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物流現場から事故やミスはなぜなくならない?


ミスや事故がなくならない!

多くの物流現場で、現場巡回や教育は「毎月しっかりやっています」という言葉を聞かせていただきます。が、事故やミスがゼロ件にはなりません。一定の周期で繰り返し、また起きています。

ミスや事故発生時の管理監督者のコメントでは、未然防止として教育や安全活動を行い、記録も残してあるという。
では、なぜ起きるのでしょう。

管理監督者は「やったつもり」「できているつもり」
ここでは何をもって現場の管理ができていると考えるかが大切です。
責任を示すため、指示されたことを消化して根拠資料を残している。
しかし、根拠資料があれば現場は成長していますか?
あなたの行動の「やった」は効果が得られているのでしょうか?
報告のための体裁を整えたエビデンスに意味はありません。

 作業ミスやフォークリフト事故などの発生要因も掘り下げてみれば「やるべきことがやれていない」のです。
教育を受け、やらなければならないことを知っていても守れていないのです。


なぜ守れないのでしょうか?

自分は大丈夫という過信でしょうか?油断、おごりでしょうか?
教育の場で質問をすると「手順、ルールは守らなければいけない。」と回答します。
だれが、何を、どのように守らなければならないか?
守らなければ、どんなことになりますか?
と質問を繰り返すと抽象的に言葉に詰まることがとても多いです。
痛みを知らないし、具体的なイメージが持てていないのです。

例えば、日頃から頑張っているリフトマンが、少しの焦りから、リフトから飛び降りた際に、右足をひねり、足首を骨折した。
本人は、まさかこんなことで骨折するなど思ってもいない。

本人は、痛い思いをし、リフト操作ができないし、いつもの仕事ができない。(働けない)
骨折となれば2~3ヶ月です。休んでいる間、収入面も不安になります。
家族にも多くの負担がかかります。

職場は、ひねった瞬間から1名欠員です。人員不足で対応に追われます。
あわせて監督者は事故報告や再発防止対策、再教育などの対応もあります。
それを見ている当の本人は、何もできずに心も痛くなります。

起こってしまうと本人、職場、家族…みんなに「痛み」が伴います。


 悪いのは本人か?管理監督者は何をやるべきか?

ミスや事故の未然防止のために、どんな現場巡回を行っているのでしょうか?
なんとなく、現場を回って「オウ!」と声をかけているだけではないですか?
偉そうに回遊しているだけならすぐに見直したほうが良いです。
ミスや事故から作業者を守る意識で未然防止の視点や仕事の習得度や成長を見守る意識で現場をみていますか?
あなたは、その時はどの「みる…見る、観る、診る、看る」ですか?

守れていない悪さを見つけに現場巡回していませんか?
(作業者は、うるさい奴が見に来たから、その場は取り繕います。…隠す化です)
教育したことを意識して、やっていることを見つけ、ほめていますか?
(作業者は、ほめられ、評価されるので見られようとします。…見せる化です)

頼りにしているベテラン作業者だから、あまり見ていない
自分より大先輩だから、よく知っているはずだから、指摘しづらいから…。
そんなことはないですか?


どのように、何を見ていますか?

作業手順書をもとに作業を見たり、点検チェックシートで見ていたり、タイムチェックで作業の進捗をみたり、等々どれも正解だと思います。
ただし、文字で書かれていることには限界があります。
行間をどれだけ見ることができるか
です。

 監督者は、しかるべき経験とスキルがある人だと思います。
例えば、リフトやハンドシフトの通路上の動線や、進入角、形だけの後方確認など等。
荷役作業では、腰や腕の角度、ちゃぶりなどの動作、疲労度、時間的な集中力の低下など等。
本人が、気づけていないことをどれだけ客観的にみて声をかけてあげられるかが大切です。
本人が、教えられたことを大切に仕事に取り組んでいる姿勢も見逃さず、しっかりととらえて本人の頑張りを評価してあげてください。

 本人たちはミスや事故をしたくありません。もちろん職場としても未然に防止しなければなりません。気づいてあげられるのは、監督者の目です。
作業者も「なるほど」と思えるアドバイスがあれば、続けていくうちに監督者の顔を見ただけでアドバイスが思い出せるようになります。
物流現場や作業者を守ることを意識した巡回をせずに、歴代のベテラン監督者の振りだけをマネても職場は良くならないのです。

日ごろの教育や現場巡回などを見つめ直してみることは、とても大切です。


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