューサーを名乗るようになってから、金髪と丸メガネにしたんですよ。

晋平 さらに若くなりましたよね(笑)

徳永 ほんとですか?(笑) 出会ってから5〜6年は経ってますよね。

晋平 2017年だったから、もうそんなになりますか。

徳永 その間コロナ禍になったりで、考え方を変えて行かなきゃいけないという経験もしました。そんな中、晋平くんはずっと、色々なところで色々な発信をしていますよね。

晋平 今 Twitter(X)で、【誰でもできる! 選ぶだけ大喜利】っていう参加型企画をやったり、Voicyでは “Voicyのビジネスアイデア勝手に考える部“ と銘打って「音声ITサービスVoicyを成長させるアイデア」を話しています。あとはnoteだったり、本を書いたり。今年(2023年)の2月にはVoicyから生まれた著書『1日1アイデア』(KADOKAWA)を出しました。

徳永 読みました、読みました。仕事机のいつも手に届くところに置いておきたい本です。晋平くんは、メディアへの発信量もすごいけど、ルーティン化して続けているのがすごいと思うんですよね。

晋平 SNSは、遊んで面白がっているの半分と、新しい友人と出会って面白い仕事が始まったらいいなという気持ち半分でやっています。

徳永 すでにTwitterのフォロワーだったり、Voicyのリスナーから依頼が来るケースってけっこうあるんですか?

晋平 SNS経由でお仕事のお問い合わせをいただくことは多いです。ほとんどの人が見てるだけだと思いますが、そういう方たちにも「5年後くらいに高橋晋平を思い出してもらえたらいいな」という感覚でやっています。例えば会社で「グッズ作りたいよね」とか、「何かちょっと停滞気味だから新しいこと考えたいね」「アナログなゲームを作ってみたいのだけど…」とか「Webサイトにゲーム性を取り入れてみたい」とか。そういった遊び・おもちゃ・ゲームみたいなキーワードが浮上した際に、『アイデア=高橋晋平』って思い出してもらえるように、ずっとどこかに姿を見せ続けて覚えておいてもらおうとしているんです。もちろんTwitterもVoicyも、アイデアを共有したり、思いついた企画を実況したりするのが楽しいから続けているんですが。

徳永 他にもChatGPT使って、何かやってましたよね。

晋平 ChatGPTはコンテンツとしては完成していなかったんですが、依頼のあった研修でトライしてみたり、あと大喜利の選べる回答をAIに考えてもらったり*。
コロナ禍でみんながZoomを使い始めたときも、Zoom専用のカードゲームみたいなものを作ってリリースして、“リモートのゲームを作れる人” としてPRしました。

*「大喜利人工知能」:株式会社わたし・山之内大輔氏が開発したAI。大喜利のお題を送ると、即座に回答してくれるAI。ちなみに人類代表の回答は晋平氏が考えたもの。

徳永 わりと戦略的に、いちはやく形にして動いてますよね。動きが早いというか。

晋平 自分を売り込むのではなく、作った面白いものごとを紹介するイメージでしょうか。

徳永 独立した当初から、SNSを活用していたんですか?

晋平 SNSを始めたのは会社(バンダイ)を辞めた2014年頃からなんですけど、そのときは「こういうポリシーで発信しよう」っていうのは全然なくて。でもSNSをやれば、自分を求めている人に見つけてもらったり、つながりたい人と知り合えるかなと思ったので、一通りアカウントを作りました。
大企業を辞めて自分の会社を立ち上げた当初、ライターの仕事をいただいて、Webメディアでインタビュー記事の連載を持っていたんですけど、多分僕、喋りも面白いほうで、親近感を持ってもらいやすかったり、取材先の担当者と仲良くなったりすることが割と多かったんです。そこで、「実はもともとバンダイにいて…」って経歴の話なんかをすると、「じゃあ、こういうのってできる?」とか「これやってみない?」っていう流れになることがあって。当時自分の中では “ライター営業“ って名付けていたんですけど、取材先がそのままお客様になって仕事につながるケースがけっこうあったんです。

