(167)一番最初にお酒を飲んだのは猿
「修道院は”お酒を売って”運営していた」
「一番最初にお酒を飲んだのは猿なんだよ。人間じゃないんだ。」
大手ビール会社にいたソムリエのKさんの話をヘェ〜と思いながら聴いていた。
「果実が熟してぽとんと落ちて、自然発酵してお酒になったものを猿が飲んでたんだよ。それが始まり。きっとネアンデルタール人とかよりも、もっと昔のころだよ。」
「お酒はね、お酒が炭水化物でしょ。
お腹いっぱいになりながらご飯と一緒に飲むものではないんだよ。お酒は空腹で飲むもの。」
「お酒のテイスティングはね。
午前11時にするものなんだ。ちょうどお腹が空いてきた時間。その時間が一番テイスティングするのに”いい時間”と言われているんだよ。」
「修道院はね、お酒を売って運営していたんだよ。修道院では3つのお酒を作ってたんだ。
一つは1%ぐらいの水のようなもの。
向こうは水が飲めないでしょう。殺菌もあってアルコールを少し入れるんだよ。
アルコール5%ぐらいの一番いいものも
売ってたんだ。」
「真理の世界」(修道院の良い教え)だけでは「組織運営」していくことはできない。「資本主義」から真反対にいるので。
しかし生きていくためには、必ず「資本主義」の「売り上げをあげる」ことをしなければならない、その姿を垣間見たような気持ちがした。
マザー・テレサも「いかに原価の安いものを高く売るか?」を運営のために常に考えていらっしゃった、と聞く。「欲」のためではない。「人々の命を守る」ため。「きれいごと」だけでは人は生きていけない。マザー・テレサの苦しみと葛藤を感じる。
亡き師匠がおっしゃっていた。
「お酒とは、お酒に敬意を払って飲むもの。決して溺れるものでも、憂さを紛らすためのものでもない。」と。