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八葉の栞

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創作大賞2024 ファンタジー小説部門 応募作
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固定された記事

「八葉の栞」第一章 前編

4月5日プロローグ 桜舞う川のほとりにひとり、私は佇んでいた。 柔らかな風が吹き抜け、薄紅…

Tatsuo
4か月前
46

「八葉の栞」第一章 後編

3月25日第十節 真也の記録を読み終えた一同は、2杯目のコーヒーを飲んで、息をついた。 「す…

Tatsuo
4か月前
19

「八葉の栞」第二章 前編

3月28日第一節 光風そよぐ麗らかな朝。清宮涼介は瑞善寺川に架かる小橋に佇立していた。 薄…

Tatsuo
4か月前
17

「八葉の栞」第二章 後編

3月28日第十一節 涼介はノートから視線を上げて、玲於奈の顔を見た。 驚いている。当然だ。…

Tatsuo
4か月前
15

「八葉の栞」第三章 前編

4月2日第一節 午前9時20分。藤堂茉莉花は事務所の窓辺に立ち、静寂な朝の情景を眺めていた。…

Tatsuo
4か月前
13

「八葉の栞」第三章 後編

佳乃の記憶第十節 1月16日。朝、白桜町に初雪が降った。今もまだ降ってる。 文乃は風邪で寝…

Tatsuo
4か月前
14

「八葉の栞」第四章 前編

4月3日第一節 午前9時30分。清宮涼介は朝の日課をこなし、白桜町駅に向かっていた。 昨夜から降り続いていた雨はぴたりと止み、朝の空は青く澄み渡っていた。街路樹の葉に朝露が光り、小鳥たちがその間を忙しなく飛び交っている。 涼介はレンタカーを借りて、駅前のロータリーに停車した。 ウィンドウを下げると、清々しい風が吹き込んでくる。涼介は深呼吸した。道端の水たまりには、青空と白い雲が映り込み、水面が風に揺られて緩やかに輝いていた。 水沢匡貴の住居は、佳乃の記録で確認済みだ。

「八葉の栞」第四章 後編

匡貴の記憶第八節 2006年2月28日、午前10時。 徹夜明けの私は、降り頻る雨の中、瑞善寺川緑…

Tatsuo
4か月前
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「八葉の栞」第五章 前編

4月4日第一節 その日、真桜が藤堂探偵事務所を訪れたのは、14時を少し過ぎた頃だった。 柔ら…

Tatsuo
4か月前
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「八葉の栞」第五章 後編

4月4日第十四節 一同は沈黙した。部屋に漂う重苦しい空気が、皆の胸を締め付けた。 こんな場…

Tatsuo
4か月前
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「八葉の栞」あとがき

はじめに当初、あとがきはあまり必要ないかなと思っていました。 しかし、結城奏様のあとがき…

Tatsuo
3か月前
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