徳永 なんだか「仕事につないでいく」というプロセスが、SNSに似ていますね。

晋平 いろいろな方法で気が合う友だちを探して、つながって、遊んでいます。仕事の始まりはいつも「遊び」とか「面白がり」からですね。

徳永 お客さんからどんなアプローチで仕事を依頼されるのかな…って、ずーっと聞きたいと思ってたんですけど、そういうことでしたか。

小さい頃は引っ込み思案でなかなかできなかった「人を楽しませる」ということへの強い憧れから、若い頃はお笑いに夢中になったり、ウィットの利いた音楽にハマったりしていたという。

「面白い」っていう価値観は人それぞれ。その「面白い」を納得してもらうのって、どうやっているのですか?(徳永)。

徳永 前から聞きたかったことのひとつとして、晋平くんへの依頼のほとんどが「面白いアイデアを出してくれ」とか「うちの会社を面白くしてくれ」とか、“面白さ” を求められるものだと思うんですよね。

晋平 そうですね。

徳永 「面白い」って人それぞれじゃないですか。面白いことを多数決で決めたら、つまらないものになっちゃいそうだし。グラフィックデザインの世界だと、「御社のロゴ、こうしたほうがカッコいいですよ」って提案したときに、「こっちの方がカッコいいということを定量的に説明できるの?」とか聞かれたりすることがある。アンケートとれば定量的には説明は可能だけど、それだけでは説明できないものもある。
晋平くんは、「面白い」を納得してもらうのって、どうやっているのかを知りたいです。

晋平 納得してもらうというより、当事者自身が自ら考えられるような誘導をします。デザインで置き換えられるかはわからないけど、“面白い”を作るときは、まず作り手(担当者など)の “面白い” がどんなものなのかってことだと思うので。たとえ僕がアイデアを持っていったとしても、最後は作り手本人が決めたような感じに持っていきます。アイデアを不完全な方向に放り投げながら、作り手自身が面白がって思いついたことを形にしていくことを目指すというスタイルですかね。

徳永 具体的にはどんなファシリテートなのでしょうか?

晋平 作り手本人が面白がって思いついたことが、本当に面白かったら「めっちゃいい!」って伝えると、その瞬間にそれはその人の作品になる。そうすると最後まで自分の仕事として持っていくようになりますよね。

徳永 なるほど。「面白い」のものさしを、その人のものとして作っていく感じですかね。その人のものさしを、くっきりさせていくのとは違うということですね。

晋平 はい。僕の場合だと、その人が言ったこと全てを持ち上げているわけじゃないんですけど、本当に面白いことを思いついていて、周りの人もワクワクしていて、本人も面白いって思っていたら「めっちゃいい!」って僕も喜びながら、その枝葉を一気に広げて盛り上げます。「これで行こう」って、全員のテンションが上っているうちに素早くまとめていくんです。
作り手の人は、どういうことを考えて面白いと思っているのかをやっても、僕はよくわからないので、偶然の思いつきが出ることを目指しています。

徳永 弊社のクライアントである実川ガーデンズさんとグッズ制作をしていたとき、晋平くんにファシリテーションしてもらって、何度かZoomで打ち合わせをしたことがありましたよね。

晋平 はいはい。覚えてます。

徳永 そのときに感じたんですけど、どんどん話が進んでいくし、すごく面白いものを作っているという感覚があって、すごいなって思いました。やっぱり対話を転がしていくことを意識しているんですか? 俯瞰して立ち止まって考えようとすると面白くならないのでしょうか。

晋平 そうですね。僕は「計画的偶発性理論」のジョン・D・クランボルツ教授のキャリア論* を参考にしていて、いい偶然が起きる可能性を計画的に高めていくことを意識してやってます(*晋平くんのnote「計画的偶発性理論とアイデア発想術」にも書かれています)。
実川さんたちとタオルを作ったときで言うと、“面白い” の基準は実川さんで、その場で実川さんから出てきたことの中で、参加者のみんなが一番面白がっていることが正解ってことになる。

徳永 晋平くんのファシリテートは、すごく面白そうに喋るし、相槌もたくさんしてくれる。あれは本当に「めっちゃいい」って思って出てくる相槌ですか?

