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枕草子にあるセンダンの木

帰りの坂道に生えている木は初夏に薄紫色の花をつけ秋に黄色い実をつける。夏には蔦に絡みつかれ枯れそうになることがあるので、時々刈り払ってやったりしていた。地味な花だけれど栴檀(せんだん)、古語では楝(おうち)といい、枕草子に楝の花いとおかし、と書かれていると知った。枕草子は断片的にしか知らないので通して読んでみようと思い立った。清少納言はけっこう植物に詳しく、桜、梅、藤といった花木以外にも檜、あすなろ、楠、といった地味な樹種もそれぞれの趣きが書かれている。思うに、清少納言の思いは、春はあけぼの、夏は、秋は、冬は、という有名な序文にあらわれているんじゃないだろうか。つまり季節それぞれ好き嫌い良し悪しではなくそれぞれの趣きを愛でている。他の物事も同様で、少納言はおかし、にくし、つきづきし等と論評するけれど、自分のことも面白おかしく書いたりしている。あれこれと論評された人も読んで一緒になって面白がっていたんだろう。中宮定子もなかなかなツッコミで少納言をいじって周りを笑わせたり、1000年も昔だけれどすでに笑いの文化があったんだろうか。

寒さが増すにつれて実が黄色く色づいてゆく。

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