【24/10/3】ハイスペックの根源レポート
あるとき、少女は、ふと思い立つのです。
「この世界のすべてが、お菓子でできていたら幸せよ!」
少女は、お母さんに頼み込み、週末は必ずケーキ作りをさせてもらうことにしました。
まずは自分でお菓子が作れないことには、始まりませんからね。
最初はぺしゃんこにしてしまったスポンジは、回数を重ねるごとに、ふわふわの柔らかなものを作ることができるようになりました。
生地をデコ缶に流し込むときの幾度かの失敗経験は、型にマーガリンを塗って敷き紙がずれないように工夫すると良い、といったように知恵を働かせられるようになりました。
自分から友だちに話しかける方法がわからなかった少女は、ケーキを通し、「遊ぼう」と多くの友だちに声をかけることができるようになりました。
そして、3年後。
小学校高学年になった女の子は、ふと思い立つのです。
「いろんな友だちと話して、人は様々だとわかったわ。会話の引き出しを増やして、もっといろんな人とお話しできたら最高よ!」
彼女は毎週のケーキ作りをやめました。その代わり、その時間で教科書を読み漁るようになりました。
小学生にとっての知識の源は、遊びや、アニメや、ゲームや、友だちとの中身なんてすっからかんの会話や、先生に怒られたり、上級生と喧嘩したり、夏にはセミの、秋には鈴虫の音を聞き、夜には薄暗い部屋の中で静かに月を見上げたりして、そうした、心が向くままに生きる自分たちを取り巻く環境すべてだとも思いますが、彼女は言うのです。
「いい学校に行けば、もっといろんなことを知っている人たちとお話しできるんだよね。だから、好きなことに的を絞るよりも、基本的な世の中の知識をつければ、偏りのない、様々な人とお話ができるようになると思うの」
事実、彼女は教科書をフックに、大人の先生たちとよくしゃべるようになっていきました。
気づけば学年1位の学力を誇るようになった彼女の好奇心は、とどまることを知りません。
そして、自分自身の幸せをとことん追求するパワーは底を知りません。
小・中・高と、なぜか同じ学校に進学し、多々同じクラスになり、遠目から彼女を観察してきた私は思いました。
持って生まれた才能で最強なのは、ポジティブ力なのだろうなぁと。
好奇心も継続力もコミュ力も、物事をポジティブに捉えられるかどうかが一番のポイントなんですよね。
以上、高校卒業でやっと離れられると思ったら大学も学部も一緒で笑うしかない私の、ハイスペ根源レポートでした。
私?私はハイスぺなんかじゃないですよ。
人間関係をすべて切り捨てて、努力して努力して何のためにやってるのかわからなくなっても泣きながら努力してしぬほど我慢して勝ち取った、今ですから。