晋平 僕は以外と正直なので、面白くないときは「ちょっとよくわからない」とか「違うかな」とかは言います。でもそれは僕の基準ですからね。自分の意見はけっこうはっきり言いますけど、怒りもしないし嫌な顔もしません。やっぱり当事者が面白がっているものは、僕も面白いって感じやすいです。面白がるってほんと大事です。

徳永 面白いものを考える会議って、「みんな面白いって思ってくれるかなあ…」っていう不安にとらわれると、だんだん沈んでいきがちですよね。晋平くんのファシリテートはそれがなくて、「これ面白いんじゃね?」って自分が階段登れているような感じがすごくあった。そこはやっぱ達人だなあって思うし、会議終わったあとも「面白い打ち合わせだったねー」って会社でも話したりしてました。

晋平 ありがとうございます。

幼い頃は人と話すのが苦手で友だちも少なかったという晋平くん。それでも「人を楽しませたい・変わりたい」という想いを原動力に大学時代は落研に所属。芸人のカッコよさに憧れていた。

アイデアの一番の敵は緊張感。アイデア発想の場で楽しんでもらうにはどうしたらいいか。そこへの興味がつきません。(晋平)

晋平 今のスタイルに行き着くまではだいぶ失敗もしていて、独立してアイデア発想のファシリテートの仕事を始めたときは、「自分はプロとして呼ばれているのだから、自分がいいアイデアを出さなきゃいけない」って考えていて、僕の “面白い” を提案していたんです。
僕は口も達者なので、みんな「それ面白いね」って言ってくれるんですけど、みなさん当事者意識がないので、誰もその面白さを自分で伝えきれないんですよね。結局僕が持っていった “面白い” は、成就しないということに一年くらいかけて気づいて、当事者自身の “面白い” を作らなきゃってなった。

徳永 まずは、そのアイデア会議の現場を面白くするということですね。そういう気づきがあったからこそ、TBPに参加してみようというきっかけになったんですか?

晋平 そうかもしれないです。チームビルディングをアイデア会議の中でうまく活かせたらという興味が最初は大きかったと思います。TBPで一番得られたものは、場の緊張感をなくすっていうこと。会議の場で「アイデア出ないね〜」ってなるとどんどん緊張感が高まっていってしまうんです。今僕がやっているVoicyでも、60分の生放送のときはどうしても緊張感が漂ってしまいます。コメントを読み上げるときとか、話し声がかぶらないようにしなきゃとか。Zoom会議もそうだし。そういうところに対して「どうやったらみんな緊張しないのか」へのヒントをTBPではもらったような気がしています。アイデアの一番の敵は緊張感ですよ。

徳永 確かに。アイデアを出すときの緊張感ってわかります。アイデアを出し合う段階で、一人が「それってどうなの?」みたいな、そのアイデアがダメな理由を言い出すと、もう場の空気がどんどん沈んでいくという…

晋平 そうなんですよ。Twitterでやっている【選ぶだけ大喜利】でも、みんながコメント入れてくれるんですけど、文字でツッコミいれる難しさみたいのも感じてます。言葉で言うとツッコミになることでも、文字になると文句みたいに見えちゃったり。

徳永 この間、僕のコメントにも返してくれましたよね。「全然わかんない」って返ってきました。

晋平 とくさんみたいに、付き合いのある人への返しは、あれでギリギリセーフかなと思っているんですが、付き合いのない人だとNGになっちゃうかなと思ってます。だから文字ツッコミを極めたくてギリギリをついているんですが、少しでも笑いに近づけるよう試行錯誤しています。

「たのしい・面白い・笑い・わくわく」みたいなことを提供したいという強い想いが、晋平くんの根っこにずっとあり続けたからこそ今があるのだと、会話の中で共振しっぱなしでした。

アイデアが出たあと、実現までのアプローチを知りたい(徳永)
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「アイデア」と「企画」は明確に違うものだから切り分けて考える(晋平)

