違う仕事人から学ぶ
作業現場では、様々な作業工程があり、必ずしも満足できる作業に適したスペースやレイアウトになっているわけではありません。
狭い、広い、遠い、近すぎる、高い、低い、明るい、暗いなどの気になる点はあるものの、文句を言えばキリがないし、毎日作業を行うスペースだから気になる点がありつつも、慣れと妥協いう使う言葉で我慢しながら適応している。
狭いスペースだから人とぶっかる。
すれ違いに気を遣う。
など、いろいろあるが、我慢も必要。
広いスペースだから作業性が良いかというとそうでもない。
ないものねだりになりがちだ。
狭い作業場の効率化
「我慢しなさい」と言われても、やりにくさはついて回る。
少しでもやりやすくしたい。
じゃあ、どうしようか?
現状を受け入れて、デメリットをもう少しだけ考えてみる。
なぜ、不満があるのか?
狭くて、動きにくいから。モノを取りに行きにくいから。
なんで動くの?
何で取りに行くの?何を、どれくらい?
狭い職場の事例
築地食堂
今は移転してしまったが、東京へ行く用事があると築地の場内食堂へよく足を運んだ。
それは、長屋のように軒を連ねて店が並んでいる。
鮮度良く、美味しいから、いつも行列ができている。
行列は、狭い間口の中で効率的な並び方を考えて案内板が作ってある。
店内の配置から出入りしやすい工夫がされている。
違う視点で観てみる
次に店の裏から厨房を見てみるとこれまた面白い。
人の動きや物の配置を見ると、驚きの連続だった。
職人の前後左右の動きが最少なのである。
手際よく、どんどん注文を受けて、色々な料理を効率的に作っていく。
人が動き回らず、定点作業や回転作業が見事に実現できるレイアウトで効率的に仕事をしていた。
生産現場でいうセル生産方式という工程の作りだ。
最少人員で、移動を最小限におさえて、回転しながら調理を進める。
多品種・少量生産の食堂という環境では理にかなっている。
熟練の職人と理にかなった環境と使用頻度を考えたモノの配置だ。
捌く人と調理する人で、作業の工程が違っても、向かい合わせの作業場から手が届く範囲で受け渡しができている。
受け取るために動く「一歩」がないのである。
作業のリズムも同じで、お互いの作業工程を理解しあって動いている。
「自分は、こう作業をしたいのだから、こうしてくれればいいのに。」と内面で不満を溜めることもなく、お互いが作業の手順や要領を理解しあっているので、相手がやりやすいようにと考えているからだ。
同じリズムで、それぞれの事を行なっているので手待ちがない。
生産系の現場でいえば、自工程完結で、確かな仕事の品質のものを次の工程につなげて、モノを滞留させないようにタクトで動き、現場を円滑に動かす。おそらく彼らはトヨタ生産方式などを学んでいないと思われるが、
「後工程はお客様」という考え方が成り立っている。
日常的な物事を良くする姿勢
「すごいですね」と閉店間際の時間に声をかけさせてもらった。
「別になんもしてないよ。難しいことは考えず、相手がやりやすいように、お茶飲みながら話すだけだ」と当たり前に不思議そうな顔で話してくれた。
仕事の本質
こうした店の姿勢から、理論や方法論だけではなく、本質的な考え方と姿勢があり、会話と工夫の習慣化の大切さを知ることができる。
仕事を理解したモノ同士が、お互いの仕事を理解し、気遣いながら、「感じたこと」を「考え」、日常的に会話し、「どうだった?」「こうしてみるか」などの「評価と工夫」を繰り返しながら、作り上げられてきた。
QCストーリー、FMEA…。彼らは、おそらくこういった言葉は知らない。
しかし、言葉は知らなくても本質的な理解ができている。
素晴らしい改善や創意工夫を行なっている。
手段、方法だけではなく、本質的な部分の大切さを改めて考え、より成長していきたいと思います。
大切なことは、
「理論・方法論・知識」+「知得・体得・感性」です。
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