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女王まりかのつれづれぐさ/第十六回;博多女子中学校の不祥事について
福岡県で、中学校の担任教諭のミスが原因で、三人の生徒が志望する高校を受験できないという事件が起きました。
今回はこの事件について考えていこうと思います。
事件の背景となる、入試の出願日程はこんな感じです。
・高校の出願締切日時は、2/16(金)の12:00だった。
・担任教諭は出願締切の日を2/20(火)だと思っていて、2/16(金)の14:00に高校の窓口に願書を提出した。
・締切日時の2時間後だったから、願書が受理されなかった。
第一印象は「不注意な先生ですね」です。
最初は担任教諭を叩きまくってやろうかと思ったんですけど…。
調べてみたら事情が少し複雑だったので、担任教諭はそこまで残念な人ではないと思いまして、方針を変えることにしました。
一つずつ、事件の背景を掘り下げていきます。
1.被害生徒の通っていた中学校
受験できなかった三人の生徒が通っていた中学校は博多女子中学校。私立の学校です。
私も私立中学の出身ですが、高校入試は受けずに上の高校に進学しました。と言うか、ほぼ全員が上の高校に進学していて、他の高校を受けるのはレアケースでした。
しかし、この博多女子中学校は私の通っていた学校とは違い、上の博多女子高校に進学した人は、ここ3年間で198人中48人。
他の高校に進学する子の方が多いようです。
つまり公立中学と同様で、基本的にクラスの全員が高校入試を受ける。
こうなると中3の担任教諭には、次の二点が要求されます。
・担当クラスの生徒全員の志望状況を把握しておく。
・各高校の出願や入試の日程を把握しておく。
これ、割と大変です。私も塾講師やってましたし、今も家庭教師をやってますから、この大変さは解かります。
でも、甘やかしません。
それでお金をもらってるんですから。
ちゃんとやれて当然。失敗したら叩かれる。
そんなモンです。
ですが…。三人の生徒が志望していた高校を調べてみたら、
「間違えても仕方ないかも」という気が少しだけ生じました。
どうしてかは、次の項目で説明します。
2.被害生徒の志望校
三人の生徒が志望していた高校は、『福岡県公立・古賀竟成館高等学校』です。
よーく見てくださいね。
『福岡県公立』です。
『福岡県立』ではありません。
この学校は県立高校ではなく、組合立の公立高校です。
古賀町、新宮町、福津町、津屋崎町の4町(昭和37年当時。現在は二市一町)が高等学校組合を組織し、創立した学校とのことです。
上に紹介した学校の公式HPによると、組合立の公立学校は全国に3校しか無いみたいです。恥ずかしながら、私もこの事件を調べて初めて、『組合立の学校』という存在を知りました。
事件に戻りますが…。
担任教諭は、古賀竟成館高校を福岡県立だと思ったらしいです。出願締切の日を2/20(火)と思っていた理由はこれです。
2/20(火)というのは、福岡県立高校の出願締切の日だったんです。
しかし、古賀竟成館高校は『県立の公立高校』ではなく『組合立の公立高校』だったので、福岡県立の高校とは異なる独自のスケジュールで動いてました。
不運なことに、古賀竟成館高校の出願締切は福岡県立の高校より早く、2/16(金)の12:00まででした。
という流れです。
ちょっと難しい事例だったから、混乱しちゃったかな? この点は若干同情しました。私もその立場だったら、同じミスしていたかも…と、かなり思いました。
だけど、甘やかしませんよ!
先も言いましたけど、これでお金をもらってるんですから。
教育や進学に関係ない職業の人なら、『県立』か『組合立』を把握していていなくても仕方ありません。ですけど、この担任教諭は受験指導でお金をもらってる人です。
普通の人が理解していないことを正確に把握してるから、学校教員も塾講師も金をもらってるんです。
同情はしますけど、担任教諭に手落ちは無かったとは言いません。
顧客である生徒にとんでもない損失を与えてしまったので、この担任教諭は進学指導のプロならば、深く反省しなければいけません。
と、まだ自分がそういうミスをしていないから、偉そうに言っておきます。
3.どうしたら防げたのか?