徳永 クラウドボックスの自社プロダクトの話をすると、面白いアイデアはけっこうたくさん出るんだけど、実現するところまでたどり着けなかったという企画がけっこうありまして…..。晋平くんは忙しい中でも、ここぞというタイミングで新しいものをリリースしてますよね。

晋平 ものにもよりますが、「やりやすい」とか「実現しやすい」ということをアイデアの評価軸で人よりも重視しているんだと思います。
アイデアと企画は明確に違っていて、「アイデア」は実現性も収益性も、具体性もまだ何もないもの。ただ “面白そう“ っていうことだけです。
一方「企画」は実現しなくてはいけないもの。欲しい量・欲しい種類の利益を生んで、具体性をもって実現する能力がないといけないですよね。
リソースっていう制約のあるなかで、先に企画から考え始めると、つまらないものしか思いつかなかったり、何も思いつかなかったり…という現象がおこってしまう。僕はアイデアをいっぱい考えて、ほとんどが企画につながらないことかもしれないけど、いっぱい考えることで、「できることがあるよねっ」ていう確率を高めています。「本当にこれ、できるのか?」っていうことを最初に考え始めると何も思いつかない。たくさんの妄想を考えた中から選ぶとか、企画にしていくターンになったときに、真っ先に実現できるのかっていうことを考える。ここの切り分けと、最初にできるかどうかを考えるというスキルを磨いているつもりです。
大企業とのアイデア会議で面白いアイデアが出て、これ作れるんじゃないか? みたいに盛り上がったとしても、逆に僕の方から「本当にできますか?」ってめっちゃ聞いたりもしています。

徳永 ここから「企画」って切り替えスイッチが入った瞬間に考え方を変えていってるんですね。

晋平 「技術」と「精神」の両面で考えています。コストや技術的なところ、いわゆる物理的な部分での「できるか・できないか」と、飽きずに最後まで頑張れるものかという精神的な部分。この2つをちゃんと考えていかないと実現まで漕ぎ着けないと思うんです。
裏を返せば、本当に最後まで到達できるという「ワクワク」があって、実現できるぞ!っていうものは、やりやすいものだし、より濃い「やる気」も出てきて面白いと感じる度合いも高まります。そういうものほど「面白いアイデアが出ていた」ということになるし、たくさんのアイデアの中から選ぶ基準としては第一に置いていることかもしれないですね。

落語一色だった大学時代。自分がプレイヤーとしてやっていけるほどの自信やセンスがないと感じていたからこそ「アイデア発想プラス+おもちゃ・ゲーム」でなら何かができると思った。でも会社員時代は頑張りすぎて体壊しちゃったから、「健康第一」が自己紹介の最初のフレーズです。

『吉祥寺かるた』はやっと出会えた実現できるアイデアだった(徳永)
               ×
人生で続けられる企画なんて、人間ひとつくらいしかないと思う。
“できる“ っていうのは、ほんと、それだけでスゴイもの。(晋平)

徳永 「アイデア」と「企画」、「技術」と「精神」の話。『吉祥寺かるた』に置き換えると、すごく腑に落ちる。クラウドボックスのメンバーは妄想を膨らますのは得意だったけど、企画にする段になると気持ちが萎えてしまうパターンがほどんどだったんです。そう考えると『吉祥寺かるた』は、やっと出会えた実現できるアイデアだったんだなあと。

晋平 とくさんは、もともと “かるた” に興味があったんですか?

徳永 社内で「ご当地かるた」のことが話題になって。クラウドボックスには群馬県出身者が2人いて、ご当地かるたの頂点に君臨する『上毛かるた』の話題になると、熱く語りだす群馬県人がものすごく多いっていう話をしたりしていたんです。

晋平 上毛かるたは最高の製品です。もちろん持ってます。

徳永 自社プロダクトのアイデアを出していた時期だったこともあって、「ご当地かるたを愛でる会」ってのを吉祥寺で開催したんです。『上毛かるた』のほかにも『沖縄おもしろカルタ』なんかを集まった人たちでやってみたり、かるたの読み札を作ってみたりして「これ吉祥寺でやったら面白いよね」って話になって盛り上がりました。そしたら当時吉祥寺にあったフリーペーパー『吉祥寺ECCO』の編集者さんが参加者の中にいて、「2ヵ月で完成するんだったら紙面で紹介しますよ」って言ってくれて、その瞬間に『吉祥寺かるた*』完成までの道筋が一気につながって走り出すことができたんですよ。

