【読書記録】はじめての
アーティストのYOASOBIと直木賞作家のコラボプロジェクトとして出版されている「はじめての」という短編小説集を読んだ。
きっかけは、同じくYOASOBIの楽曲である「ミスター」を聞いて。
YOASOBIには小説を元に音楽を作るというコンセプトがあると、大ヒットした「夜に駆ける」の頃に知り、同名の小説は読んでいたのだが、それ以来音楽は聞いていても元となる小説までは読んでいなかった。
しかし、今回の「ミスター」という曲は元となる小説の内容が気になる楽曲であった。
曲とMVから十分物語の起承転結は伝わったが、どうもこのMVに登場する2人の内情に迫りたくなった、というのがきっかけだった。
この本に収録されている短編集は4編。
島本理生「私だけの所有者」
辻村深月「ユーレイ」
宮部みゆき「色違いのトランプ」
森絵都「ヒカリノタネ」
購入の決め手は、作者の中に森絵都さんの名前があったからだ、森絵都さんは私の10代の頃の読書を支えたドンピシャの作家さんだ。
ではでは、ここからは読んだ感想を簡単に書いていこうと思います。
※軽くネタバレ注意
一言で言ってしまうと、THE•直木賞作家の本でした。
10代に戻った気持ちで読めて、楽しめる本です。
4編とも、現実的な様でファンタジーという点で共通しているところがありましたが、戦争や感染症、大規模な自然災害など、非現実的な現実が次々と襲ってきている現代では、ある種、やがて訪れる「現実」なのかもしれない、と思ってしまう部分もあります。
「私だけの所有者」はアンドロイドが今よりも発展しもっと身近になった世界の物語で、「ユーレイ」はタイトル通りユーレイを思わせる不思議なお話。「色違いのトランプ」はSFっぽくて1番設定が複雑だったのですが、想像できない様な世界観を宮部みゆきさんの力で脳内に描いてくれました。「ヒカリノタネ」は同じ相手に4度目の告白を考えている主人公がタイムスリップする話。瑞々しさナンバーワンで、森絵都作品が大好きな私は「よ!待ってました!」という感じ。
どれも現代に生きる私たち、特に若者が直面している問題を取り扱いつつ、サイダーのような刺激とスッキリ感を味あわせてくれる作品でした。
大人目線で読むと、共感できないところがあるかもしれませんので、心は10代に戻って読むことをおすすめします笑
そうすればより楽しめる作品です!
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