痛みの評価➁
みなさんこんにちは。
今日は前回に引き続き、痛みの評価について書いていきたいと思います。
➃痛みの持続性
痛みの持続性に関しては患者さんの痛みが常に存在している持続的なものなのか、あるいは痛みが出たらある程度の時間で治まるものなのか(間欠的)を明らかにしていきます。
多くの患者さんの痛みは間欠的なものであることが多いですが、間欠的な痛みの中でも痛みや症状が治まるまでにどれ程の時間で治まるのかを聴取していきます。これはなぜ重要なのかというと、例えば患者さんの痛みが治まるまでに5分程度かかるとします。仮に理学療法の検査中に痛みを出してしまった場合に、5分間は痛みが持続するため、痛みの影響でその後の検査を正確に行うことができなくなってしまいます。この様な状況を避けるために、主観的評価の段階で痛みの持続性を把握し、検査や治療の種類や範囲を制限するかどうかを判断します。
検査や治療の制限に関してはIrritabilityなどの項目も考慮する必要があるので、これについてはまた今後の記事で説明していきますね。
持続的な痛みに関しては、一般的に数分以上持続する痛みと考えられがちですが、正確には24時間以上続く絶え間ない痛みのことを指します。これは間欠的な痛みに比べたら症状の重症度も強いですし、痛みのメカニズムに関しても局所の組織よりも離れた部位からの影響が関与している可能性が考えられます(末梢神経や中枢神経、筋膜など)。また理学療法の適応外の重篤な疾患(“レッドフラッグ”についてはまた後日詳しく説明していきますね)が隠れている可能性も示唆されます。。持続的な痛みに関しては、その強度にかかわらず検査や治療中に痛みの増加に気を付ける必要がありますし、重篤な疾患や異常がないか病歴、症状増悪因子に関してもかなり慎重に聴取していきます。
➄痛みの強度
この項目については既にかなり深く用いられていると思います。患者さんが訴えている痛みがどれ程強いのかを尺度を使って示してもらいます。一般的にはVisual Analogue Scale(VAS)やNumerical Rating Scale(NRS)があります。VASは100㎜の直線を用意し、左端を“痛みがない状態”、右端を“想像できる最大の痛み”とした際にどの辺りにご自身の痛みの強さが該当するかを書いていただきます。NRSも同様の評価ですが0から10までの11段階の数字のどこに現在の痛みが当てはまるかを答えてもらいます(0が“痛みがない状態”、10が“想像できる最大の痛み”)。どの時点での痛みを答えていただくかについてはいくつか種類があり、ここ1週間の平均値や、最大の痛みの強さと最小の痛みの両方を答えてもらう方法などがあります。この辺りは理学療法士によって聞きやすい方法やリハビリに活用しやすい方法などあると思うので、色々試してみて自分に合ったやり方を探してみると良いと思います。
➅痛みの関連性
最後に複数の痛みの部位があった場合にこれらの関連性を明らかにしていきます。関連性を明らかにする時に知りたい情報は2つです。➀いくつかの症状が同時にでることがあるか、あるいは症状が出る順番に規則性があるか(肩の後ろが痛くなってから前が痛くなるなど)、➁病歴的に同時期から症状が出始めたかです。➀についてですが、痛みの出現に順番がある場合、先に出る痛みが症状の原因である可能性が高くなります。➁については、もしも近い場所に複数の痛みが存在している場合に片方が他の症状の発症に関連しているのかを判断する材料になります。例えば肩の前面と後面に痛みがあった場合、前側の痛みが1週間前から出始めたとして、後ろ側の痛みが10年前からあった場合と2週間前から出始めていた場合では考えられる検査や、関連因子としての後ろ側の痛みの考え方は大きく変わってきます。また、患者さんは特に根拠がないものの離れた部位同士の関連性についてはなしてくれることがあります。なので、経験値からくる先入観などを持たずに問診してみるのが最も多くの情報を得る上では重要です。
2つの記事に渡って痛みの評価について説明してきましたがいかがでしたか?これらの痛みの評価は問診の最初の一部であり、これらを元にしてより詳しくその後の問診を突き詰めていきますが、最初の部分だけでもこれだけ考えるべきものがあります。読んでみるのは簡単ですが、実際に行ってみるとかなり大変です。トライ&エラーでどんどん経験を深めていくのが大切です。
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