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夫婦バイク2ケツ、遠回り
最近仕事が忙しく、サービス残業をせっせとやっていると、夫の退勤時間と被ることが多くなった。
夫の勤め先は私の会社から6キロ程離れているが、通勤路はほぼ一緒。普段、夫の方が先に家を出て、近所の同僚の車に乗っけてもらって通勤している。
残業して遅くなったら、どちらからともなく連絡。退勤時間が被りそうなら、大体夫から一緒に帰ろうとなる。そうなると、私が夫の会社まで迎えに行くか、帰り道のどこか落ち合いやすい場所まで同僚に車で送ってもらい、そこから夫婦2人乗りで帰る。
冬でも夏でも、同僚との帰宅を断って、わざわざ私と一緒にバイクで帰ろうと思う夫の思考。私が夫なら、同僚に「仲がいいな~」とか思れていたら恥ずかさを覚えてしまうし、たぶんそのまま別々で帰る。でもバイク通勤の30分間、1人よりは話し相手がいた方が楽しい。
帰宅時に限らずなのだが、私と夫は通りたい道/好きな道が違う。
夫は、渋滞が少なくて、目的地まで一番近くて広い道が好きな効率重視タイプ。そして、これらの条件が揃う道があれば不変的に何年も何年もその道を通り続ける。一方の私は、道の状態によらず、とにかく新しい道を発掘することが好きな冒険タイプ。気に入る道を見つけると、少し遠まわりになっても飽きるまで通ってしまう。そのお陰で、会社と自宅の間のどの道がどこに続いているかだいたいわかる状態だ。
つい一昨日も、私が運転して夫と帰ることになった。途中までは夫の定番帰宅コースを走っていたが、最近ハマってほぼ毎日通っているお気に入りの道に曲るところが近づいてきたので、その道を通らないかと夫に提案してみた。夫は、「でも家までちょっと遠回りになるんでしょ?僕は一刻でも早く帰って子供たちに会いたい」と気が乗らない様子。私は「きれいな家がいっぱいあるよ!今後マイホーム建てるなら参考になるかもよ!」などと色々御託を並べて、最終的には運転手権限でその道に入った。
私の今のお気に入りコースは、両側田んぼの道から集落に入っていく。田んぼの道には街灯もなくて真っ暗なのだが、集落に入ると家々の明かりが漏れて生活感のある温かい印象を受ける。
家を見ることを口実に無理矢理その道に入った手前、私は前々からきれいだなと思っていた家を次々夫に紹介していく。夫は、静かでいいね~将来ここに土地を買おうか~なんて冗談を言ったり、ここらの家は服の卸売で成功してるらしいけど服ってやっぱり儲かるんだね~!(←お金の話が好き)、ここの旧正月明けのお祭りはいつだっけ?今年も行こうか…など、自然と会話が弾む。この道を通ったからできた会話。
新婚時代なんてだいぶ前に過ぎ去り、お互い外では仕事、家の中では子供の世話や家事で手一杯。家庭ではあまり会話をしないタイプの夫婦だが、2ケツ帰宅のときは、子供や仕事と少し離れて色んな話ができる。もしかしたら夫も同じことを思っていて、よく一緒に帰ろうと提案してくるのかもしれない。
家に辿り着いたら、夫は「もしかしたら僕の定番コースより近いかもしれない」と言っていた。会話して帰ったので体感時間が短かったのかもね。じゃあ次回一緒に帰るときもあの道を通ろう。たまには遠回りも悪くないでしょ。
風よけになるし、集落の中に入ると気持ちが落ち着く感じがするので、暑くなるまではしばらくあの道を通って帰宅をするつもりだ。