物流品質〜崩れたケーキから考えること
報道から
クリスマスケーキが崩れた状態でお客様に届いたという報道があった。
何ヶ月も前に予約をして、その日に食べることを楽しみにしていたものが、崩れていたのだ。ショッキングなニュースだったと思う。
どんなに素晴らしいものを販売しても、お客様に満足していただいて初めて完了となる。
今回の件では、考えるところが多くある。
崩れたケーキの影響
「原因が特定できなかった」との会見があった。
残念である。
お客様は、「クリスマスの日に大切な人たちときれいな美味しいケーキを分け合って食べたい。」という思いで注文し、楽しみにしていたでしょう。
パティスリーは、「お客様にきれいにデコレートしたケーキを美味しく食べてもらいたい。」という思いで一生懸命作ったであろう。
年に一度のビッグイベントだ。何ヶ月も前から準備して進めてきたでしょう。
販売店は、「美しいケーキをクリスマスに食べていただきたい。」とカタログにあるパティスリーブランドから味と美しさの付加価値を高めて一生懸命に販売したであろう。
物流業者は、お預かりしたケーキをお客様へ期日までに届くように年末商戦で溢れかえる荷物の中、一生懸命届けたのであろう。
「原因が特定できなかった」の中には、それぞれの「思い」を忘れてしまっているような気がした。
「思い」を忘れられたお客様は、次回も同じようにとはいかない。
起きてしまったことは…
起きてしまったことはしょうがない。素直に謝ろう。
本来は原因追求をして、再発防止までしっかりやるべきところだが、目の前には正月のおせちの配達があり、物流を滞らせることはできない。
正月の配達には、支障をきたさないようにしなければならない。
こんな思いはなかっただろうか?
プロセスを知る。
役割や機能の分担があり、それぞれの責任の中で業務を完遂するのが大前提として考える。しかし、それぞれの「思い」を達成することも大切である。
パティスリーは販売店や物流業者のモノの流れや取り扱いを確認していたのかな?
「お客様にきれいにデコレートしたケーキを美味しく食べてもらいたい。」という思いがあるのなら、お客様に届くまでの間にどんなプロセスがあるのかは知っておいた方が良い。
そのプロセスが「思い」を満たす品質があるかは知っておくべきである。
荷主が果たすべき物流の責任
おそらく販売店が荷主なのだろう。
荷主の責任として業務委託した物流業者に対してどんな管理をしていたかが大切である。
「我々は物流のプロに委託をしていた」
これは、丸投げという。
丸投げをしていて荷主として、物流プロセスの管理責任を果たせていないということである。
物流業者はプロなので、しっかりした管理をしていて然りである。
そのプロがどのような管理をし、その管理が日常的に正しくできているかを荷主側も管理しておくべきだと思います。
複数の目での管理ができていないから、「原因が特定できなかった」と言わざるを得なかったのではないでしょうか?
今回の物流のプロセスは材料調達、生産、梱包、受入、冷凍保管、仕分け、出荷、輸送中保管、配達、受け渡し…こんなところだろう。
物流業者が、「期日までに届けること」だけに注力をしていたら、保管や取り扱いなどの物流品質はどうだろうか?
今のままでは、次回も頼もうと考えるか疑問です。
モノの受け渡しリレーではない。
物流は、モノを受け渡すことが仕事ではない。
それぞれの領域の「思い」も届けることが大切である。
お客様は満足して、対価を払うことを忘れてはいけない。