この担任教諭はどうすれば良かったのか?
「このようなミスを二度としないよう、高校の募集要項をもっと慎重に読み込んで、情報を正確に把握します!」
はい、お疲れ様です! 無意味な決意表明ですね。
こんなこと誓わせたって、またやりますよ。この方がもう二度としなくても、他の誰かが同じようなミスを必ずやると思います。
だから、再発を防止する為には…
学校で一括して出願なんかしないで、生徒各自に出願させよう!
進学という人生におけるそれなりのイベントを他人に委ねるって、そもそも怖くないですか?
教員だって、他人の願書を預かるって怖くないのかな?
私は怖いですよ。
なんか手違いしたら、相手に損害を与えちゃうんですから。
先生とかいう人々は、聖人でも超人でもありません。
普通の人と同じようにミスります。気を付けたってミスる時はミスります。どんな慎重な人だって、一回くらいはミスります。
学校側がその認識を強く持つべきだと、私は思います。
入学願書なんて重ーい書類を預かって、全国放送のニュースで叩かれるリスクをわざわざ背負う必要なんて無くないですか? 絶対に自分たちは失敗しないなんて、愚かな幻想は捨てよう。
生徒各位に出願させようよ。その方が安全だよ。
生徒が締切日を間違えたら?
いいんじゃない? 自己責任で。
その子にとって入試なんてその程度だった。それだけの話。
入試に対して意識の高い子なら、自分の受験校の出願の締切を間違えたりしない。教員より、よっぽど正確に日程を把握してるよ。
むしろ、自分で出願させることが社会勉強に繋がるんじゃないかな?
数学とか理科とか勉強するより遥かに大切なことだと、私は思います。
高校の方が『中学ごとに、まとめて出願すること』と指定している場合は別ですね。でも、それ以外だったら基本的に生徒各位に出願させて、学校は調査書を各生徒に必要部数だけ渡すのに徹すればいい気がします。
*埼玉県はこの制度を廃止して、生徒個人に出願させるシステムに変えてください。同じような犠牲者が出かねません。
先生だって完璧じゃない!
この言葉をミスった時の言い訳に使うのではなく、
ミス率を下げる努力や、リカバリーの仕方を考える努力に繋げましょうよ。
今回、私が一番訴えたいことは、実はこれだったりします。
4.受験できなかった三人の生徒へ
お気の毒に…としか言いようがありません。
担任教諭を殺したい?
いいよ! 私は許す。
司法は許さないけど。
担任教諭はどうしようね?
減給? 懲戒免職?
この人の処分なんて、はっきり言ってどうでもいいです。
担任教諭がどんな目に遭ったって、三人の生徒が受けたかった学校を受けられなかったという結果は変わりませんから。
なら、どうするの?
三人の生徒は第二志望以下の高校に進学して、そこで頑張ろう!
それしか無いよ。
これは受験業界にいる者として言います。
今回の件は辛かったと思います。
ですけど、いつまでもそれに囚われていては駄目です。
どの学校に合格するかより、進学した学校で何をするかの方がずっと大切です。
どの学校に進学していたら、一番幸せだったのか?
これは解かりようがありません。
パンフレットを読んでたら良さげに感じたけど、実際に通ってみたら全然違った…なんて飽きるほど聞いた話です。
第一志望の学校に進学することが一番の幸せとは、必ずしも言い切れません。私の友人の中に、第一志望の学校に進学したけど、
「あの学校なんて、また会いたい奴より二度と会いたくない奴の方が多い」
なんて言った人もいますから(理系女と文系男;第21話より)。
だから「これが一番良かったんだ」と自分で思えるように、進学先で頑張ろう。最高の友達を作ろう。何か素敵な思い出を作ろう。
この三人の生徒が、そんな風に思って前を向いてくれることを、私は切に願っています。
同じ事件を取り上げた記事を見つけました。ご興味のある方は、『むらしょう』さんの記事もご覧ください!
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