![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/159547920/rectangle_large_type_2_d602c45226ca90255fa494c2b4921c8e.jpeg?width=1200)
満ち足りた世界で「足りない物を創る」から創作者を目指すようになる。〜遊戯王のVHS編〜
こんにちは、アベヒサノジョウです。
皆さんはレンタルビデオ店でVHSを借りた記憶はあるでしょうか。平成時代に青春を過ごした皆さんであればビデオテープ、VHSなどは馴染みのあるものだと思います。
私は、両親が共働きで夜遅くに帰ってくるため「一人で留守番できるように」と、レンタルビデオ店でアニメのVHSを借りてきてくれていました。
その中でも私が大のお気に入りだったのが「遊戯王」です。
遊戯王とは
『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』は、高橋和希の漫画『遊☆戯☆王』およびメディアミックス作品に登場する架空のカードゲーム『マジック・アンド・ウィザーズ』をモチーフにして、コナミデジタルエンタテインメントが製作・販売しているトレーディングカードゲーム。
カードを集めることにもハマってたのですが、特に好きだったのがアニメを見ることです。ルールなどは全くわからないのですが、カードから様々なモンスターが登場し戦う姿に、私は強く惹かれていました。
しかし、そんな生活にも問題が多くありました。
それは…
父「借りてきたぞ〜。明日帰ってきたら、見るんだぞ」
アベ「ありがと……ねぇ!」
父「ん?」
アベ「だから、次は8巻だって!これ、10巻じゃん!」
父「店員さんに聞いてもなかったんだよ…まぁ、遊戯王ならなんでもいいじゃん」
よくない
当時のVHSには、一本当たり3話分のアニメが入っていました。
大体、2巻分=計6話で一つの試合が終わってしまうので、一巻飛ばしただけでも3話分飛ばしたこととなり、大変なネタバレをくらいます。
もう、勝利した人物が次の試合を挑んでいたりしますので「この試合どうなんだろう…!」というワクワクドキドキは、一瞬で冷めてしまうのです。
父はアニメ自体に興味がなく、同じ遊戯王であればどれも一緒だと思っている人でした。だから酔っ払って帰ってきた時は、20巻ほど飛ばして借りて来ることもありました。
アベ「もぉ」
父「ごめんって」
とはいえ、借りたVHSはもったいないですし、当時レンタル料も一週間で350円ほどと、子どもからするとかなりの大金でした。文句は言いますが、しっかりと次の日、それを見ながら親の帰りを待っていました。
アベ「なんだよ…もぉ」
主人公が、画面上で笑いながら街を歩くシーンが映ります。
前回までは森の中でボロボロだったはずですが…。
アベ「前回まで負けてたはずなのに……なんで…こうなったんだ」
当然ですが意味がわかりません。
アベ「ああーもう、仕方ない……」
そこで私はノートを引っ張り出し、話数を書きました。
その横には、汚い字で前回までの流れを書きます。
アベ「そして、今回は…」
その横に、今見たアニメの話を思い出しながら書いていきます。
アベ「なら…きっと」
当時はインターネットなど自由に使える物ではなかったので、キャラクターの名前などを思い出しながら自分で物語を考えました。
アベ「多分、あの敵キャラの悪だくみがバレたに違いない…だからそれを止めに遊戯たちが…」
必死になって、物語を考えました。
多分、これが創作するきっかけになったのだと思います。
アベ「わからないから考えるしかなかったじゃん」
と、父に再三、文句を言いながらも、充実感がありました。
アベ「……(楽しい)」
いつしか話を考える時間の方が、アニメを見る時間よりも長くなっていました。
アベ「話をつくるのって楽しい」
「借りてきたビデオだけじゃ話がわからない。なら、足りないから自分で創ろう」
単純な動機が、自分を動かす何よりも大きな原動力になっていました。
大人になっても、それは大して変わりません。
「自分の書いた物でなければ、この世界に足りないものを埋められない。だから自分が創るんだ」
と、考えながら今も楽しく創作をおこなっています。
余談ですが、
サブスクリプションなどの映像配信サービスが生まれてから「他の人に借りられてて、続きがわからない!」なんてことも、無くなりましたね。今の若い子たちから「満ち足りているからこそ、失われた創造性」があるのかと思うと、少し、寂しい思いです。