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満ち足りた世界で「足りない物を創る」から創作者を目指すようになる。〜遊戯王のVHS編〜

こんにちは、アベヒサノジョウです。

皆さんはレンタルビデオ店でVHSを借りた記憶はあるでしょうか。平成時代に青春を過ごした皆さんであればビデオテープ、VHSなどは馴染みのあるものだと思います。

私は、両親が共働きで夜遅くに帰ってくるため「一人で留守番できるように」と、レンタルビデオ店でアニメのVHSを借りてきてくれていました。

その中でも私が大のお気に入りだったのが「遊戯王」です。

遊戯王とは
『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』は、高橋和希の漫画『遊☆戯☆王』およびメディアミックス作品に登場する架空のカードゲーム『マジック・アンド・ウィザーズ』をモチーフにして、コナミデジタルエンタテインメントが製作・販売しているトレーディングカードゲーム。

Wikipediaより

カードを集めることにもハマってたのですが、特に好きだったのがアニメを見ることです。ルールなどは全くわからないのですが、カードから様々なモンスターが登場し戦う姿に、私は強く惹かれていました。

しかし、そんな生活にも問題が多くありました。

それは…

父「借りてきたぞ〜。明日帰ってきたら、見るんだぞ」
アベ「ありがと……ねぇ!」
父「ん?」
アベ「だから、次は8巻だって!これ、10巻じゃん!」
父「店員さんに聞いてもなかったんだよ…まぁ、遊戯王ならなんでもいいじゃん」

よくない


当時のVHSには、一本当たり3話分のアニメが入っていました。
大体、2巻分=計6話で一つの試合が終わってしまうので、一巻飛ばしただけでも3話分飛ばしたこととなり、大変なネタバレをくらいます。

もう、勝利した人物が次の試合を挑んでいたりしますので「この試合どうなんだろう…!」というワクワクドキドキは、一瞬で冷めてしまうのです。

父はアニメ自体に興味がなく、同じ遊戯王であればどれも一緒だと思っている人でした。だから酔っ払って帰ってきた時は、20巻ほど飛ばして借りて来ることもありました。

アベ「もぉ」
父「ごめんって」

とはいえ、借りたVHSはもったいないですし、当時レンタル料も一週間で350円ほどと、子どもからするとかなりの大金でした。文句は言いますが、しっかりと次の日、それを見ながら親の帰りを待っていました。

アベ「なんだよ…もぉ」

主人公が、画面上で笑いながら街を歩くシーンが映ります。
前回までは森の中でボロボロだったはずですが…。

アベ「前回まで負けてたはずなのに……なんで…こうなったんだ」

当然ですが意味がわかりません。

アベ「ああーもう、仕方ない……」

そこで私はノートを引っ張り出し、話数を書きました。
その横には、汚い字で前回までの流れを書きます。

アベ「そして、今回は…」

その横に、今見たアニメの話を思い出しながら書いていきます。

アベ「なら…きっと」

当時はインターネットなど自由に使える物ではなかったので、キャラクターの名前などを思い出しながら自分で物語を考えました。

アベ「多分、あの敵キャラの悪だくみがバレたに違いない…だからそれを止めに遊戯たちが…」

必死になって、物語を考えました。

多分、これが創作するきっかけになったのだと思います。


アベ「わからないから考えるしかなかったじゃん」

と、父に再三、文句を言いながらも、充実感がありました。

アベ「……(楽しい)」

いつしか話を考える時間の方が、アニメを見る時間よりも長くなっていました。

アベ「話をつくるのって楽しい」

「借りてきたビデオだけじゃ話がわからない。なら、足りないから自分で創ろう」


単純な動機が、自分を動かす何よりも大きな原動力になっていました。

大人になっても、それは大して変わりません。

「自分の書いた物でなければ、この世界に足りないものを埋められない。だから自分が創るんだ」

と、考えながら今も楽しく創作をおこなっています。


余談ですが、

サブスクリプションなどの映像配信サービスが生まれてから「他の人に借りられてて、続きがわからない!」なんてことも、無くなりましたね。今の若い子たちから「満ち足りているからこそ、失われた創造性」があるのかと思うと、少し、寂しい思いです。


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