*吉祥寺かるた:『吉祥寺かるた』ができるまでや、徳永の「かるた考」は、徳永健のNoteでご覧いただけます。

晋平 本当に “できる”  “続けられる” ってことは大事で、それだけでスゴイものなんです。SNSで発信するネタ一つとってもまさにそうで。でも、 “できること” は人によって違うし、自分が続けられるものってやっぱりとても貴重なものだと思うんです。僕は毎日noteを書き続けるのはなかなか難しいけど、Voicyは性に合っているみたいで、毎日10分喋ったら、それだけで10分のコンテンツができあがるとか、2月に出版した『1日1アイデア』も短い話を365個書くっていうのがすごく自分に合っていました。

徳永 『吉祥寺かるた』のスゴイところは2019年に完成して、その後も「面白がること」が続けられていること。「作ったら終わり」っていうかるたもたくさんあるけれど、『吉祥寺かるた』の場合は地域を巻き込むアイテムにしたいというのがあったから、かるた大会やったり、展示をしたり、武蔵野市のおみやげに認知されたり、今現在はど、ユニクロとコラボしてショーウィンドウに飾ったり、ワークショップしたり。

晋平 理想の流れですよね。かるたを通じたコミュニティとか、人と考えるワークショップとか、『吉祥寺かるた』から派生して、いろんな人が「かるた作ろう*」ってなっていったりとか、自然と結びついてきたわけですよね。どんどん広げていけるものだから、どんどん面白くなり続けるし、とくさんの人生の「企画」としても、『吉祥寺かるた』は自然なことだったんだと思うんですよ。クラウドボックスが “かるた” でとこまで広がっていくのか、すごく興味をもっています。とんでもないことをやって欲しいです。人間ひとつくらいしか、人生の中で続けていける企画なんてないと思うので。

徳永 わー、頑張ります。

晋平 かるたが最初で最後って思っているわけじゃないですけどね。やればやるほど、考えれば考えるほど、面白くなってくと思うし、すごい可能性があるものだから。続けていけるのが、やっぱりいちばんの強みですよね。それができているってことは「面白さ」がそこにあるっていうことだし。

徳永 晋平さんにとってはそれが「アイデア発想」ってことになるんですか?

晋平 僕の人生のテーマは「人を笑わせることで、面白くなりたい」ということなんだけど、じゃあ、僕はお笑い芸人になれるかっていうとなれないし、おもちゃとかゲームを面白く作れる人はほかにもたくさんいます。でも「アイデア+おもちゃ・ゲーム」って考えると、アイデアの考え方を教えたり、アイデアが生まれるようにファシリテートしていける人ってそうそういないですから、この2つを組み合わせて「笑ってもらう」ことならできると思うんです。それが僕の “たまごち“(魂のごちそう)なんですよ。

徳永 たまごちですかー。いいですね。

ありがとうございましたーーーー。

高橋晋平プロフィール(著書『1日1アイデア』より抜粋・編集)
おもちゃクリエーター、アイデア発想ファシリテーター。2004年株式会社バンダイに入社。玩具・ゲームの企画開発、マーケティングに携わり、「∞にできるシリーズ(∞プチプチ・∞エダマメ)」で第1回日本おもちゃ大賞受賞。
2014年独立し、株式会社ウサギを設立。製品や働き方、社会課題解決などを「遊び化」するプロとして、各種企業と事業の共同開発を行うほか、企画アイデアの発想セミナーやワークショップなども全国で行っている。
TED☓Tokyo で行ったアイデア発想法のスピーチ動画は累計200万回再生を突破。著書は最新刊『1日1アイデア』(Kadokawa)のほか、『企画のメモ技』など多数。
お笑い大好き。落研出身。

高橋晋平氏 最新刊著書『1日1アイデア』         


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