見出し画像

恋愛至上主義〜話を聞けない中年たちへ

 昨日から燃え続けている『どん兵衛』のCMに纏わる騒動について、思ったことをまた書く。
 恋愛エッセイだと思った人ごめんなさい。
 恋愛至上主義を皮肉る内容になると思います。

 燃えて燃えて燃えまくっているこの騒ぎは、私がXでフォローしていた方(リベラル的な思考の方で、投稿される意見もフラットな立場からみたものだったので、私個人としてはそこを評価する意味でフォローしていた)にも飛び火し、その方が「何故、これが性的なのか分からない。監督は女性なのに、これは個人攻撃だ」などと発言したことで、その人自身も燃え上がってしまった。

 自覚のある、なしは別としてね。
 結局、この国の男性は『リアルな女性』を見ていない。
 あなた方が見ているのは『男性サイドから作り出された女性のイデア』だ。

イデア:(通俗的には)理想。

Oxford Languagesから

 女性たちが残念に思っているのはそこなのだ。
 胸や性器が露出していなければいい。男性に対しての媚態が強調されてなければいい。
 ── そういうことを言っているのではない。

 きちんと現実の女性と向き合わず、男性主導のファンタジーのなかの女性ばかりを崇める。
 そういう気持ち悪さのことを言っているのだ。

 この傾向は女性たちにもあるよ。
 やりすぎな韓流タレントブーム、アイドルのおっかけ、過剰な推し活、ホストクラブ狂い。
 だけど、女性のそれは目立ちにくい。

 うーん、それこそこの国の社会が男性中心に回っているからだろうね。

 少し古い話だけど、握手券のついたアイドルのCDは売れに売れて、ものすごいセールスをたたき出したし、いつも私が文章のなかでたたきまくってる『萌え絵』もそうだ。
 でも、まだまだ。ご都合主義で異世界転生してチート能力ゲット!でハーレム作って『やれやれ』なんて言ってる程度の低いラノベもそう。
 男性ファンタジーをふんだんに盛り込んだ『女性のイデア』が何故か主人公男性にねっとり惚れ込んでママの如く尽くしてくれるアニメもそう。

 男性の性欲はお金になるからですよ。
 だからキャバクラがある。風俗店がある。ピンサロがあるし、ヘルスがある。

 目立ってしまうのは、男性としてそういった施設に通う方の絶対数が、女性のそれより多いからっていうのもある。
 だから乱立してるし、目につく。
 そういうことじゃないかな。

 そして、そういうものが目に付く場所にあることの是非について、男性たちは圧倒的に女性たちよりも無自覚だ。
 また、女性を買った、キャバクラへ行ったなどの話を女性たちを前にして平気でできるデリカシー。

 とにかく、圧倒的に彼らは無神経なのだ。私たち女性よりも。
 そのことをまず、彼ら自身が自覚できていない。

 そんなデリカシーの元々ないけれど、社会を中心になって回すパワーだけはもっている彼らは、当然「お金になる!」と判断すれば、それで嫌な思いをする誰かがいたとしても、そこは過小評価して実行してしまうだろう。
 これも、それ。

 このアニメCMの監督は女性かもしれない。
 だけど、それに予算をおろす決定権を持つのは男性だ。さっきも書いたように。
 仮にもしもそこが女性だったとして、もっと上はどうだろうか?

 それに、女性たちは個人としてのこの監督を攻撃しているわけではない。
 このCMに予算をおろす、この企業の在り方に関して物申しているんだよ。

 うーん、もっと頭の良さそうな人だと思ってたんだけどなぁ……がっかり……フォロー外そうかなぁ……


          ❥❥❥


 そしてもうひとつ、疑問がある。

 何故、この国の男性たちは『女性たちだけのことまで』勝手に男性たちだけで決めたがるの?

 これに納得できるような回答を出せる方は出していただきたい。
 女性は生き物として男性より劣るからなど、優生思想に依った回答はお断りします。根拠に欠けるのでね。

 私個人の回答としては、これも『現実の女性ではなくてファンタジーの女性を見つめているから』だ。
 もう書くのがダルいから書かないけれど、だから昨日、書いたような騒動がおこるんでしょ?
 靴下屋ストッキング炎上騒動。
 ストッキング脅迫行為騒動。
 滋賀医科大生の性的暴行事件にまつわる炎上。
 被災地の避難所における生理用品問題。

 なぜ、彼らは話を『聞けない』んだろうか。
 目の前にいるのはアイドルでもアニメの○○ちゃんでもグラビアアイドルの女の子でもない。
 何故、彼らには眦を下げて擦り寄って行くのに、現実の生の女性のリアルな声は聞けない?

 可愛くないからか?
 『僕たち』に優しくないからか?

