痛みの評価➀
痛みの評価
こんにちは。MPTBです。
担当する患者さんの主訴を聴取したら、次は患者さんの痛みの評価を行います。痛みを主訴とする患者さんのリハビリに関わるときに、対象とする患者さんがどのような痛みを持っているのかを把握することが大事です。
痛みの評価は主に①痛みの部位、②痛み、質、③痛みの深さ、④痛みの持続性、⑤痛みの強さ、⑥各痛みの部位の関連性の把握、の6項目をチェックしていきます。
➀痛みの部位の把握
実際の痛みのある場所を患者さんに示してもらいます。
これだけならとても簡単そうに感じるかもしれないですが、私たちは理学療法士なので患者さんの話だけを鵜呑みにせず、他に痛みのある場所がないか、確認し、症状のある場所と無い場所を明確にしなければなりません。
例えば右肩の後面の痛みを患者さんが訴えた場合、肩の前面や上腕にも痛みはあるのか確認する必要があります。そうであった場合、肩の後面の痛みと一続きであるのか、別々の痛みと認識しているのかを確認していきます。仮に一続きの痛みであった場合には、広い範囲の痛みが減少してくるにつれて改善の度合いを示していることになるでしょう。逆に2か所以上の痛みに分別できるのであれば、それぞれ痛みが出る動作(症状増悪因子)は違うものであるかもしれません。
この様な情報はあまり患者さんから自発的には出てきませんので、こちらからしっかりと聴取して、聞き逃しが無いようにします。
ポイントは➀患者さんの示した痛みの部位がどこまで広がるか確認する(横方向や上下方向にひろがるのか)、➁ランドマークを目印に使う(関節を超えるのか否か)、③主症状から離れた部位についても確認を行う(足部が痛い場合に股関節や腰についても確認をする)ことです。聴取をしたけれども痛みがない場合には✅マークをいれます。これは関節ごとや部位ごとにいれてもらえば大丈夫です。
➁痛みの質
患者さんが持っている痛みをどのように感じているのかを確認していきます。痛みの種類は主にズキズキや、ズキッと表される鋭痛(Sharp Pain)、ズーンや重だるいなどの言葉で表される鈍痛(Dull)などの他に、ピリピリしたしびれや冷感、感覚脱失などの異常感覚についても記載していきます。痛みの質を把握することで、痛みの特性がどのようなものであり、原因がどこにあるのかを知るための手がかりになります。例えば、Sharp Painは局所の組織の損傷やその部位に機械的な負荷がかかって痛みが生じている可能性が考えられますし、Dull Painはより深部で感じられる痛みに用いられることが多く、深部にある組織や関連痛として生じている可能性が考えられます。しびれに関しては主にピリピリやビリビリと伝えられるしびれと、感覚がなかったり、力が入りにくくなっている状態のしびれの2種類があるので、患者さんがどのように感じているのかを正確に聴取することが大切です。
痛みの質に関しては他にも、拍動的にズキズキとする痛み(Throbbing Pain)や疼くようにジンジンと感じる痛み(Ache)などがあります。日本語では特に比喩やオノマトペ(チクチク、チリチリなどの単語の反復で表される言葉)を使って表現されることが多いので、患者さんの自然な表現で痛みを説明してもらい、それらがそれぞれどのようなカテゴリーに分類されるのかを整理し、原因組織や痛みのタイプの判別に活かしていきます。
➂痛みの深さ
痛みの深さに関しては大まかに表在性(Superficial)の痛みか、深部性(Deep)の痛みかの2種類にわけることができます。表面にあると表される痛みは、患者さんが訴える通り、痛みの原因組織が体の表面にある可能性と、患者さんが痛みの場所をはっきりと示すことができている可能性を示しています。痛みの場所をはっきりと示すことができるということは、痛みの原因が、患者さんの訴える局所に原因があるということです。反対に深部性の痛みに関しては、痛みが深い場所にあることももちろんですが、痛みの原因が局所にない、離れた所から生じている可能性があることを示しています。これは例えば腰椎や内臓から生じる関連痛が関与している可能性を示しています。
痛みの評価に関する内容はいかがでしたか?
次回の記事で残りの痛みの持続性、痛みの強さ、痛みの関連性について説明していきますね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?