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消える煙と得る出会い

外出先。兎にも角にも、
私は喫煙所を見つけると、
真っ先にその方向に向かう。

常に体がニコチンとタールを
求めているんだろう。

カチッ。シュボッ!ジーーー。フーーー。

1連の流れを慣れた手つきで行う。

吐いた煙が虚空に浮かぶのを見つめ、
タバコの味を確かめる。

大好きな音楽をイヤホンで聴きながら、
自分のペースでゆったりとタバコを吸う。

世間の人には迷惑かもしれないが、
私はこの行動が好きだ。

この日もいつものように、
喫煙ルーティンを嗜んでいると、
後ろからいきなり
肩をトントンされてこう言われた。

「ライター借りてもいいですか?」

この一言から私は
多くの"出会い"を得た。

ブロガー、飲食店の店長、画家…。

普通に生活しているだけでは
中々出会ったり、話す事自体が
難しいような人たち。

喫煙という行為を通して
そんな人たちと知り合えた。

しかも、面白いことに全員
会話の流れも決まりきっている。

なんの銘柄を吸っているか?

いつから吸い始めたのか?

年齢はいくつなのか?

仕事は何をしているのか?

当たり障りない内容だけ話す。

これだけで良いのだ。

これだけで相当距離が縮まる。

そして、こんなに話したし
せっかくだからと皆さん
連絡先を教えてくれる。

タバコミュニケーションとは
よく言ったものだが、
喫煙者になってからこの言葉を
非喫煙者の時に比べ、より強く実感した。

ただ、百害あって一利なし。

わざわざお金を払って体を蝕んで
得られるものは匂いが体に着く、
口臭が気になる、
非喫煙者の方々からに
煙たがられてしまう。

まーじでマイナスしかない。
やめた方が良いのもわかってる。

でも私は、こんな面白い出会いを
与えてくれたタバコを
しばらくはやめられそうにない。

寿命と人からの好感度を失う代わりに、
出会いとコミュ力が得られる。

そんなワクワクするような事が、
この先も訪れてくれるのなら
タバコはやめられないより
やめたくない。

今日も自分が吐いた煙と引き換えに
やってくるかもしれない
新しい出会いに期待して、
喫煙所で待ち構えていよう。

それでは。

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