 この国がダメになりつつあるのを、全て男性諸氏のせいにするつもりはないよ。
 だけど、これは致命的な欠点だ。
 これは女性サイドからみれば国民病のようなもので、税金が下がろうが社会保障が無料になろうが、ここを克服できない限り、この国は先細りだろうね。

 女性にも責任はある。
 そういう男性を育てた責任だ。
 母として、それから妻として、いつかの彼女として。

 そーゆーことなんだろーね。


          ❥❥❥


 この国の男性たちはなんだかんだ言って『恋愛脳』で『ポルノ脳』つまりは『SEX至上主義』だ。
 はっきり言ってしまって申し訳ないけれど。

 何歳になっても若い女の子にはモテたいし、頭のなかにはポルノファンタジーの霧がいつも立ち込めて視界不良。
 いや、全員とは申し上げませんよ。
 バイアグラを買って飲んででも行為をしたくてウズウズとしている中年たちは枚挙に暇がないし、キャバクラ嬢に入れ上げる男性は後を絶たないし。
 幸い、私の職場にはそういった変態はいないけれど、そういうのが同じ職場にいた暁には大変なストレスを抱えることになる。

 だけど現実の女性たちは『僕たち』に優しくない。擦り寄ってこない。

 だからファンタジーの世界に逃げる。
 或いはキャバクラやアイドルなど、現実にはいるけれど、ある意味『架空』の女性に貢ぐ。

 または、力でいうことをきかせる。これは性的暴行だ。絶対にあってはならない。
 だから「同意だった」なんて言葉が出てくるんだよね。
 頭に立ち込めたポルノファンタジーの霧で、正誤の判別ももうつかなくなっているんだよ、あんたたちは。

 だからあのアニメによく出てくる、労せずにチート能力を手に入れ、頭の足りなさそうな露出の高い女の子たちとハーレムをつくり、彼女らにネチャネチャとくっつかれながら「やれやれ……」なんて言っている彼は、そんなこの国の男性たちの『イデア』だよね。
 彼らが思う、彼ら自身のイデアだ。

 とはいえ、これは私たち女性にも言えなくはない。
 冒頭で書いたやりすぎの推し活、デリカシーのない『腐女子』たち、韓流アイドル。

 女性はここに『スピリチュアル』を加えてもいいと思う。
 最近の『ゆるゆるふわふわスピリチュアル』
 ポジティブに明るく。前向きに。笑顔。女性はみんな女神です。子宮はとても神聖なものです。キラキラしてなくちゃイヤ。彼は結婚してるけどあたしのツインレイなの。
 うわぁ、書いててゾワゾワしてきたぜ。

 男性も女性も、どちらにも共通しているのは『恋愛脳』で、それでいて目の前にはファンタジックなピンクの霧が立ちこめて、結果どちらも視界不良なこと。

 全てを否定するつもりはない。誤解なきよう。
 アニメだって良質な作品はたくさんある。ライトノベルだってそうだ。小野不由美や冲方丁など、ラノベ出身のきちんとした作家はたくさんいる。
 アイドルから実力のある俳優、女優になった人は数多いるし、水商売で学費を稼ぐ人もいる(本当はそんなことはあってはならないが、国がアテにならないので仕方ない)
 推し活で自分自身の生活を前向きに頑張れる人たちもたくさんいるし、私にも推しはいる。
 スピリチュアルに生きる指針を見つける人だっているだろう。

 なにがダメかって?
 現実を否定してそこに逃げ込むのがダメなんだよ。
 話しても分かり合えずに徒労に終わる相手もいる。仕方ないよ、それは相性だから。
 でも、自分の現実からは逃げちゃダメだろ。

 それが今の日本人はできなくなりつつある。
 で、女性にもだんだんとそれが伝播しつつある。
 果たして、私たちに未来はあるんだろうか。

 私はこんな気持ち悪いピンクの霧になんざ呑み込まれたくないよ。


          ❥❥❥

 最近、若い世代の草食化が進んでいる、とどこかで見た。構わない。恋愛なんてしたいヤツがしたい者同士ですればいい。

 少子化がーとか、そういう声もあるだろうけれど、それに関しても悪いのは上の世代だ。
 彼らにはなんの責任もない。

 だからまた同じようなことを書いてしまうけど、この国はきっと滅びる。
 少なくとも、私たちの世代とその上の世代が舵をとっている間は『滅び』に向かって全力前進で突進している。

 若い女の子たちからすれば、いつまでもいつまでも性欲でぎんぎんのおじさんたちなんて、モンスターでしかない。
 男の子たちからすればロールモデルとしては成立しない。ギラついていてダサいからね。
 そりゃ、そんな大人たちを見ていれば恋愛も性的行為もごめんだろうし。

 税金を下げるのも大事。
 社会保障を安くするのも大事。
 外国人移民をいれないのも大事だ。

 だけど、上の世代である私たちが変わることもまた大事なのだと思う。
 あなたの今のその在り方は、果たして堂々と若い世代たちに見せられるものだろうか。
 そのファンタジー世界に逃げ込んでいることにすら気が付かないままの生き方は、あなたを果たして幸せに導くだろうか。

 今一度、私たちは確認するべき時期にきている。



いいなと思ったら応援しよう!